ライセンス藤原一裕の夢小説
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
策士ササモトと私
(夢主 視点)
雨の降ると思い出す。
悲惨な光景と。
殺された両親。
破壊された我が家。
そして、無表情の暗殺者。
私は泣き崩れた。
泣き疲れた頃、暗殺者は姿を消していた。
「絶対に許さない!!」
「やったら、復讐するしかないな」
そう言って代わりに現われたのは、浅黒い肌の男。
心なしかタイ人のような顔をしている。
男は、暗殺者──策士ササモトの居場所を教えてくれた。
*****
数年という歳月をかけ、私はようやくササモトを見つけだした。
ササモトと思われる男は、狭い路地裏の安アパートでひっそりと暮らしているらしい。
アパートを出たササモトを尾行する。
暫く歩いていると、ササモトは行き成り角を曲がった。
見失っなってしまいそうになり、焦った私は角まで駆け出す。
走って角を曲がった私は、思わず足を止めた。
ササモトが待ち構えていたからだ。
「何か用?」
どうやら尾行はバレていたらしい。
「…………」
「……ハァ」
私が無言のまま戸惑っていると、ササモトは困り顔で溜息を吐いた。
「まぁ立ち話もなんやし、ちょっとついて来て」
「?」
ササモトに誘われ、近くの飲食店へと入る。
「俺はササモト。君は?」
「……ミサです……」
「で? 俺に何の用なん?」
「……」
人気 の多い店内で行き成り「私の両親を殺した復讐に来た」などと言う訳にはいかない。
どうすれば良いんだろう?
なんとか言い訳しなきゃ。
「あ、えと……知り合いと勘違いしてしまって……挨拶しようと追いかけたら、思ったよりも歩くのが速くて……」
「……」
私の適当な嘘がバレたのか、ササモトは黙ってしまった。
やっぱ嘘って分かったかな……?
その後、あまり情報を得られないまま食事を済ませると……いつの間にか夕方になってしまっていた。
「よかったら送るけど……ミサは家どのへんにあんの?」
ササモトの姿と質問に、破壊された我が家を思い出してしまって。
思わず少し泣きそうになった。
「…………家は……無い」
「え!? なんで!?」
「……」
「なんか深い事情がありそうやな」
ササモトは無表情のままため息を吐く。
「なら、ウチに来る?」
「……えっ……」
正直、両親を殺したと思しき男と一つ屋根の下に住むなんて不本意でしか無かった。
しかし、一緒に住んでいれば復讐のチャンスが巡って来るかもしれない。
悩んだ末、私はササモトと同居する事にした。
暗殺者──策士ササモトは、私が想像していた人間像とは違っていた。
おねぇのような言動をしたり、占いが好きだったり……意外と女々しい男だと私は思った。
何より、標準語だった筈なのに関西弁だし、あの日両親を殺した時とは全くの別人のような気がする。
ササモトって、一体何者なんだろう?
本当に暗殺者なのかな?
険しい顔でササモトを見詰めた。
「何? 俺の顔に何かついてる?」
「え……あ、いや……別に。何でも無い……です」
「なら何でいっつも見つめてくんの? 照れんねんけど」
ギュッと自分の服の裾を掴む。
「私達……ササモトさんと数年前に会った事があるんです。……覚えてませんか?」
「……あー……昔の事は……覚えてへんねん」
ササモトが苦しそうな表情をして目線を逸らした。
嘘を吐かれたのだと思った私は、思わず頭に血が上る。
「私は忘れた事なんて無いわっ!! 貴方が私の両親を殺したのよ!!」
ササモトは目を見開いて驚き動揺を見せた。
「えぇ!? 俺がミサの両親を……!?」
「本当に覚えてないのね……」
殺された両親の事を思い出し、悔しさが込み上げる。
コイツにとってどうでもいい事だったのね。
覚えていないくらいに。
許せないわ。
「スマン……ホンマに覚えてへんねん」
「どうして覚えてないのよっ!! そんなに私の家族はどうでもよかったの!? 貴方にとってどうでも良い存在だったの!?」
怒りに任せて泣きながら叫んだ。
「ちゃう。信じてもらえるか分からへんけど……俺、昔の記憶が無いねん」
「……は? どう言う……こと?」
「目ぇ覚めたら……この部屋に居ってん」
ササモトは私を落ち着かせると、自分の身に起こった事を話し始める。
「俺は昔、有名な賞金稼ぎだったらしいねん。暗殺、窃盗、何でもして生計を立ててたんやって。でも俺にはその頃の記憶が全く無いねん」
「それって……記憶喪失って事?」
ササモトはコクッと頷く。
「私は貴方を殺したいと思っているんだよ……そんな手の内を明かすような事しちゃって良いの?」
「ミサには隠し事したないから」
「なんで?」
ササモトは、頬を赤らめた。
「……ミサが……好き……やねん」
「!?」
もう……ホントよくわからない。
「貴方の事……怨んでる。……でも、今のササモトは嫌いじゃない……かも」
和解する心算はさらさら無い。
でも、記憶喪失のササモトと、暗殺者のササモトは……何だか別人のような気がする。
「今の貴方が、以前の貴方とは違うって事は分かった。……何も覚えてないのに酷い事言ってごめんなさい」
「俺も……なんも覚えてへんくてごめんな……」
今は伝えないけど、実は私も……ササモトが好き。
でも、いつ記憶が戻るかわからないから。
ササモトがこれ以上誰かを殺めない様、私がずっと一緒に居てあげる。
THE END
(夢主 視点)
雨の降ると思い出す。
悲惨な光景と。
殺された両親。
破壊された我が家。
そして、無表情の暗殺者。
私は泣き崩れた。
泣き疲れた頃、暗殺者は姿を消していた。
「絶対に許さない!!」
「やったら、復讐するしかないな」
そう言って代わりに現われたのは、浅黒い肌の男。
心なしかタイ人のような顔をしている。
男は、暗殺者──策士ササモトの居場所を教えてくれた。
*****
数年という歳月をかけ、私はようやくササモトを見つけだした。
ササモトと思われる男は、狭い路地裏の安アパートでひっそりと暮らしているらしい。
アパートを出たササモトを尾行する。
暫く歩いていると、ササモトは行き成り角を曲がった。
見失っなってしまいそうになり、焦った私は角まで駆け出す。
走って角を曲がった私は、思わず足を止めた。
ササモトが待ち構えていたからだ。
「何か用?」
どうやら尾行はバレていたらしい。
「…………」
「……ハァ」
私が無言のまま戸惑っていると、ササモトは困り顔で溜息を吐いた。
「まぁ立ち話もなんやし、ちょっとついて来て」
「?」
ササモトに誘われ、近くの飲食店へと入る。
「俺はササモト。君は?」
「……ミサです……」
「で? 俺に何の用なん?」
「……」
どうすれば良いんだろう?
なんとか言い訳しなきゃ。
「あ、えと……知り合いと勘違いしてしまって……挨拶しようと追いかけたら、思ったよりも歩くのが速くて……」
「……」
私の適当な嘘がバレたのか、ササモトは黙ってしまった。
やっぱ嘘って分かったかな……?
その後、あまり情報を得られないまま食事を済ませると……いつの間にか夕方になってしまっていた。
「よかったら送るけど……ミサは家どのへんにあんの?」
ササモトの姿と質問に、破壊された我が家を思い出してしまって。
思わず少し泣きそうになった。
「…………家は……無い」
「え!? なんで!?」
「……」
「なんか深い事情がありそうやな」
ササモトは無表情のままため息を吐く。
「なら、ウチに来る?」
「……えっ……」
正直、両親を殺したと思しき男と一つ屋根の下に住むなんて不本意でしか無かった。
しかし、一緒に住んでいれば復讐のチャンスが巡って来るかもしれない。
悩んだ末、私はササモトと同居する事にした。
暗殺者──策士ササモトは、私が想像していた人間像とは違っていた。
おねぇのような言動をしたり、占いが好きだったり……意外と女々しい男だと私は思った。
何より、標準語だった筈なのに関西弁だし、あの日両親を殺した時とは全くの別人のような気がする。
ササモトって、一体何者なんだろう?
本当に暗殺者なのかな?
険しい顔でササモトを見詰めた。
「何? 俺の顔に何かついてる?」
「え……あ、いや……別に。何でも無い……です」
「なら何でいっつも見つめてくんの? 照れんねんけど」
ギュッと自分の服の裾を掴む。
「私達……ササモトさんと数年前に会った事があるんです。……覚えてませんか?」
「……あー……昔の事は……覚えてへんねん」
ササモトが苦しそうな表情をして目線を逸らした。
嘘を吐かれたのだと思った私は、思わず頭に血が上る。
「私は忘れた事なんて無いわっ!! 貴方が私の両親を殺したのよ!!」
ササモトは目を見開いて驚き動揺を見せた。
「えぇ!? 俺がミサの両親を……!?」
「本当に覚えてないのね……」
殺された両親の事を思い出し、悔しさが込み上げる。
コイツにとってどうでもいい事だったのね。
覚えていないくらいに。
許せないわ。
「スマン……ホンマに覚えてへんねん」
「どうして覚えてないのよっ!! そんなに私の家族はどうでもよかったの!? 貴方にとってどうでも良い存在だったの!?」
怒りに任せて泣きながら叫んだ。
「ちゃう。信じてもらえるか分からへんけど……俺、昔の記憶が無いねん」
「……は? どう言う……こと?」
「目ぇ覚めたら……この部屋に居ってん」
ササモトは私を落ち着かせると、自分の身に起こった事を話し始める。
「俺は昔、有名な賞金稼ぎだったらしいねん。暗殺、窃盗、何でもして生計を立ててたんやって。でも俺にはその頃の記憶が全く無いねん」
「それって……記憶喪失って事?」
ササモトはコクッと頷く。
「私は貴方を殺したいと思っているんだよ……そんな手の内を明かすような事しちゃって良いの?」
「ミサには隠し事したないから」
「なんで?」
ササモトは、頬を赤らめた。
「……ミサが……好き……やねん」
「!?」
もう……ホントよくわからない。
「貴方の事……怨んでる。……でも、今のササモトは嫌いじゃない……かも」
和解する心算はさらさら無い。
でも、記憶喪失のササモトと、暗殺者のササモトは……何だか別人のような気がする。
「今の貴方が、以前の貴方とは違うって事は分かった。……何も覚えてないのに酷い事言ってごめんなさい」
「俺も……なんも覚えてへんくてごめんな……」
今は伝えないけど、実は私も……ササモトが好き。
でも、いつ記憶が戻るかわからないから。
ササモトがこれ以上誰かを殺めない様、私がずっと一緒に居てあげる。
THE END