はきだめ
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泣きたいときに泣かないとだめだよ、彼女はいつもと何ら変わらない声音でそう言った。
その言葉に俺がどうして?と問えば、「流されなかった涙は自分の中に戻ってしまうから」と予め用意していたように答えはあまりにもあっさりと提示された。
存外、彼女はかわいらしい考えをしているようだ。同級生の微笑ましい一面を垣間見た気分で口元を綻ばせると、どうやらまだ終わりではなかったらしく、続けざまに言葉は放たれた。
「そうしたら、涙と一緒に流れていくはずだった悲しい感情までもがまた自分の身体に戻って、やがて身体の一部になって、一生剥がれることが無いものになる。そっちのほうが遥かに悲しいことなんだよ」
ふと、校舎の端の、誰も訪れないような場所の、誰の目にも触れることのない花壇。其処にはこんなにも力強く、美しく咲き誇る花たちがいるのに彼らが誰にも気づかれないことはあんまりだと思った。
誰も彼もが強く土に根を張る一人ぼっちの花壇と、終わった夏。
俺は纏った白の背をさする彼女のその手に、彼女に注ぎ込まれた愛の深さを知った。
…
(親や周囲に愛されて育った子って何であんなにかわいいんですかね。)
その言葉に俺がどうして?と問えば、「流されなかった涙は自分の中に戻ってしまうから」と予め用意していたように答えはあまりにもあっさりと提示された。
存外、彼女はかわいらしい考えをしているようだ。同級生の微笑ましい一面を垣間見た気分で口元を綻ばせると、どうやらまだ終わりではなかったらしく、続けざまに言葉は放たれた。
「そうしたら、涙と一緒に流れていくはずだった悲しい感情までもがまた自分の身体に戻って、やがて身体の一部になって、一生剥がれることが無いものになる。そっちのほうが遥かに悲しいことなんだよ」
ふと、校舎の端の、誰も訪れないような場所の、誰の目にも触れることのない花壇。其処にはこんなにも力強く、美しく咲き誇る花たちがいるのに彼らが誰にも気づかれないことはあんまりだと思った。
誰も彼もが強く土に根を張る一人ぼっちの花壇と、終わった夏。
俺は纏った白の背をさする彼女のその手に、彼女に注ぎ込まれた愛の深さを知った。
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(親や周囲に愛されて育った子って何であんなにかわいいんですかね。)