何度でも、君と
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「で、その指輪は何処にあるの?」
「今はない」
仕事の前に、ロビンちゃんと軽くお茶タイム。
「あら残念だわ。見たかったのに。まさか断ったの?」
「・・・・・・・・・・断っては、ないけど」
「答えは保留、ってことね」
くす、と笑うロビンちゃんにこくりと頷いた。
だってすぐになんて返事出来なかった。
「アコが嫌なら今のままでいい」
「・・・・・・・・・・・・シャンクスなら夜景の綺麗なレストラン貸し切ってプロポーズかと思ってました」
だからまさか、こんな状況でこんなこと言われるとは思ってなくて。
完全に予想外の出来事に私の頭はパニックになった。
「結婚なんてもんでアコを束縛するつもりはない。アコが側に居てくれんならそれでいいんだ」
言いながら私を見つめるシャンクスの瞳は私を捉えて離さない。
「だが出来ることなら紙の上だけでも、俺はアコを俺の物にしたい」
「わた、しは」
「答えは今でなくていい。何なら都内最高のレストランを貸しきってもう1回言うが」
楽しそうに笑ったシャンクスはやっぱり何処までも優しい。
こんなに優しくて、心が広くて。
素敵な人のプロポーズ。
普通なら泣いて喜んで受ける場面だ。
「嵌めてみて、いいか?」
「え、」
「結構悩んだんだ、これでも。返事がNOでも受け取ってくれ」
「あ・・・・・・・・はい」
そっと私の手を取り左手の薬指に指輪をはめるシャンクスはカッコ良くて。
指にぴったり嵌まったのを見てシャンクスは優しく微笑む。
「ぴったりだな」
「・・・・・・・・・・・サイズ、どうして」
「アコが泊まりに来た時こっそり測った」
指先にきらりと輝くそれは、本当に綺麗で。
シャンクスが本当に私を大事にしてくれるのもわかる。
なのにすぐにYESと言えない私は、
最低だ。
「すごーいルフィ君!」
ルフィ君の成績が上がった。
「ししし!俺頑張ったんだぞ!」
「ね、すごい頑張ったねえルフィ君。偉い!」
満面の笑みのルフィ君に私も嬉しくなる。
これだからこの仕事辞められないんだな。
・・・・・・・・結婚したらこの仕事も辞めなきゃいけないんだよね。
はあ、と思わずため息がもれた。
「ため息減点だぞアコセンセイ」
「あ、ごめんね。ちょっと悩み事」
生徒の前でこんなことじゃいけないな、と思うのに。
ルフィ君の前だとつい話しちゃうなあ。
「ぶっ飛ばせばいいのか?」
「こらこら。・・・・そうじゃなくてね。ね、ルフィ君。先生が居なくなったらどうする?」
「・・・・・・・辞めちゃうのか?」
不安げに呟いたルフィ君は可愛い。
「結婚しよう、って言われてるの。でも迷ってる」
「そいつをぶっ飛ばせばいいんだな!?」
「いやいや、違うから」
「じゃあ好きなのか」
「・・・・・・・・好き、だけど」
「なら何で迷うかがわからねェ」
「え、」
突き刺さる、真っ直ぐな視線。
「お互いに好きなら何で迷うんだ?」
「それは」
大人には色々あるから、とか。
考えて、口にするのをやめた。
ルフィ君になんて言われようと、悩むものは悩む。
「むー・・・・・・・・・」
でも少しだけ答えが見えた気がした。
まだ完全では、ないけれど。
日曜日。友達の結婚式。
「おめでとう!すっごい綺麗ー幸せそうっ」
「お、アコ!来てくれてありがとね!次はアコの結婚式に行くわ私!」
純白のウエディングドレス姿。
友達の幸せそうな笑顔。
「・・・・・・ねね、聞いていい?」
「ん?何?」
「結婚する時不安なかった?」
この際だから聞いてみようと思った。
「不安?んなもん今もあるよー」
「は?」
けれど予想外の答えに開いた口が塞がらない。
「でもまぁ何て言うのかな。ま、いっかって思えたから結婚したの」
「ま、いっか、って」
「そりゃまあ結婚すれば辛いことも悲しいこともたくさんあると思うよ?いっぱい泣くと思うけど」
「・・・・・・けど?」
「けど、どんなにいっぱい泣いてもこの人とならまた笑えるかなって」
そう言って無邪気に笑った友達の顔は、
高校の時のどんな時よりカッコ良かった。
+結婚する理由 終+