ライセンス藤原一裕の夢小説
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白雪
(夢主 視点)
手に、入らなかった。
忘れられないくらい愛した人。
艶やかな黒い髪。
深い二重瞼と、大きな黒い瞳。
形の整った厚い唇。
何より忘れられないのは、その透き通るような白い肌。
本当に美しい人。
今でもあの人の事を愛しているんだと思う。
彼が結婚して、子供が出来たと聞いた時……ショックだった。
だから、私だけのモノにしたかった。
死に物狂いで裏ルートから入手した、とある薬品。
それは、人を眠るように殺す薬。
それを、シェリー酒にこっそりと混ぜて一裕へと渡した。
白い喉仏が、ゴクリ、と動いて呑み干すのを見届ける。
「なあ……」
「なぁに?」
「俺な、お前のこと……」
「……一裕?」
言葉が途中で途切れた事を不信に思って、一裕の方を見ると、彼は眠っているように目蓋を閉じ俯いていた。
眠ったのかな?
グッタリとした体をベッドに仰向けに寝かして、その傍らに腰を降ろす。
「一裕」
彼はピクリともしない。
「ねぇ……一裕、起きて」
起きる筈がない。
一裕は、死んだのだから。
私は、一裕が飲んでいたシェリー酒のグラスを手に取った。
いつもは呑めないお酒に口をつける。
喉が焼けそうな程熱かったけれど、酔える気がしなかった。
天を仰ぐと、ゆっくりと息を吐きだす。
ベッドの上で仰向けに横たわる、愛しい人。
穏やかな表情で、腹部の上で手を組んで、眠っている──ように見える。
さながら、おとぎ話の白雪姫のよう。
しかし、もう二度と目覚める事はないだろう。
私が──殺したから。
白い肌に黒い髪──眠る一裕は白雪姫のようだと思った。
そんな彼の厚い唇にキスをする。
おとぎ話ならこれで目が覚める筈。
しかし、これはおとぎ話じゃなく現実だし、一裕は白雪姫じゃない。
これで良い。
これで良いんだ。
これでもう……一裕は何処にも行かない。
ずっと私の所に居てくれる。
「愛してる……」
嬉し涙かな?
嬉しい筈なのに、涙が出る。
なんでかな?
辛いよ……。
二度と手に入らないかもしれない。
でも、それでも私は。
喜こんで。
怒って。
哀しんで。
楽しげに笑う。
一裕が好きだった。
ごめんね。
ありがとう。
さようなら。
ゆっくり目蓋を閉じると。
二度と目覚めない眠りに。
私も堕ちた。
THE END
(夢主 視点)
手に、入らなかった。
忘れられないくらい愛した人。
艶やかな黒い髪。
深い二重瞼と、大きな黒い瞳。
形の整った厚い唇。
何より忘れられないのは、その透き通るような白い肌。
本当に美しい人。
今でもあの人の事を愛しているんだと思う。
彼が結婚して、子供が出来たと聞いた時……ショックだった。
だから、私だけのモノにしたかった。
死に物狂いで裏ルートから入手した、とある薬品。
それは、人を眠るように殺す薬。
それを、シェリー酒にこっそりと混ぜて一裕へと渡した。
白い喉仏が、ゴクリ、と動いて呑み干すのを見届ける。
「なあ……」
「なぁに?」
「俺な、お前のこと……」
「……一裕?」
言葉が途中で途切れた事を不信に思って、一裕の方を見ると、彼は眠っているように目蓋を閉じ俯いていた。
眠ったのかな?
グッタリとした体をベッドに仰向けに寝かして、その傍らに腰を降ろす。
「一裕」
彼はピクリともしない。
「ねぇ……一裕、起きて」
起きる筈がない。
一裕は、死んだのだから。
私は、一裕が飲んでいたシェリー酒のグラスを手に取った。
いつもは呑めないお酒に口をつける。
喉が焼けそうな程熱かったけれど、酔える気がしなかった。
天を仰ぐと、ゆっくりと息を吐きだす。
ベッドの上で仰向けに横たわる、愛しい人。
穏やかな表情で、腹部の上で手を組んで、眠っている──ように見える。
さながら、おとぎ話の白雪姫のよう。
しかし、もう二度と目覚める事はないだろう。
私が──殺したから。
白い肌に黒い髪──眠る一裕は白雪姫のようだと思った。
そんな彼の厚い唇にキスをする。
おとぎ話ならこれで目が覚める筈。
しかし、これはおとぎ話じゃなく現実だし、一裕は白雪姫じゃない。
これで良い。
これで良いんだ。
これでもう……一裕は何処にも行かない。
ずっと私の所に居てくれる。
「愛してる……」
嬉し涙かな?
嬉しい筈なのに、涙が出る。
なんでかな?
辛いよ……。
二度と手に入らないかもしれない。
でも、それでも私は。
喜こんで。
怒って。
哀しんで。
楽しげに笑う。
一裕が好きだった。
ごめんね。
ありがとう。
さようなら。
ゆっくり目蓋を閉じると。
二度と目覚めない眠りに。
私も堕ちた。
THE END