何度でも、君と
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『珍しく早く帰れそうなんだ、今日泊まりに来ないか?アコの手料理も食いたい』
と先輩からメールが来た。
ちょっとだけ考えて、
『お酒抜くならいいですよ』
と返した。
ちょっと意地悪だったかな、と思えば、
『了解』
と返ってきて驚いた。
え、お酒抜くの?
以前行った時ものすごーくお酒好きな印象を受けたから、こんな簡単に承諾するとは思わなかった。
その後、
『何か食べたい物ありますか?』
『何でもいい』
と簡単なやり取りをして、
先輩の家に泊まることが決まった。
たぶん食材はあんまりないだろうから、
買い物して行こう。
駅前のスーパーで安かった、
豆腐。
挽肉。
それと魚ともずくを買って、先輩の家に向かった。
・・・・・・・・・・今日の献立予定は、
マーボー豆腐。
メールでは8時半くらいには帰れるって言ってたから、その時間に出来上がるように作ろう。
レシピもネットで調べてきたし。
台所を借りて、集中。
お味噌汁、お魚もうまい具合に焼けて、きゅうりを切ってもずくに入れた。
マーボー豆腐もほとんど完成して、あとは仕上げにネギを切って入れるだけ。
のとこで、
「ぴゃあああ!!」
身体を束縛されて思わず声が出た。
「ただいま、アコ」
耳元で聞こえた声に体の力が抜けた。
「驚かさないで下さいよ・・・・シャンクス」
「驚いた顔も可愛い」
顔を見ればまったく反省してる様子はなく、
しかも、
「このままアコを喰っちまいてェなァ」
とか言ってくれるじゃないですか。
そしてお腹にあった手が段々と上の方へ。
「・・・・・・・・・・・・・・私、シャンクスの為に頑張って料理しました」
「・・・・・・・・・アコ?」
「シャンクスに美味しいご飯食べてもらいたいなあと思って、帰ってくるのを計算して」
そしてにっこりと微笑む。
「それを無駄にしようとおっしゃるならソレ相応の覚悟は出来てるということでよろしいですか?」
「・・・・・・・すまん」
さすがにこれは効いたようで、
ほっとした。
「豆腐、ちょっと崩れちゃったんですけど。・・・味はたぶん、大丈夫なはず、です」
「マーボー豆腐か。美味そうだな」
「先輩辛いの平気ですか?」
言ってから、あ、と思った。
「アコ」
「や、あの、・・・・・んっ」
弁明しようと口を開いたけど、すぐに塞がれてしまった。
先輩の・・・シャンクスの、唇で。
「シャン、クス」
「これから先輩、って呼ぶ度にキスする」
「呼ばなくてもするくせに」
「それもそうか。まあ、いいじゃねえか細かいことは」
「細かくないですけどね」
「飯にしよう。腹減った」
シャンクスはそう言って私を離し、棚からお皿を取り出してきてくれた。
「あ、有難う御座います」
「そういや、辛いのは平気、って話だったか?」
「はい、結構色々入れたので」
お皿に盛りながら聞くと、
「俺は平気だがアコが苦手なんじゃないのか?甘党だろ?」
肯定が返って来たので一安心。
「実は私辛いのもイケるんですよー」
「ほう。そりゃ知らなかった」
それから2人で配膳をして、
「いただきます」
「いただきますっ」
炊き立てのご飯で夕飯。
「ん。美味い」
「ほんとですか?良かったです。ホントはカレーにしようと思ったんですけど、豆腐と挽肉が安かったので」
シャンクスが本当に美味しそうに食べてくれるので、嬉しい。
「駅前のとこか?」
「そうです。あそこデザートも充実してるので重宝してます」
「あそこは酒の種類もあっていいな」
お酒、といえば。
「お酒と言えば、私怒られると思ってました」
「怒られる?俺にか?」
「今日泊まりにくるかって言われた時お酒抜くならいいですよ、って言ったじゃないですか私」
正確にはメールで送った、だけど。
「シャンクスがお酒好きなの知ってて言ったのに」
「そんなことで怒りゃしねえさ。アコが俺の身体の心配してくれてんのはわかるしな」
「前来た時結構飲んでましたからね」
「それに酒飲めないことよりアコに会えないことの方が辛い」
「18年間会えなかったですもんね」
シャンクスが卒業してからずっと会わなかった。
あの頃はもう会おうとも思わなかったし、
会いたいとも思わなかった。
「俺はずっと見てたがな」
「・・・・・・・・・・・はい?」
え、空耳?
驚く私を楽しそうに見てシャンクスは続けた。
「アコが卒業するまではたまに見に行ってたんだ、学校に」
「えええ!?」
「卒業してからもたまに会いに行ってた」
「・・・・・・・・全然気づきませんでした」
衝撃。
「バギーを覚えてるか?」
「わ、懐かしい。バギー先輩目立ってたからよく覚えてますよ」
「あいつあの学校の教師やってるんだ、今」
そしてまた更なる衝撃。
「あのバギー先輩が教師!?」
「それでアコの卒業アルバムを手に入れた」
ああ、それで私の卒アル持ってたんだ。
ちょっと納得。
手に入れた理由は聞いたけど入手航路は聞けてなかったから実は少し気になってた。
「・・・・ずっと、この時を待ってたんだ」
「この時?」
「理由がなくてもアコに会える。家に帰ってアコが居る。
俺の名前を呼んでくれて、抱きしめても逃げない」
ゆっくりと紡がれた愛の言葉に、段々と心臓がうるさくなってくる。
「夜は俺のシャツを着て寝てくれるんだよな?」
けれど、この一言で一気に落ち着いた。
「あ、私今日家から寝間着持って来ました」
そういえばシャンクスはあからさまに残念そうな顔をして、
それがすご面白かった。
+愛の言葉に 終+