いざ、勝負
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朝いつも通りに食堂に行けば、アコの姿がなかった。
「アコは?」
ロンにそう聞けば、
「急いで飯食ってたんで、今頃は図書室だと思いますよ」
という。
「図書室?」
「料理の本があるって言ったら喜んでたんで」
「なるほど」
ロンに礼を言って朝食を受け取った。
さて今日のアコの料理は、と口にしてみるものの、違和感。
だがそれは、味噌汁を口に含んだ瞬間に消えた。
ああ。今日は味噌汁か。
飲んだだけでわかる、この味。
アコの笑顔が頭に浮かぶ。
無性に会いたくなって、さっさと飯を食い終えて、アコが居るであろう図書室へ向かった。
そっと図書室へ入るとアコが夢中になって本を読んでいるのが目に入った。
そして上の方に視線を向けたアコが、手を伸ばして飛び跳ねた。
「・・・んー・・・・ふぬあ!」
ふぬあ、って何だ。
つーか、おいおい。
そんなことしたら本落ちるぞ。
「あ、」
案の定アコの手が掠めたその本は、アコの頭目掛けて落ちる。
その前に急いで俺が手を伸ばした。
すとん、と手に収まった本のタイトルは、【素材とタレの相性】
・・・本当に料理が好きなんだな、と思いアコを見れば、ぎゅうっと目を瞑っている。
・・・・キス、してえなあ。
「・・・・・・あれ」
ぱち、っとアコが目を開いた。
「・・・・シャンクス?」
「こういう時は俺を呼べ、アコ」
もう少し目を閉じていたならキス出来たのにな、と内心舌打ちをした。
「有難う御座います。でも何でここに?」
「朝飯食いに行ったはいいがアコの姿が見えないんで、ロンに聞いてきたんだ」
「ご飯は召し上がられました?」
「ああ、今日は味噌汁だったか?」
そう答えればアコの表情が、何故、と言いたげな顔。
「わかるさ。アコの作った物はな」
「・・・まあ、ご満足頂けたなら良かったです」
「今日もおかずだと思ったんだが、何かあったのか?」
「皆が宴ばっかりで二日酔いしてるから、しじみの味噌汁作ってあげたいなって思ったんで」
「・・・アコは優しいな」
アコを選んで良かった。
心からそう思う。
そして再び湧き上がる、欲。
1歩、アコに近づいた。
「ありがとございま・・・シャンクス?」
「アコ」
「はい?」
「キス、していいか?」
正直に胸のうちを吐露してみれば、目を丸くしてぱちぱちと瞬きする姿が可愛かった。
「何、で・・・ですか」
「・・・したいから、以外に理由があるか?」
していいか、と聞いておいて何だが、もう無理だ。
我慢出来ずに、けれど触れるだけのキスをした。
「え・・・・えええええ」
直後のアコの反応はといえば、
引き気味で、しかし何処か笑っているようにも見える。
・・・・・思ってた反応と違うな。
もっとこう、顔を真っ赤にして怒る、とか。
最悪泣かれるってのも予想していたんだが。
「なぁ、アコ」
「・・・何ですか」
「初めてか?」
「・・・知りませんっ」
慣れているのかと思って聞いてみたが、
今度こそ顔を真っ赤にさせたアコは俺の手元から本を奪うと逃げるように部屋から出て行った。
夕飯も片付けも、明日の下ごしらえも済ませて部屋に戻るとシャンクスが書類と向き合っていた。
・・・・またベンさんにでも怒られたのかしら。
「アコ、今日はどうする?」
「んー今日は本読みたいんでいいです」
しょうが焼きの為、というのもあるけど単なる興味もある。
「わかった」
「あ、でも明後日から1週間お願いできたりします?」
けれど気持ちをルフィ君で満たしたいのもある。
「・・・・1週間ずっと、か?」
「あ、やっぱ大変ですか?」
「・・・大変、というかだな、アコ。俺にも我慢というものがあってな?」
珍しく焦ったシャンクスの姿。
・・・・・・私にはよくわからない。
「や、別にいいんですけど。とりあえず今日はいいので」
「ああ、わかった」
今朝のキスなんてなかったかのように普通に会話して。
しばらくするとシャンクスが部屋を出て行った。
そして朝になっても、帰ってこなかった。
+わからない 終+