3千万ベリーの恋
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お昼ごはんを食べ終えて、
皆が船を降りて行く。
勿論私とシャンクスも降りる。
「行くか、アコ」
「あ、うん」
戸惑いながらシャンクスに並んで歩き始めると、
周りにいた人たちが面白そうに笑いながら「お、アコはお頭とデートか?」
なんて言う。
しかもシャンクスがソレに対してすぐに、
「羨ましいだろ?」
と返すもんで、私は否定する間もない。
デートではない。
決して、そんなんじゃない。
ただの買い出しだ。
「シャンクスは買うもんないの?」
「酒」
間髪入れずに返ってきた答えに私は思わず肩を落とした。
「・・・・身体大丈夫?」
「そんなヤワな身体じゃねえつもりだが。ああ、もし何かあったらアコが看病してくれるな。それもいい」
「何処が」
よくねえ!
「で、まずは服か。とりあえず適当な店に入ってみるか?」
「うん、そだね」
町は結構賑わっていて、色んなお店がある。
まず目に入った店に入ることにした。
結構普通の服屋だ。
可愛いのもある。
「とりあえず店のもの全部持ってきてもらうか」
「は?」
「その中で気に入ったものを買えばいい」
さらりと笑顔で言ってのけるシャンクス。
「いやいや、何それ怖い。普通に気になったもの選んで買うし」
「アコは欲がねえなあ」
「そんなことないと思う。至って普通だと思う」
「んーじゃあ言ってみろよ」
不思議そうな顔をするシャンクス。
これがセレブというものか。
「普通に見て普通に選んで普通に買い物したい」
つまんない女、と言われるだろうか。
いやそれでも私はそれを望むね、うん。
「アコは可愛いなー」
よしよし、と頭を撫でられた。
その目があまりに優しくて驚いた。
「他にはないのか?」
驚いてるのと恥ずかしいのとで何も言えない私に、にこにこと楽しげに話してくれるシャンクス。
私たぶん今顔赤いんだろうなあ。
だって顔、熱い。
「・・・・・・休憩中はゆっくりご飯食べたい。閉店作業を増やさないで欲しい、
帰ったらおかえりって言ってくれて、ご飯を作ってくれる人が居たらいい」
思いついたのは全部あちらの世界でのことだ。
それでもシャンクスは優しく、
「そうか」
と言ってくれた。
「・・・・・シャンクスは酒だけ飲んでれば満足そうだよね」
色んな恥ずかしさを誤魔化す為にわざと茶化してみる。
「いや?そうでもないさ」
けれどシャンクスは気にもとめずに答えてくれた。
へえ、酒以外にも欲しいものあるんだ。
「そうなの?何が欲しいの?」
「欲しいというか・・・そうだな。例えば今ならアコと手ェ繋ぎてえなーとか」
射抜かれた視線にドキリとした。
「でも繋いでたら服見れなくね?」
「見れるだろ?ほら」
ほら、と言いながらシャンクスは私の左手をとり、自分の右手と繋がせた。
ちゃっかりしてるというか、上手だなあと感心してしまう。
「・・・・・シャンクスも欲ないよね」
「そんなこともないんだがな。ただ無理やり手に入れようと思えば出来る」
「そりゃまあお金持ちだもんねー」
「金で買えるモンならな」
「お金で買えないんだ?」
「傷つけちまうかもしれないな」
「おやおや。あ、この服可愛いー。ナミさんに着て欲しいなーコレ」
シャンクスの話しはよくわかんなくて。
そして私も一応女。
可愛い服を見つけて反応してしまう。
「お、いいな。着て見せてくれ」
けれどそんな私をシャンクスは怒らなかった。
「じゃあこれとーあ、これも着てみたいかも」
「あれもいいんじゃないか?」
「よっしゃ!じゃあちょっと着てくる!」
ぱ、と離れた手。
心の中で疼く罪悪感と、寂しさと。
幾ばくかのもやもやを抱えながら
私は試着室の中へと逃げ込んだ。
+欲しいもの 終+