はきだめ
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(※ゆるっと生存院君チック)
「私が一番綺麗なとき?」
突とした問いかけに対し、尋かれた張本人である彼女、なまえは素っ頓狂とも取れる声を上げた。少なからず戸惑いを覚えているのか、それから一拍ほどの間思案に暮れる素振りを見せたものの、やがて口をもごつかせながら「それって見た目の話?」と問いを投げてきた。
おずおずとした調子の彼女とは逆に、それには大した苦慮もなくいいや、の一言であっけらかんと否定の意を示す。するとその否定を受け、なまえは考えあぐねるような声を発しながら、手探りに言葉を手繰り始めた。
「難しいな……そう、中身をいうならそれこそ、何も知らなかった頃、だと思う。あの頃は知らなくちゃいけないこともろくに知らなかったけど、その分自分に嘘をつかなくてよかったし、あの、無邪気さ、みたいなものは他には代えられないものだから……」
慎み深さの先立つ声音で、浮かび上がるものをありのままに放ちながらも、彼女の物言いは至極歯切れの悪いものであった。未だ煮え切らない心境を克明に表すかのように、言辞を紡ぐ口唇が大きく歪曲を描いた。
「でもね、それより何より、私が一番きれいなのはきっと、あなたのことを考えているとき」
今の今まで悶々と思い悩む態度を取っていたなまえはそうして小さく歯を見せたものの、「……だ、と思うよ」とたちまち照れくさそうに口元を手で覆い隠してしまった。それでも、手のひらに泳ぐ笑みと浮揚する仄かな丹赤は隠しきれていない。
気恥ずかしい思いに曝されているとき、なまえは決まって今のように唇を少し食んで、口角を上げる。はにかむ君と相対すると、ぼくはどうにも視界の君がいっとうまばゆいように思えて仕様がなくなる。とうに嘗てと成り果てた頑是無さに反して少女のように感情を露わにし、淀みなく人を愛せ、在るが儘に振る舞える君のその心根は、きっと人の目を眩ませるものだ。
そんな心において、何の臆面もなく示された愛情が君にとっての真実であるならば、どうか君が君自身に対して信じるところのように、最後の最後までぼくのために美しいままでいてほしい。願わくばぼくは、ぼくのために美しい君を訪れるいつの日か自らの手で手折ってしまいたいんだ。
曇りなく、濁りのない眼差しを向けてくれる君を、あろうことかそんな目で見てしまうぼくを、どうか許してほしい。
真表に佇む屈託の無い面差しにつられるように表情をゆるめる。細めた眼に映し出された彼女には、やはり眩惑させられる思いだった。
「やっぱり君は、すてきな人だ」
…
(自己解釈ですが、彼はスタンド使いであるが故の周囲との隔絶感に導かれた彼なりの考えからそんな周囲を遠ざけ、また自らも距離を置いていましたが、その一方で自身とは逆に、周囲との関係という面において満ち足りた人生を送ってきたことが窺い知れる人には、彼の根本とも云える考えには相反するもののある種の羨みを覚えると思います。)
「私が一番綺麗なとき?」
突とした問いかけに対し、尋かれた張本人である彼女、なまえは素っ頓狂とも取れる声を上げた。少なからず戸惑いを覚えているのか、それから一拍ほどの間思案に暮れる素振りを見せたものの、やがて口をもごつかせながら「それって見た目の話?」と問いを投げてきた。
おずおずとした調子の彼女とは逆に、それには大した苦慮もなくいいや、の一言であっけらかんと否定の意を示す。するとその否定を受け、なまえは考えあぐねるような声を発しながら、手探りに言葉を手繰り始めた。
「難しいな……そう、中身をいうならそれこそ、何も知らなかった頃、だと思う。あの頃は知らなくちゃいけないこともろくに知らなかったけど、その分自分に嘘をつかなくてよかったし、あの、無邪気さ、みたいなものは他には代えられないものだから……」
慎み深さの先立つ声音で、浮かび上がるものをありのままに放ちながらも、彼女の物言いは至極歯切れの悪いものであった。未だ煮え切らない心境を克明に表すかのように、言辞を紡ぐ口唇が大きく歪曲を描いた。
「でもね、それより何より、私が一番きれいなのはきっと、あなたのことを考えているとき」
今の今まで悶々と思い悩む態度を取っていたなまえはそうして小さく歯を見せたものの、「……だ、と思うよ」とたちまち照れくさそうに口元を手で覆い隠してしまった。それでも、手のひらに泳ぐ笑みと浮揚する仄かな丹赤は隠しきれていない。
気恥ずかしい思いに曝されているとき、なまえは決まって今のように唇を少し食んで、口角を上げる。はにかむ君と相対すると、ぼくはどうにも視界の君がいっとうまばゆいように思えて仕様がなくなる。とうに嘗てと成り果てた頑是無さに反して少女のように感情を露わにし、淀みなく人を愛せ、在るが儘に振る舞える君のその心根は、きっと人の目を眩ませるものだ。
そんな心において、何の臆面もなく示された愛情が君にとっての真実であるならば、どうか君が君自身に対して信じるところのように、最後の最後までぼくのために美しいままでいてほしい。願わくばぼくは、ぼくのために美しい君を訪れるいつの日か自らの手で手折ってしまいたいんだ。
曇りなく、濁りのない眼差しを向けてくれる君を、あろうことかそんな目で見てしまうぼくを、どうか許してほしい。
真表に佇む屈託の無い面差しにつられるように表情をゆるめる。細めた眼に映し出された彼女には、やはり眩惑させられる思いだった。
「やっぱり君は、すてきな人だ」
…
(自己解釈ですが、彼はスタンド使いであるが故の周囲との隔絶感に導かれた彼なりの考えからそんな周囲を遠ざけ、また自らも距離を置いていましたが、その一方で自身とは逆に、周囲との関係という面において満ち足りた人生を送ってきたことが窺い知れる人には、彼の根本とも云える考えには相反するもののある種の羨みを覚えると思います。)
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