いざ、勝負
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「まあ買出しも必要ないくらいなんだが、念のためな。あ、でもしょうがは絶対買ってきてくれ」
「了解しました!」
「お金はお頭に預けてあるけど、くれぐれも無駄遣いさせないように頼む」
「・・・・・了解しました」
お金、あの人に預けて大丈夫なんだろうか。
少しだけ不安が過ぎるけど、何はともあれ買出しのメモをもらって、いざ出発。
「よし、行くか」
「はいっ・・・・・って、」
行くか、の声と同時に差し出された手。
・・・・隻腕の赤髪さんにとっては大切な手。
「ほんとに繋ぐんですか?・・・・手」
すると赤髪さんは少し寂しそうに、
「嫌か?」
と笑った。
「・・・・何か、お父さんみたいだなって思っただけです」
「おと・・・おいおい、俺はそこまで老けてねえぞアコ」
お父さん、と言った時の赤髪さんの驚いたような表情が何ともいえなくて、おかしかった。
「まあ、お父さんが居たらこういう感じで買い物行くんだろうなって思っただけなんですけど。さ、行きましょうか」
「・・・・ああ、そうだな」
差し出された手をとり、手を繋いだ。
ただそれだけなのに、
お父さんみたい、って思ってたのに。
大きくてごつごつした手の感触が何だか恥ずかしかった。
「じゃあここでトマトだな」
「あ、ちょっと待ってください。さっきのとこの方が新鮮だったし安かったですよ」
「そうだったか?」
「んーでももうちょっと先のお店も見てみたいんです。いいですか?」
「そりゃ構わんが、疲れてないか?アコ」
ロンさんに渡されたメモを見ながらお買い物。
「大丈夫です。むしろあまり見慣れない食材がいっぱいでワクワクしてますし」
私の生まれ育った場所は小さかったし、見れる食材にも限りがあった。
やっぱり世界は広いんだなあ、と改めて実感する。
「疲れたら言ってくれよ」
「はい、遠慮なく言わせて頂きます。あ!あそこのお店も見ていいですか?」
「ああ、行こう」
それまでに買ったものは赤髪さんが持ってくれているので、あまり待たせても悪いなと思いつつ。
私は自分の好奇心に勝てなかった。
だから、忘れてた。
大事なことを。
「お待たせしちゃってすみません、大丈夫ですか?」
「気にするな。楽しそうなアコが見れて俺は満足だ」
「すっかり遅くなっちゃいましたね」
「飯はこの辺で食っていくか」
「え、いいんですか?でも無駄遣いするなって言われてるんですけど」
実を言うとこの島の店の料理を食べてみたいとは思ってた。
だからありがたいんだけど。
「アコが喜ぶなら無駄じゃないだろう?」
「・・・・・有難う御座います」
・・・・素直にお言葉に甘えることにする。
何食べようかな、と考え始めたところで、
「・・・・・・・・・あ」
大切なことに気づいた。
・・・・・・・・・・・・しょうが、買い忘れた。
どうしよう、絶対買って来いって言われてたのに。
もうお店は何処も閉まってる時間だ。
「アコ?どうした?」
どうしよう、私のミスだ。
どうしよう、どうしようどうし「アコ」
赤髪さんの私を呼ぶ声にはっとした。
「買い忘れが、ありました。私の責任です・・・ごめん、なさい・・っ!」
「落ち着け、アコ。それは絶対なきゃいけないもんか?」
「ロンさんが・・絶対買って来てくれ、って」
私の頭は真っ白で、どうしよう、ってことだけ、なのに。
「そうか。じゃあ2人で怒られるとするか」
赤髪さんはそう言ってのんきに笑う。
「赤髪さんは悪くないです!悪いのは私で!」
そう、自分のことしか考えてなかった私1人だ。
「あのな、アコ。一緒に居た俺にも責任はある。1人で背負うな。仲間だろう?」
「・・・・なか、ま」
「それに船長は俺だからな」
「・・・・・・・あ」
そう、だった。
「・・・まさか忘れてたのか?」
「ご・・・ごめんなさい」
忘れてた。
というか、考えもしなかった。
仲間。
・・・・私は1人じゃ、なかった。
+忘れてた 終+