いざ、勝負
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「もしかして父親はアコの存在を知らないのか?」
「いえ。父は母が私を身篭ったことを知った上で海に戻ったそうですよ」
「・・・恨んでいるか?父親を」
赤髪さんの当然の質問に私は首を横に振った。
普通に考えれば無責任で最低な男だと思う。
でも、
「母が・・・それでいいって言ったから。海の上で自由にしてるあの人が好きだから、これでいいって」
「ほう」
「本当に嫌ならどんな手を使っても船に乗り込んで一緒に行くような母だから。大丈夫、って見送ったならそれでいい、と」
「だがそれはアコの気持ちじゃないだろう?」
そう、それは母の気持ち。
でも私の気持ちは、
「正直顔もよく知らない父親のことなんて恨めないですよ。
それでも母は父に出会えて幸せだって笑ってたし私もそれでいいと思ってます。それに」
「・・・・それに?」
「それに・・・・私達を残して父1人がのほほんと暮らしてる訳じゃないですから。海賊として命をかけて生きてる」
そして今私も。
父と同じように海賊として生きてる。
「で、どうだ?」
「え、何がですか?」
「自分も父親と同じ海賊になった気分は」
平然とそんなことを聞いてくる赤髪さんに少し驚く。
・・・・普通そこは気を遣うもんじゃないんですかね。
ま、いいけど。
「正直まだ実感湧かないです。・・・なるべくご迷惑はかけないように、しますので」
「別に構わないんだがな」
「は?」
「迷惑なんてこっちもかけるしな。そういうのはお互い様だろ?むしろアコの迷惑なら喜んでもらうさ」
「・・・・・・はあ」
正直何て返事していいかわからない。
開いた口が塞がらない、っていうか。
「あまり気負うな、アコ」
のんきに笑う赤髪さんを見つめて、私の頭には疑問しか浮かばない。
・・・・だってここは四皇の船で、私はそこのコックで。
気負うなって方が無理だと思う。
「まあ飲め!な!」
だっははは、と彼はまた笑う。
そして持っていたコップにお酒を注がれた。
私は考えることを放棄することにした。
「ふあ・・・・」
お酒も入ったからか、眠くなって来た。
私は明日が初仕事だし、そろそろ寝るかな。
「そろそろ寝るか、アコ」
「そう、ですね。そうさせて頂きます」
明日は朝早く起きて、やらなければいけないことがたくさんある。
「で、どうする?」
「え。あー、えっと、お願いします」
どうする、の意味がわかって少しだけ恥ずかしくなる。
「よし、じゃあ行くか」
「お酒・・・もういいんですか?」
「ああ、気にするな」
赤髪さんには悪いけどせっかくだし聞いてみたい。
ルフィ君の話を。
「アコはルフィについてどこまで知ってるんだ?」
部屋に向かいながらそんなことを聞かれた。
「どこまで、って言われても・・・ほとんど知りません」
「・・・・知らないのか?」
「手配書見て、一目惚れしたんです」
麦わらのルフィ君の、あの満面の笑顔。
一目見ただけで幸せになれた。
心があったかくなる。
「一目惚れ、か。それならこっちにも勝ち目はありそうだな」
「・・・・どうでしょうね」
話を聞けばきっともっと好きになる気がしてる。
逸る心をおさえながら部屋へ入った。
+眠る前 終+