いざ、勝負
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かの四皇、赤髪のシャンクスが来た、と。
港は大騒ぎになってるらしい。
新世界の、さほど大きくないこんな辺鄙な場所にどんな理由があって来たのかは知らないけど。
「興味ないの?アコ」
「私が好きなのはあの人だけだもん」
にやにやと問いかける母さんにしれっと答える。
胸に思い描くのはただ1人。
いつか会うことが出来たなら、と。
「さっき女の子達が騒いでたわよ?カッコイイ!イケメン!って」
「私カッコイイ人に興味ないの」
「あら」
「それに四皇ともあろう人がうちの店になんか来ないって」
うちが経営するのはいわゆる大衆食堂で、お酒はあるけどメインは家庭料理だ。
酒好きで有名な赤髪のシャンクスは来ないだろう。
「来るかもしれないじゃない、ご飯食べに。まだ昼間なんだから」
「まあ誰であろうとお客さんなら平等に接するだけだし」
がら、と扉が開いた。
「あ、おじさんいらっしゃい」
入ってきたのは常連のおじさんで、いつもの席に座ると、
「アコちゃん、見たかい?赤髪のシャンクス!」
「・・・・開口1番にそれですか。注文は?」
「B定食で。いやあ堂々としていい男だねありゃ。さすがは四皇だ」
・・・・正直その話題にはもう飽きた。
「・・・ニセモノかもよ?」
「厳しいねえ、アコちゃん。でもあれは見ればわかる、本物だよ」
「ごめんなさいねえ、この子興味ないみたいで」
「いやあ見たらころっと落ちるんじゃないかい意外と」
「ないですね。私好きな人居るし」
母さんとおじさんが2人揃って苦笑したところで、またドアが開いた。
「いらっしゃいませー」
入ってきたお客さんの顔ぶれを見て、私も母さんも、おじさんも固まった。
「酒はあるか?」
「・・・・・・・少しなら」
酒が飲みたいならうちの店に来ないで下さいよ、大衆食堂なんだから。
そんな言葉をぐっと飲み込んで笑顔を作った。
お客さん相手なんだから。
そう、
例えそのお客さんが、
赤髪、目に3本傷のある隻腕の四皇の海賊だったとしても、だ。
側には2人の男の人。
側近、とかなのかな。
まあうちは広くもない店だしぞろぞろ連れて来られても困るんだけど。
「やあ、今噂してたとこだ。実物はやっぱりいい男だねえ」
「うちはたいしたもんは出せませんけど、ゆっくりなさって下さいね」
おじさんと母さんは途端に上機嫌。
「ああ、有難う。飯ならここが美味いと聞いてきたんだ」
「はい、お酒です。他にご注文は?」
3人の前にお酒を出して、笑顔で問いかける。
「おススメは?」
「A定食」
赤髪さんの挑戦的な目につい声が強張った。
負けず嫌いの血が騒いだ、というべきか。
「なら、それをもらおう」
「かしこまりました、そちらのお2人は?」
「つまみになりそうなのを適当に頼む」
「俺はB定食でも食うかな」
「・・・・はい、少々お待ちを」
笑顔を忘れず返事して、準備に取り掛かった。
「すみませんね、この子愛想なくて」
母さんが苦笑しながら謝罪する。
・・・・私なりに愛想あるつもりなんだけどな。
「いや、俺達は海賊だしな。気にしちゃいねえさ」
「あら、海賊が嫌いな訳じゃないんですよこの子は。だって好きな人が海賊なんだもの」
母さんの余計な一言に、赤髪さんの顔が楽しそうなものになった。
その時の嫌な予感は当たることになる。
+噂の人物 終+
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