いざ、勝負
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じ、っと麦わらのルフィ君の手配書を見つめた。
壁に貼られたそれはもう何度も見ているものだ。
・・・・そして、もう何回か聞いたルフィ君のお話。
シャンクスから聞く彼の話はすべて幼い頃のものだけど、
この手配書の笑顔を見るにきっとそのまま育ったんだろうなと思う。
・・・・・早く、会いたい。
コンコン、とドアがノックされた。
「はい」
「・・・・・お頭は、居ないようだな」
返事をして間もなく入ってきたのはベンさんだった。
「・・・・ベンさんが来る頃を見計らって逃げていきました」
「そういう時は逃げないようにしてもらえると有り難いんだが」
「やってみましたけど、無理でした」
数分前、だらだらと書類に向き合っていたシャンクスが急に立ち上がったので、
『何処か行くんですか?』
と聞いてみれば、
『ベンが来る前に逃げる』
と言う。
見たところ全然はかどっていないのでそのせいだろうけど。
『・・・逃げないであげて下さいよ』
一応、そう言ってみたんだけど。
『アコがキスしてくれんなら逃げないでいてもいい』
『・・・・・・・行ってらっしゃい』
という訳で、
「私も自分が1番可愛いので」
「・・・・キスくらいしてやればいいだろう」
「ご冗談を。絶対嫌です」
にこっと笑って見せればベンさんは苦笑い。
「・・・そういえば、ベンさんに聞きたいことがあるんですけど」
「何だ?」
シャンクスが居ないのをいいことに、ベンさんに聞いてみたいことがあった。
「シャンクスの片腕、ってどんな人にやられたんですか?」
シャンクスが強いことは知っていたけど、この間改めて強いことを思い知った。
たった1人で3人を相手にあっという間だった。
きっと私が居なければ怪我することもなく終えていただろう。
「・・・・お頭から聞いてないのか?」
だからそのシャンクスがどんな敵にやられたんだろう、と思ったんだけど。
ベンさんは少しだけ不思議そうに首を傾げた。
「・・・・聞いてない、ですけど」
だからこそ私も本人には聞けなくて。
「・・・・そうか」
今度は難しそうな顔のベンさん。
「そんなに強い敵だったんですか?」
「いや。・・・・まあ、いいか」
そう呟いて口を開いたベンさんから出た話は、私にとって衝撃だった。
「よし、居ないな?」
何とも情けない声でシャンクスは戻ってきた。
「・・・おかえりなさい。さっきまでベンさん居ましたよ」
「・・・・・・・居ました?」
ぐ、っと眉を寄せて難しい顔のシャンクス。
「・・・・・・?」
「2人きりで居たのか、ここに」
「いやまあ、そりゃあそうでしょう」
「・・・・・・・俺以外の男と2人きりになるもんじゃねェぞアコ」
「え、だってベンさんですよ」
「ベンでも、だ」
・・・・・・・・・・・・何か、
シャンクス、
少し怒ってる?
「・・・・大丈夫、ですよ」
「あのな、アコ」
何か言いかけたシャンクスを遮って、
「私に何かあればシャンクスが絶対助けてくれますから」
そう言い切った。
だって彼は、
『アコのことは命にかえても俺が守り抜く』
確かにそう言ったのだから。
けれどシャンクスの機嫌は直らず、
顔を見れば何処か苦しそうに、それでも微かに笑んで。
「言っちまえば俺が嫌なだけなんだ。・・・悪かったな」
「・・・ベンさんから聞いたんですけど、腕の話」
ルフィ君を助ける為に、って。
「・・・・聞いたのか」
「・・・・何で話してくれなかったんですか?そんな大事件」
「かっこ悪ィだろ?話したところでアコの気持ちが変わるとも思えねえしな」
今度は悪戯がバレた子供のような、そんな顔。
「まあ、確かに好きにも嫌いにもなりませんけど。・・・でも、カッコイイとは思いましたよ」
そう返せば、私を見つめたまま目をぱちくりとさせて、すぐに思い切り笑った。
「・・・・そうか」
その照れたような笑顔は可愛いと思わせるには十分で。
「・・・・・何で、」
「ん?」
「何でそんな風に笑えるんですか?シャンクスも、ルフィ君も」
あの人も。
心から楽しそうに笑う皆に、戸惑う自分が居る。
「アコは今楽しくないか?」
「・・・・そういう訳じゃ、ないです、けど」
「けど?」
「・・・・皆本当に楽しそうに笑うから」
けれどその質問は、質問で返された。
「皆、ってのは誰のことだろうな」
それが何だかすべて見透かされてるみたいで、少しだけ悔しい。
「・・・ルフィ君と、シャンクスと・・・・父、です」
「顔をよく知らないと言っていたが」
「・・・・母が撮った写真が1枚だけあります」
そしてそれは、やっぱりルフィ君と同じように笑っていたから。
シャンクスは私の言葉を聞いて珍しく真面目な顔になった後、ふ、と優しく笑んだ。
「答えは・・・アコが自分で見つけるモンだ」
何となく教えてくれないだろうな、とは思ったけど。
でもそれが今の私には悔しいと同時に何故か嬉しくて。
「・・・・・・・・・・・・・・・ケチ」
私も笑いながらそう答えれば、シャンクスもやっぱり笑った。
+笑って 終+
壁に貼られたそれはもう何度も見ているものだ。
・・・・そして、もう何回か聞いたルフィ君のお話。
シャンクスから聞く彼の話はすべて幼い頃のものだけど、
この手配書の笑顔を見るにきっとそのまま育ったんだろうなと思う。
・・・・・早く、会いたい。
コンコン、とドアがノックされた。
「はい」
「・・・・・お頭は、居ないようだな」
返事をして間もなく入ってきたのはベンさんだった。
「・・・・ベンさんが来る頃を見計らって逃げていきました」
「そういう時は逃げないようにしてもらえると有り難いんだが」
「やってみましたけど、無理でした」
数分前、だらだらと書類に向き合っていたシャンクスが急に立ち上がったので、
『何処か行くんですか?』
と聞いてみれば、
『ベンが来る前に逃げる』
と言う。
見たところ全然はかどっていないのでそのせいだろうけど。
『・・・逃げないであげて下さいよ』
一応、そう言ってみたんだけど。
『アコがキスしてくれんなら逃げないでいてもいい』
『・・・・・・・行ってらっしゃい』
という訳で、
「私も自分が1番可愛いので」
「・・・・キスくらいしてやればいいだろう」
「ご冗談を。絶対嫌です」
にこっと笑って見せればベンさんは苦笑い。
「・・・そういえば、ベンさんに聞きたいことがあるんですけど」
「何だ?」
シャンクスが居ないのをいいことに、ベンさんに聞いてみたいことがあった。
「シャンクスの片腕、ってどんな人にやられたんですか?」
シャンクスが強いことは知っていたけど、この間改めて強いことを思い知った。
たった1人で3人を相手にあっという間だった。
きっと私が居なければ怪我することもなく終えていただろう。
「・・・・お頭から聞いてないのか?」
だからそのシャンクスがどんな敵にやられたんだろう、と思ったんだけど。
ベンさんは少しだけ不思議そうに首を傾げた。
「・・・・聞いてない、ですけど」
だからこそ私も本人には聞けなくて。
「・・・・そうか」
今度は難しそうな顔のベンさん。
「そんなに強い敵だったんですか?」
「いや。・・・・まあ、いいか」
そう呟いて口を開いたベンさんから出た話は、私にとって衝撃だった。
「よし、居ないな?」
何とも情けない声でシャンクスは戻ってきた。
「・・・おかえりなさい。さっきまでベンさん居ましたよ」
「・・・・・・・居ました?」
ぐ、っと眉を寄せて難しい顔のシャンクス。
「・・・・・・?」
「2人きりで居たのか、ここに」
「いやまあ、そりゃあそうでしょう」
「・・・・・・・俺以外の男と2人きりになるもんじゃねェぞアコ」
「え、だってベンさんですよ」
「ベンでも、だ」
・・・・・・・・・・・・何か、
シャンクス、
少し怒ってる?
「・・・・大丈夫、ですよ」
「あのな、アコ」
何か言いかけたシャンクスを遮って、
「私に何かあればシャンクスが絶対助けてくれますから」
そう言い切った。
だって彼は、
『アコのことは命にかえても俺が守り抜く』
確かにそう言ったのだから。
けれどシャンクスの機嫌は直らず、
顔を見れば何処か苦しそうに、それでも微かに笑んで。
「言っちまえば俺が嫌なだけなんだ。・・・悪かったな」
「・・・ベンさんから聞いたんですけど、腕の話」
ルフィ君を助ける為に、って。
「・・・・聞いたのか」
「・・・・何で話してくれなかったんですか?そんな大事件」
「かっこ悪ィだろ?話したところでアコの気持ちが変わるとも思えねえしな」
今度は悪戯がバレた子供のような、そんな顔。
「まあ、確かに好きにも嫌いにもなりませんけど。・・・でも、カッコイイとは思いましたよ」
そう返せば、私を見つめたまま目をぱちくりとさせて、すぐに思い切り笑った。
「・・・・そうか」
その照れたような笑顔は可愛いと思わせるには十分で。
「・・・・・何で、」
「ん?」
「何でそんな風に笑えるんですか?シャンクスも、ルフィ君も」
あの人も。
心から楽しそうに笑う皆に、戸惑う自分が居る。
「アコは今楽しくないか?」
「・・・・そういう訳じゃ、ないです、けど」
「けど?」
「・・・・皆本当に楽しそうに笑うから」
けれどその質問は、質問で返された。
「皆、ってのは誰のことだろうな」
それが何だかすべて見透かされてるみたいで、少しだけ悔しい。
「・・・ルフィ君と、シャンクスと・・・・父、です」
「顔をよく知らないと言っていたが」
「・・・・母が撮った写真が1枚だけあります」
そしてそれは、やっぱりルフィ君と同じように笑っていたから。
シャンクスは私の言葉を聞いて珍しく真面目な顔になった後、ふ、と優しく笑んだ。
「答えは・・・アコが自分で見つけるモンだ」
何となく教えてくれないだろうな、とは思ったけど。
でもそれが今の私には悔しいと同時に何故か嬉しくて。
「・・・・・・・・・・・・・・・ケチ」
私も笑いながらそう答えれば、シャンクスもやっぱり笑った。
+笑って 終+