何度でも、君と
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「マイナスイオン全開ですね、先輩!」
シャンクス先輩と再び付き合うことになって、初めてのデート。
都内で有名な庭園に来てみた。
・・・・・・・・・・・・・んだけど。
「・・・・・・・・・・・・あ、あそこ鯉居ますよ先輩っ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え、餌もあげられるみたいですよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
天気も良くて、
木漏れ日が綺麗で。
時折頬を撫でる風も爽やかで気持ちいい。
なのに先輩は不機嫌だ。
「俺はもうアコの先輩じゃないだろう」
「・・・・・・・・・・・すみません」
「その敬語も、だ」
私が『先輩』と呼ぶことと、
敬語を使うことが気に食わないらしい。
「シャンクス先輩」
「あのな、アコ。昔は学生だったからそれでも良かったが、今は違うだろ?」
「だっていきなり呼び捨てなんてハードル高すぎます!」
「高くない。ほら呼んでみろ。シャンクス」
これ以上先輩のご機嫌を損ねる訳にはいかない。
・・・・・・・・・・・言わなくては!
「・・・・・・・・・・・・・・・・シャンクス」
「これからそう呼ばなきゃ返事しないってことにするか」
搾り出した名前に嬉しそうに笑った先輩に一安心。
でも、
「・・・・・・・酷いです」
呼び捨てで呼ぶことがどれだけ勇気いるか先輩はわかってない!
「せっかくまた両思いになれたのに、名前呼んでもらえねえ俺の気持ちも考えてくれ」
言いながら子供にするように頭を撫でてくれる。
「好きだから言いにくいっていう私の気持ちも考えて下さい」
「そんなに嫌か?」
「嫌なんじゃないです恥ずかしいんです」
「恥ずかしがる顔も可愛いからなァ。悪くねえな」
「・・・・・シャンクスのバカ」
付き合う前はもうちょっと優しかった気がする、なんて思っちゃう。
「そう言うな。ほら、餌買うんだろ?」
「買いますっ」
「・・・・・・・・敬語はそう簡単には直らねえか」
「・・・・・・・・・・・ごめんなさい」
「まあ、今は名前だけでいいさ」
そう言うと先輩は売店で鯉の餌・・・お麩を2つ買ってくれた。
「あ、お金払います」
「こういう時は払わなくていい、って言ったハズだぞ」
「え、いつですか?」
「前付き合ってた時」
「・・・・・・・・・・・・・有難う御座います」
正直よく覚えてないんだけど、
素直に甘えることにする。
先輩からお麩を受け取って、
「あの辺でどうですか?」
餌をあげるポイントを探す。
「餌やりに夢中になって落ちるなよ?」
「・・・・・・・・・・はーい」
池に近づくだけで、鯉が集まってきた。
まるまる1個あげるのは大きすぎて食べにくいかな、と半分にちぎって投げ入れた。
すると物凄い勢いで餌を取ろうと奪い合う鯉。
「わ、すごい勢い・・・・お腹すいてるんですかね、って、先輩っ」
我先にと身を乗り出す鯉達を見ていたら、お腹に手が回された。
後ろから抱きしめられてる、ような。
「・・・・・・・・・・違うだろ?アコ」
「・・・・・・・・・・何してるんですか?シャンクス」
「アコが落ちないようにしないとな」
「そんな簡単に落ちませんから!」
「どうだかな。とにかく離す気はねえよ」
言葉の通り先輩の腕に力が入った。
「ご心配は嬉しいんですが、せめて体制変えて下さい!人に見られたら恥ずかしいです」
「よし、落ちたらホテル直行だな」
「シャンクス!」
「落ちなくてもアコがいいなら今すぐ行くが」
「行きません!」
先輩のせいで、(本当に先輩のせいだと思う)鯉への餌やりは早々に終えた。
「俺はもうちょっとあのままで良かったんだがな。残念だ」
「昔はあんなことしなかったのに」
「あの頃は我慢してたんだ、色々と」
「今も我慢して下さい」
「必要ないだろう?俺達はもう大人だしな」
「大人だからこそ我慢が必要です」
とそこへ、携帯の着信が鳴った。
「私の携帯じゃないですね」
「俺のだな。すまん」
画面を一瞬だけ見た。
・・・・・・・・・ベンさんから、だ。
「もしもし?ああ。・・・・・・そうか」
低くなった声に嫌な予感がして、
私は先輩の服の袖を軽く摘んだ。
すると次の瞬間、電話を持ってない方の手で腰をぐっとつかまれて、引き寄せられた。
目線は前で、真面目に電話してる先輩に。
「ああ、頼む」
そう言って先輩は電話を切った。
「アコ、すまん」
「え、」
やっぱり急な仕事?
「取引先の女社長が俺に会いに来たらしい」
「・・・・・はい」
「だが俺は断った。すまんな」
「え?」
ああやっぱり、と思った瞬間まさかの言葉が出て来て驚いた。
「仕事・・・・行かないんですか?」
「誰が行くか」
物凄く嫌そうに顔を顰めた先輩に私は呆然。
「・・・・・・・それ私に謝ることじゃないですよね」
「せっかくアコが、仕事してる俺が好きと言ってくれたんだがな」
「あ」
「だが悪いが俺はアコとこのままデート続行させてもらう」
そう言っていつか何処かで見たような、悪い顔で笑う先輩に胸がしめつけられた。
「・・・・・・・・ごめんなさい」
「ん?」
「ホントなら私のことはいいから行って下さいって言わなきゃいけないのに」
それが本当の先輩の為だってわかってるのに。
「でも私シャンクスに側に居て欲しい。私まだやっぱり子供です」
じ、っと真っ直ぐ先輩を見る。
「アコ」
「わ!?」
私はそのまますっぽりと包み込まれた。
「愛してる」
「・・・・・・・・・・・はい」
そしてそのまま、
私達は大人のキスをした。
+大人と子供 終+