いざ、勝負
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「贅沢」
ぽつりと呟いた言葉は独り言のつもりだったけど、意外にもそれは隣で飲んでいた赤髪さんに拾われた。
「何が贅沢なんだ?」
「・・・ここのご飯です。だってこんなに美味しいのに、おふくろの味を求めるなんて」
自分の料理の腕を買ってくれたのは嬉しいけど、やっぱり贅沢だなあと思う。
すると赤髪さんは苦笑して、
「まあ、そう言ってくれるな。何ならアコには俺の飯だけ作ってもらうだけでもいいんだがな」
そんなことを言う。
「一応私はこの船の料理人として雇われて来ましたのでそういう訳には・・・船長命令じゃないですよね、赤髪さん?」
「なんだ、戻っちまったのか」
「え?」
「いや、何でも。ただの俺の願望だ。・・・船長命令なら何でもしてくれるのか?」
にや、と不敵に笑う赤髪さんに少しむっとした。
「まさか。ただ船長命令があって、それに逆らうときがあるなら船を降りる覚悟はしてます」
「降りてどうする?」
「1人で麦わらのルフィ君に会いに行きます」
「・・・それは困ったな」
たいして困った風でもなく呟く赤髪さんに首を傾げる。
「何か困ったことになります?」
料理人は私の他にも居るし、
おふくろの味だって探せばきっと居る。
私でなくては駄目な理由なんてない。
「アコが居ないと船が動かせない」
・・・・赤髪さんの答えはよくわからない。
「私航海士じゃないですけど」
私が居なくても船は動くでしょうに。
「アコを見つけて必ず連れ戻す。それまで船は出さない」
「・・・・・無理やり連れ出す気はないって言ってませんでした?」
「今更手放す気はないな」
「・・・まあいいですけど。それよりお願いがあるんですけど、赤髪さん」
この船に乗ったもう1つの目的。
忘れるとこだった。
「ん、何だ?」
「麦わらのルフィ君のお話、聞かせてもらえませんか?」
奇跡的にも幼い頃の麦わらのルフィ君を知っているという赤髪さんに出会えたのも何かの縁。
聞きたい、すごく。
「・・・そうだなあ」
赤髪さんは少し考えて、
「条件がある」
「・・・・何ですか?」
何か嫌な予感しかしないんですけど。
「一緒に寝てくれ」
「・・・・・・・・・・・・はい?」
「部屋にベッドは1つしかないだろう?そのベッドで一緒に寝るって言うならいいぞ」
一瞬、思考が止まった。
・・・・・・今、何て?
「勿論何もするつもりはないから安心していい」
赤髪さんと一緒のベッドで、寝るとか。
安心・・・・出来るの?
どうしよう。
「どうだ?」
どうだ、って言われても。
「寝る時間が違うと問題あるのでは・・・?」
「話を聞きたい時は言ってくれれば合わせるが」
一緒に寝るっていうのはものすごく恥ずかしい。
でも・・・・!
幼い頃の麦わらのルフィ君の話は本当に貴重だ。
「・・・・・じゃあお願いします」
「決まりだな」
にぃ、と口の端をあげて赤髪さんが笑った。
「俺はアコの話が聞きたい」
「私の、ですか?」
「そうだな・・・例えば父親の話とか」
「・・・・・それは」
聞かれたくないような、どちらでも構わないような。
「ルフィのこともそうだが、俺達の時もそうだった。アコが海賊を怖がらないのは父親が海賊だからか?」
「・・・・父のことは、まったく知りません」
そうして私は父のことを話し始めた。
+お願いがあります 終+