はきだめ
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「別に、生きてるのにも辛くなるようなこととか、苦しくなるようなことがあったわけじゃないの」
錆び付いた柵に背を預ける女はその身体には到底見合わない広大な青を背負い、何でもないことを話すように口を開いた。
周りよりも少しだけ長めのスカートが風でたなびき、其処から伸びる健康そうな太ももがちらちらと目に入る。
「じゃないんだけど、ただ私はどうあがいたって普通で。それってすごく幸せなのかもしれないけど、集団の中で何か抜きん出ているわけでもなければ特別なことは少しも無い。おんなじ性能ばかりの量産品の一つでしかなくて、社会の歯車どころかそれを固定するネジを構成する成分の何万分の一がせいぜいで、そんな一人いなくなったって代わりなんていくらでもいる私みたいなのって、本当にいる意味あんのかなあって」
女の頭が右、左、右、左と傾いていく。繰り返される動作に唯一の支えである首がかくりと折れてしまいそうで、その頭が汚い地面に転がる光景が目に浮かんだ。
くるくるとよく回る口を何でもいいからとにかく塞いでしまいたくて堪らなかった。
ゆらゆらと揺れる髪が女をおいでおいでと水底へ誘っているようで、ひどく気分が悪くなるのを感じた。
うるさいな。そんなに生きる理由が分からなくて不安なら俺を理由にすればいいだろ。
俺はお前にそばにいてほしいんだ。
それで、いいじゃないか。
…
(思春期特有の将来への果てのない不安)
錆び付いた柵に背を預ける女はその身体には到底見合わない広大な青を背負い、何でもないことを話すように口を開いた。
周りよりも少しだけ長めのスカートが風でたなびき、其処から伸びる健康そうな太ももがちらちらと目に入る。
「じゃないんだけど、ただ私はどうあがいたって普通で。それってすごく幸せなのかもしれないけど、集団の中で何か抜きん出ているわけでもなければ特別なことは少しも無い。おんなじ性能ばかりの量産品の一つでしかなくて、社会の歯車どころかそれを固定するネジを構成する成分の何万分の一がせいぜいで、そんな一人いなくなったって代わりなんていくらでもいる私みたいなのって、本当にいる意味あんのかなあって」
女の頭が右、左、右、左と傾いていく。繰り返される動作に唯一の支えである首がかくりと折れてしまいそうで、その頭が汚い地面に転がる光景が目に浮かんだ。
くるくるとよく回る口を何でもいいからとにかく塞いでしまいたくて堪らなかった。
ゆらゆらと揺れる髪が女をおいでおいでと水底へ誘っているようで、ひどく気分が悪くなるのを感じた。
うるさいな。そんなに生きる理由が分からなくて不安なら俺を理由にすればいいだろ。
俺はお前にそばにいてほしいんだ。
それで、いいじゃないか。
…
(思春期特有の将来への果てのない不安)