いざ、勝負
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「ほう?どんな海賊なんだ?」
「母さん、余計なこと言わないでよ」
「本当のことじゃない。その海賊を追いかけて海に出るのがこの子の目標なんですよう」
・・・・正直、今ほど母さんの口にチャックがあったら、と願った時はない。
会話を聞きながら手を動かすことはやめないけど。
よし、あとは盛り付けだけ。
「止めないのか?」
「止めても無駄ですもの。この子が1度行くって決めたら。それに父親も海賊ですから」
「・・・・そうか」
仲良く会話してるとこへ、
「はい、A定食。これがB定食で、こっちがつまみセットです」
とんとんとん、とそれぞれの席へ料理を置いていく。
「ああ、すまないな。俺はシャンクスだ」
「知ってます」
「こっちの顔の怖いのがベンベックマンで、そっちは」
「ヤソップだ」
つまみセットを頼んだのがベンベックマンさんで、B定食はヤソップさんか。
向こうが名乗った以上私も名乗らないわけにはいかない、か。
「・・・・アコです」
「アコか。いい名前だな」
赤髪さんはそう笑って、いただきます、とA定食に手を伸ばした。
「・・・・美味い。こりゃあ確かに噂どおりだ」
そしてそう言って笑った。
その言葉に母さんとおじさんが2人で顔を見合わせてハイタッチしてるのが見えた。
「そりゃどうも」
「どう思う、ベン、ヤソップ」
赤髪さんのその聞き方に私は違和感を覚えた。
「・・・・・・?」
ただ味の感想を聞くだけなら、そんな聞き方はたぶんしない。
聞かれた当の2人のうち、まず最初にベックマンさんが仏頂面で答えた。
「他の問題が多すぎる」
そして次にヤソップさんが、
「確かになぁ」
と呟いた。
けれど赤髪さんが笑ってそれに対し、
「たいした問題じゃないだろう」
とか言っている。
私はフライパンやら包丁やらを洗いながら、あんまりお客さんの話に聞き耳立てるのも悪いか、と別のコトに思考を移そうとした。
が、
「アコ」
名前を呼ばれて驚いた。
「・・・・何か?」
「単刀直入に言わせてもらう。コックとして俺の船に来てくれないか?」
絶句。
まさに言葉が出ない、状況。
赤髪さんのその言葉にまず反応したのはおじさんで、
「すごいじゃないかアコちゃん、ああでも居なくなっちゃうのは寂しいなあ」
そして次に母さんが、
「さすが私の娘!よくやったわ!」
・・・・・・・いやいやいや、
「私行きませんけど」
当然のようにそう返せば、
ベックマンさんが
「ほらみろ」
と言う。
「だがいつかは海に出るんだろう?出来るだけのことはさせてもらう。考えてくれ」
「海賊船が安全だと思います?」
「何、そのへんは心配するな。アコ1人くらいなら守れる」
「そうよアコ、1人で海に出るより安全じゃない」
母さんのもっともな台詞に意外にも反応したのは赤髪さんで、
「・・・1人で海に出るつもりだったのか?」
驚いた顔で聞いてくる。
「そうですけど」
「そんなに会いたいのか、その海賊に」
「会いたいです」
「どんな奴なんだ?」
会ったことはないけど、部屋に手配書を貼って、毎日見ている。
「・・・・ルーキーで。強くて、カッコ良くて」
「ルーキー?トラファルガーローか?」
「違います」
「ユースタスキッド?」
「違います。強くてカッコイイだけの人なんて私好きになりませんから。・・・笑顔が、可愛い人です」
その顔を思い出すだけで胸がきゅん、となる。
あたたかい気持ちにしてくれる、笑顔。
「・・・・海賊で、笑顔で可愛い?」
「です」
「・・・・まさかとは思うがな、アコ」
私の想い人。
麦わらのルフィ君。
+想い人 終+