はきだめ
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(※女体化)
この世に生を受けて、早十五年の月日が経った。
自分の口から言うのも何だが、私は生まれてこのかた非行に走ったりなど所謂親を悲しませるようなことをしたことは無い。自らの意思の上で最も深い繋がりの血族に背くことはなく、校則の隅に記載されたスカートの規定の長さをも大真面目に遵守し、模範的な誰の目に映したとしても寸分違わぬ"良い子"として、清く正しく決まりに背かず生きてきた。そのつもりで、私はいる。
「模範的な良い子ちゃんは授業サボって屋上で駄弁ったりなんかせんじゃろ」
紫煙を燻らす銀髪がケタケタと面白そうに笑う。短いスカートからのびる不健康そうな白くて細い足を組み替える姿から妙な艶かしさを感じて、思わず目尻を歪めた。
「大丈夫、私今週生理だから」
「…あぁ、保健室行ってることになっとんの」
生理なん軽い癖に、と仁王は口角を上げた。
私とは正反対に、仁王は馬鹿みたいに生理が重い。私は過去一度だけ家を訪ねたことがあるので知っている。一月のうち魔の七日たるそれが訪れると学校を休んでベッドで死んだように眠るのだ。
それも全部全部、度を越した少食、未成年の癖に煙草なんか吸っているからだ。しかも運動部所属。こんなのでよくやっていけるなと微妙に感心してしまう。
私にはテニス部に知り合いなんてほとんど居ないし、居たとしてもこう言っては何だがレギュラーには程遠い者ばかりなので真の内情など知りようがない。知りようのない者、他のレギュラーが仁王のこれをどう受け止めているか知らない部外者に口を出す権利が無い。それを十二分に理解しているが故に私はたとえ思うところがあろうと口をつぐみ続けている。
「…煙草臭い」
ただ、ぼやきは漏らすのでその度に件の喫煙者は何時も意地の悪い笑みを浮かべる。そして彼女は決まって隣の私の顔に煙を吹きかける。
ふーっ。副流煙を浴びせられたことでケホケホと咳き込むと、またしてもケタケタと可笑しそうに笑う。その様相に対し、私が不満を全面に押し出して睨みつけるまでがお決まりの流れであった。
「恐いのう」
「んなわけないでしょ、何回やってんのこれ」
目をしぱしぱと瞬かせると「目ぇ真っ赤になっとる」と言われ、アンタのせいでしょと口をついて出そうになった言葉を飲み込んだ。そうして私はその度にこれの意味を分かってやっているの、という言葉を飲み込む。
けれど、きっと聞いたところで仁王ははぐらかすだけだ。何も知らないフリをして、いつもと変わらない飄々とした振る舞いで手の中をすり抜けていく。
そんなこと、とうに私は理解していた。そもそも、これ自体が根本的に間違っているのだ。
仁王はいつも、何かを埋めるように男と寝ていた。
単純な男は仁王が軽く誘えば赤子の手を捻るより容易く転がった。自分がただの無機物と同等に扱われているとも知らないで何と愚かなことか。
そんな男に、誰でもいいから一度訊ねてみたいことがある。勝手に舞い上がった挙句、ぽい、とゴミのように捨てられた気分はどうだったか、と。
身体をじわじわと侵食していく煙にまばたきを数回繰り返す。
煙はその身体を構成するものたちの呼吸を一つずつ丁寧に奪っていき、指の先から意識を徐々に乗っ取っていく。そうしてやがて心髄に辿り着いたとき、それはそのものの核さえも我が物とする。
失われた意識は一体、何処に行くのだろうか。侵入者をどうすることも出来ず、犯されるままに静かに奪い去られ、その果てに何処に辿り着いたのか。
「…みょうじが、男だったら良かったんにのう」
吸い込まれた煙が吐き出される。伏された揺れもしない睫毛は其処にあるだけのものであった。
「……私はそんなの御免だよ」
それではあんたはまた満たされないままだ。それでは、何も変わらないままなのだ。
一番大概だったのは私であった。他人のことなどとやかく言えた身分では無いな、と小さく自嘲的な笑みが溢れる。
燻る紫煙までもが嘲るようにその姿を消す。己が思う以上に、私は感覚を麻痺させているようであった。
「冗談じゃ、冗談」
私の核が乗っ取られ、意識が飲み込まれる日も、きっとそう遠くはない。
…
爛れた仁王(♀)と品行方正少女。
百合。こんなんだけど数年後には付き合ってる。
夢主は今まで形だけはそこそこ真面目に生きてきた、親に不義は働いたことのない何だかんだ育ちの良いお嬢さんなので何らかの形で同性の仁王と付き合っていることが知れたら戸惑うばかりの両親に仁王交えた緊急家族会議に持ち込まれる。そして最後には言葉は濁しつつも反対のスタンスを取る両親から仁王の腕引っ掴んで走って逃げる。その途中で急に大笑いしだし、それにつられて笑いだした仁王と共に笑いながら走るという映画ばりの不審な行動を繰り広げる。しかし実のところ笑いながらぼろぼろと涙を流しており、足を止めたところで嗚咽を漏らしながらしゃがみこみ、何ともいえない顔で仁王が背中を擦る。みたいな話。
二人のイメージはたまに夜のド◯キで買い物をする若いカップル。
ツイの夢小説あるあるを見て、触発されました。
中学生にしてめちゃめちゃ遊んでて、家族間に何か問題があるとしか思えない一人暮らし。舞台は大体屋上。
そんな彼の性別を反転させた感じです。
あと余談ですが途中、仁王に煙草の煙を吹きかけた場面で"意味を分かってやっているのか"という思いを夢主は心中に抱いていました。勘の良い方はとっくのとうにお気づきかと思いますが、同性に対し煙草の煙を吹きかけるという行為の意味は"今夜あなたを抱く"です、仁王の真意は藪の中と云えどつまりはそういうことですね。
この世に生を受けて、早十五年の月日が経った。
自分の口から言うのも何だが、私は生まれてこのかた非行に走ったりなど所謂親を悲しませるようなことをしたことは無い。自らの意思の上で最も深い繋がりの血族に背くことはなく、校則の隅に記載されたスカートの規定の長さをも大真面目に遵守し、模範的な誰の目に映したとしても寸分違わぬ"良い子"として、清く正しく決まりに背かず生きてきた。そのつもりで、私はいる。
「模範的な良い子ちゃんは授業サボって屋上で駄弁ったりなんかせんじゃろ」
紫煙を燻らす銀髪がケタケタと面白そうに笑う。短いスカートからのびる不健康そうな白くて細い足を組み替える姿から妙な艶かしさを感じて、思わず目尻を歪めた。
「大丈夫、私今週生理だから」
「…あぁ、保健室行ってることになっとんの」
生理なん軽い癖に、と仁王は口角を上げた。
私とは正反対に、仁王は馬鹿みたいに生理が重い。私は過去一度だけ家を訪ねたことがあるので知っている。一月のうち魔の七日たるそれが訪れると学校を休んでベッドで死んだように眠るのだ。
それも全部全部、度を越した少食、未成年の癖に煙草なんか吸っているからだ。しかも運動部所属。こんなのでよくやっていけるなと微妙に感心してしまう。
私にはテニス部に知り合いなんてほとんど居ないし、居たとしてもこう言っては何だがレギュラーには程遠い者ばかりなので真の内情など知りようがない。知りようのない者、他のレギュラーが仁王のこれをどう受け止めているか知らない部外者に口を出す権利が無い。それを十二分に理解しているが故に私はたとえ思うところがあろうと口をつぐみ続けている。
「…煙草臭い」
ただ、ぼやきは漏らすのでその度に件の喫煙者は何時も意地の悪い笑みを浮かべる。そして彼女は決まって隣の私の顔に煙を吹きかける。
ふーっ。副流煙を浴びせられたことでケホケホと咳き込むと、またしてもケタケタと可笑しそうに笑う。その様相に対し、私が不満を全面に押し出して睨みつけるまでがお決まりの流れであった。
「恐いのう」
「んなわけないでしょ、何回やってんのこれ」
目をしぱしぱと瞬かせると「目ぇ真っ赤になっとる」と言われ、アンタのせいでしょと口をついて出そうになった言葉を飲み込んだ。そうして私はその度にこれの意味を分かってやっているの、という言葉を飲み込む。
けれど、きっと聞いたところで仁王ははぐらかすだけだ。何も知らないフリをして、いつもと変わらない飄々とした振る舞いで手の中をすり抜けていく。
そんなこと、とうに私は理解していた。そもそも、これ自体が根本的に間違っているのだ。
仁王はいつも、何かを埋めるように男と寝ていた。
単純な男は仁王が軽く誘えば赤子の手を捻るより容易く転がった。自分がただの無機物と同等に扱われているとも知らないで何と愚かなことか。
そんな男に、誰でもいいから一度訊ねてみたいことがある。勝手に舞い上がった挙句、ぽい、とゴミのように捨てられた気分はどうだったか、と。
身体をじわじわと侵食していく煙にまばたきを数回繰り返す。
煙はその身体を構成するものたちの呼吸を一つずつ丁寧に奪っていき、指の先から意識を徐々に乗っ取っていく。そうしてやがて心髄に辿り着いたとき、それはそのものの核さえも我が物とする。
失われた意識は一体、何処に行くのだろうか。侵入者をどうすることも出来ず、犯されるままに静かに奪い去られ、その果てに何処に辿り着いたのか。
「…みょうじが、男だったら良かったんにのう」
吸い込まれた煙が吐き出される。伏された揺れもしない睫毛は其処にあるだけのものであった。
「……私はそんなの御免だよ」
それではあんたはまた満たされないままだ。それでは、何も変わらないままなのだ。
一番大概だったのは私であった。他人のことなどとやかく言えた身分では無いな、と小さく自嘲的な笑みが溢れる。
燻る紫煙までもが嘲るようにその姿を消す。己が思う以上に、私は感覚を麻痺させているようであった。
「冗談じゃ、冗談」
私の核が乗っ取られ、意識が飲み込まれる日も、きっとそう遠くはない。
…
爛れた仁王(♀)と品行方正少女。
百合。こんなんだけど数年後には付き合ってる。
夢主は今まで形だけはそこそこ真面目に生きてきた、親に不義は働いたことのない何だかんだ育ちの良いお嬢さんなので何らかの形で同性の仁王と付き合っていることが知れたら戸惑うばかりの両親に仁王交えた緊急家族会議に持ち込まれる。そして最後には言葉は濁しつつも反対のスタンスを取る両親から仁王の腕引っ掴んで走って逃げる。その途中で急に大笑いしだし、それにつられて笑いだした仁王と共に笑いながら走るという映画ばりの不審な行動を繰り広げる。しかし実のところ笑いながらぼろぼろと涙を流しており、足を止めたところで嗚咽を漏らしながらしゃがみこみ、何ともいえない顔で仁王が背中を擦る。みたいな話。
二人のイメージはたまに夜のド◯キで買い物をする若いカップル。
ツイの夢小説あるあるを見て、触発されました。
中学生にしてめちゃめちゃ遊んでて、家族間に何か問題があるとしか思えない一人暮らし。舞台は大体屋上。
そんな彼の性別を反転させた感じです。
あと余談ですが途中、仁王に煙草の煙を吹きかけた場面で"意味を分かってやっているのか"という思いを夢主は心中に抱いていました。勘の良い方はとっくのとうにお気づきかと思いますが、同性に対し煙草の煙を吹きかけるという行為の意味は"今夜あなたを抱く"です、仁王の真意は藪の中と云えどつまりはそういうことですね。
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