ライセンス藤原一裕の夢小説
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浮気相手
(夢主 視点)
「ホントあんたらラブラブだよね?」
友達が、私と彼氏を見て羨ましそうにそう言った。
……そう見えるでしょう?
「そんなこと無いよ~、ねぇ?」
私は彼氏の腕に抱き着いて、その顔を上目で見ると。
「いや、実際ラブラブじゃんw」
彼氏は冗談っぽくそう言いながらも、私の腰を抱き寄せる。
こうすれば、私達……羨ましいぐらいラブラブに見えるでしょう?
友達を最寄りの駅まで送った私と彼氏は、私の住んでいるアパートの前までやって来た。
「送ってくれてありがとう」
私は嬉しそうな笑みを装って、彼氏の頬にちゅっとキスをする。
「じゃぁ、また明日な」
「うん!」
去っていく彼氏の姿を、見えなくなるまで手を振って見送ると。
私は自分の家ではなく、近隣に聳え立つ高層マンションに向かって歩き出した。
手慣れた手つきでマンションの中へと入り、とある階の部屋へとやってくる。
長い廊下を歩いてリビングのドアを開けると、少し寂しそうな表情をした男の姿があった。
「遅いやんか、ミサ」
「ごめん……一裕 」
ここは藤原一裕のマンションだ。
ただ、一裕の家じゃない。
奥さんや子供と住んでいる家は他の所にあって、私と浮気するために借りたマンション。
私は鞄を適当な場所に置いて、上着を脱いでソファに座す一裕の隣に座る。
唇を近づけると、少しだけお酒の香りがしたけど、構わず唇を重ねた。
私は、浮気してる。
お笑い芸人、ライセンスの藤原一裕と。
唇が離れて、目蓋を開くと一裕と視線があう。
「なんで落ち込んでるの?」
「ちょっと……女と喧嘩してん」
一裕にとって、私は数いる浮気相手の一人だった。
「……ふーん。それでかぁ」
「ホンマ、面倒くさい……」
嫌そうな顔をする一裕に、面倒くさいなんて彼女が可哀想、 なんて、浮気相手が言える事じゃない事を思う。
「……別れちゃえばいいじゃん」
「……」
私の一言に、一裕は眉間に皺を寄せた。
それでも、私は言葉を続ける。
「面倒臭いと思うぐらいなら……別れりゃいいじゃんか」
私は言いながら、一裕から目を逸らした。
ドクン、ドクン、と心臓か高鳴って、緊張が走る。
「……ミサは、どなして欲しい?」
「え……」
一裕の方を見ると、彼は真剣な顔をしていた。
「……好きなんやろ、俺の事。ホンマの彼氏よりもずーっと」
「……」
今度は胸がドキン、ドキン、とする。
「私は……」
私は一裕の事が好きだった。
好きで、好きで、大好きで。
出会う前からずっと好きだった。
……なら、迷う事なくない?
私はハッと我に返って、その場で立ち上がった。
「ごめん一裕! ちょっと待ってて!!」
私は一裕の家から駆けだす。
走って走って走って、私は先程見送った彼氏の背中を見つけた。
「ねぇ……待ってっ!!」
その背中に抱きついて止めると、彼氏は驚いた顔をして振り返る。
「……ミサ……!?」
私は荒くなった呼吸を整えると、叫ぶように言った。
「ごめん……! 私……ずっと浮気してた!」
「……は!?」
「私ずっと、アナタ以外の人を愛してた! だから別れよう!」
「え……!?」
彼氏は、私の告白に表情と言葉を失う。
私はもう一度だけごめんを言って頭を下げると、踵を返して再び走り出した。
愛する人の家に向かって。
急く気持ちを押さえながら、また部屋のドアを勢いよく開く。
──ガチャッ!!
「一裕ッ……!」
息を切らせながら一裕の姿を見ると。
あんなに荒かった息が止まった。
一裕が。
知らない女とキスをしていたから。
一裕とキスをしていた女が、閉じていた虚ろな瞳を開くと私と目が合う。
「この子だぁれ?」
すると一裕は。
「ああ、あの子? 浮気相手」
そう冷たく言って、こちらを一瞥した。
私はその場へと崩れ落ちる。
あーあ。
やっぱり私って、一裕にとって浮気相手の一人だったんだ。
なのに勘違いして、彼氏と別れて。
全部、無くしちゃった。
涙が溢れて、鏡のように磨かれたフローリングにぽたりと落ちた。
それでも私は、一裕を想ってしまう。
「私……彼氏と……別れ、たの……っ一裕、が……好き……だから。一裕……に、彼女が居ても良い。奥さんと……子供が居ても……良い、から……私は一裕だけ……っ」
ボロボロな声で、涙を零しながらそう言うと、ソファから立ち上がった一裕が私のもとへやって来た。
きっと振られちゃうんだろな、私。
もう浮気相手でも居られない。
そう思うと、涙が溢れて溢れて……
俯くと、涙が更にフローリングを濡らした。
「ミサ。顔上げて」
言われた通り顔を上げると。
目の前にしゃがみ込んだ一裕は、私の唇にキスをする。
驚いて目を見開くと、一裕はさっきまでキスしてた女の方へ振り向いて。
「……さっきの訂正。この子は浮気相手じゃなくて、俺の彼女や」
そう言って一裕は、見せ受けるようにまた私にキスをした。
深く、深く、唇を溶かし合わすように。
気が付くと、一裕とキスをしていた女は居なくなっていた。
「好き……一裕……好きなの」
「俺も好きや……ミサ」
こうして私は。
一裕の浮気相手から。
一裕の彼女になった。
THE END
(夢主 視点)
「ホントあんたらラブラブだよね?」
友達が、私と彼氏を見て羨ましそうにそう言った。
……そう見えるでしょう?
「そんなこと無いよ~、ねぇ?」
私は彼氏の腕に抱き着いて、その顔を上目で見ると。
「いや、実際ラブラブじゃんw」
彼氏は冗談っぽくそう言いながらも、私の腰を抱き寄せる。
こうすれば、私達……羨ましいぐらいラブラブに見えるでしょう?
友達を最寄りの駅まで送った私と彼氏は、私の住んでいるアパートの前までやって来た。
「送ってくれてありがとう」
私は嬉しそうな笑みを装って、彼氏の頬にちゅっとキスをする。
「じゃぁ、また明日な」
「うん!」
去っていく彼氏の姿を、見えなくなるまで手を振って見送ると。
私は自分の家ではなく、近隣に聳え立つ高層マンションに向かって歩き出した。
手慣れた手つきでマンションの中へと入り、とある階の部屋へとやってくる。
長い廊下を歩いてリビングのドアを開けると、少し寂しそうな表情をした男の姿があった。
「遅いやんか、ミサ」
「ごめん……
ここは藤原一裕のマンションだ。
ただ、一裕の家じゃない。
奥さんや子供と住んでいる家は他の所にあって、私と浮気するために借りたマンション。
私は鞄を適当な場所に置いて、上着を脱いでソファに座す一裕の隣に座る。
唇を近づけると、少しだけお酒の香りがしたけど、構わず唇を重ねた。
私は、浮気してる。
お笑い芸人、ライセンスの藤原一裕と。
唇が離れて、目蓋を開くと一裕と視線があう。
「なんで落ち込んでるの?」
「ちょっと……女と喧嘩してん」
一裕にとって、私は数いる浮気相手の一人だった。
「……ふーん。それでかぁ」
「ホンマ、面倒くさい……」
嫌そうな顔をする一裕に、面倒くさいなんて彼女が可哀想、 なんて、浮気相手が言える事じゃない事を思う。
「……別れちゃえばいいじゃん」
「……」
私の一言に、一裕は眉間に皺を寄せた。
それでも、私は言葉を続ける。
「面倒臭いと思うぐらいなら……別れりゃいいじゃんか」
私は言いながら、一裕から目を逸らした。
ドクン、ドクン、と心臓か高鳴って、緊張が走る。
「……ミサは、どなして欲しい?」
「え……」
一裕の方を見ると、彼は真剣な顔をしていた。
「……好きなんやろ、俺の事。ホンマの彼氏よりもずーっと」
「……」
今度は胸がドキン、ドキン、とする。
「私は……」
私は一裕の事が好きだった。
好きで、好きで、大好きで。
出会う前からずっと好きだった。
……なら、迷う事なくない?
私はハッと我に返って、その場で立ち上がった。
「ごめん一裕! ちょっと待ってて!!」
私は一裕の家から駆けだす。
走って走って走って、私は先程見送った彼氏の背中を見つけた。
「ねぇ……待ってっ!!」
その背中に抱きついて止めると、彼氏は驚いた顔をして振り返る。
「……ミサ……!?」
私は荒くなった呼吸を整えると、叫ぶように言った。
「ごめん……! 私……ずっと浮気してた!」
「……は!?」
「私ずっと、アナタ以外の人を愛してた! だから別れよう!」
「え……!?」
彼氏は、私の告白に表情と言葉を失う。
私はもう一度だけごめんを言って頭を下げると、踵を返して再び走り出した。
愛する人の家に向かって。
急く気持ちを押さえながら、また部屋のドアを勢いよく開く。
──ガチャッ!!
「一裕ッ……!」
息を切らせながら一裕の姿を見ると。
あんなに荒かった息が止まった。
一裕が。
知らない女とキスをしていたから。
一裕とキスをしていた女が、閉じていた虚ろな瞳を開くと私と目が合う。
「この子だぁれ?」
すると一裕は。
「ああ、あの子? 浮気相手」
そう冷たく言って、こちらを一瞥した。
私はその場へと崩れ落ちる。
あーあ。
やっぱり私って、一裕にとって浮気相手の一人だったんだ。
なのに勘違いして、彼氏と別れて。
全部、無くしちゃった。
涙が溢れて、鏡のように磨かれたフローリングにぽたりと落ちた。
それでも私は、一裕を想ってしまう。
「私……彼氏と……別れ、たの……っ一裕、が……好き……だから。一裕……に、彼女が居ても良い。奥さんと……子供が居ても……良い、から……私は一裕だけ……っ」
ボロボロな声で、涙を零しながらそう言うと、ソファから立ち上がった一裕が私のもとへやって来た。
きっと振られちゃうんだろな、私。
もう浮気相手でも居られない。
そう思うと、涙が溢れて溢れて……
俯くと、涙が更にフローリングを濡らした。
「ミサ。顔上げて」
言われた通り顔を上げると。
目の前にしゃがみ込んだ一裕は、私の唇にキスをする。
驚いて目を見開くと、一裕はさっきまでキスしてた女の方へ振り向いて。
「……さっきの訂正。この子は浮気相手じゃなくて、俺の彼女や」
そう言って一裕は、見せ受けるようにまた私にキスをした。
深く、深く、唇を溶かし合わすように。
気が付くと、一裕とキスをしていた女は居なくなっていた。
「好き……一裕……好きなの」
「俺も好きや……ミサ」
こうして私は。
一裕の浮気相手から。
一裕の彼女になった。
THE END