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中学の勉強なんてたかが知れたもので、授業を適当に受けていればどうにでもなる代物だ。そんなことを教師に言えば憤慨されるに違いないが、中学に入学して暫く経った頃直ぐに私はそう悟った。
現に中学三年となった今でもそれに変わりはなく、今日も今日とて担当教師の話もそこそこに時間が過ぎるのを待つ日々だ。
ノートの隅に落書きをしたり、違う教科の課題を進めたりしながら気ままに過ごす一生徒に気づくこともなく、教鞭を振るう男は私達生徒によく馬鹿にされている。
ハゲている、声が小さい、説明がくどくて分かりづらい。
この辺りがその教師に対する生徒からの主な評価である。
しかし向こうだって好きでハゲているわけではないし、説明がくどいのは私達生徒に内容を理解してほしい彼なりの策である。声が小さいのは庇いようがないものの、彼の教師としての努力は本物だろうにそれが理解されないというのは何ともむなしいものだなと密かに思った(真面目に授業を受けていない癖に何を言っているんだ、とか一生徒の分際で生意気だという声は無視させていただきます)。
「じゃあ、次の問題、みょうじ」
指定された問題の答えだけを言えばただ正解、とだけ言われさっさと次の問題へと進んでいった。
「じゃあ次は、えぇ…幸村」
その名前を呼ばれた途端、私は窓の向こうに視線を向けた。
校庭ではどこかのクラスが男子はサッカー、女子はフットサルに勤しんでいた。遠目からだが赤毛と銀髪、少し離れたところに集まる女子が見えたので多分B組だ。赤毛、丸井くんがディフェンスを軽くかわしシュートを決めると、その女子達が沸き立った。銀髪、仁王くんはだるそうにしており試合に参加しているんだかしていないんだか分からないが、また別の女子の集団が色めきだっているのであれはあれで良いのだろう。
全国で一、二を争うほどの実力に加え、そこらのアイドルより余程優れたルックスを併せ持つテニス部のレギュラー陣は特に校内では絶大な人気を誇る。
B組の二人もそのうちの一人であった。去年同じクラスだった友人の一人が今年B組に所属しているのだが、春のクラス発表では周りの目も気にせず喜びに浸っていたことをよく覚えている。
立海はマンモス校なので同学年で7人しか居ないレギュラー陣の誰かと同じクラスになるというのはなかなかに難しい。女子のほとんどは誰かしらと同じクラスになりたいと思っている。斯く言う私もその一人であった。
誰かしらとは同じクラスになれたらいいなとは思っていたものの、友人の隣で新クラスの名簿表から自分の名前を見つけ出したとき、私の気分はどん底まで落ちた。
先程名前を呼ばれた幸村。彼は立海テニス部を束ねる部長、幸村精市その人だ。
私は彼が嫌いだった。
現に中学三年となった今でもそれに変わりはなく、今日も今日とて担当教師の話もそこそこに時間が過ぎるのを待つ日々だ。
ノートの隅に落書きをしたり、違う教科の課題を進めたりしながら気ままに過ごす一生徒に気づくこともなく、教鞭を振るう男は私達生徒によく馬鹿にされている。
ハゲている、声が小さい、説明がくどくて分かりづらい。
この辺りがその教師に対する生徒からの主な評価である。
しかし向こうだって好きでハゲているわけではないし、説明がくどいのは私達生徒に内容を理解してほしい彼なりの策である。声が小さいのは庇いようがないものの、彼の教師としての努力は本物だろうにそれが理解されないというのは何ともむなしいものだなと密かに思った(真面目に授業を受けていない癖に何を言っているんだ、とか一生徒の分際で生意気だという声は無視させていただきます)。
「じゃあ、次の問題、みょうじ」
指定された問題の答えだけを言えばただ正解、とだけ言われさっさと次の問題へと進んでいった。
「じゃあ次は、えぇ…幸村」
その名前を呼ばれた途端、私は窓の向こうに視線を向けた。
校庭ではどこかのクラスが男子はサッカー、女子はフットサルに勤しんでいた。遠目からだが赤毛と銀髪、少し離れたところに集まる女子が見えたので多分B組だ。赤毛、丸井くんがディフェンスを軽くかわしシュートを決めると、その女子達が沸き立った。銀髪、仁王くんはだるそうにしており試合に参加しているんだかしていないんだか分からないが、また別の女子の集団が色めきだっているのであれはあれで良いのだろう。
全国で一、二を争うほどの実力に加え、そこらのアイドルより余程優れたルックスを併せ持つテニス部のレギュラー陣は特に校内では絶大な人気を誇る。
B組の二人もそのうちの一人であった。去年同じクラスだった友人の一人が今年B組に所属しているのだが、春のクラス発表では周りの目も気にせず喜びに浸っていたことをよく覚えている。
立海はマンモス校なので同学年で7人しか居ないレギュラー陣の誰かと同じクラスになるというのはなかなかに難しい。女子のほとんどは誰かしらと同じクラスになりたいと思っている。斯く言う私もその一人であった。
誰かしらとは同じクラスになれたらいいなとは思っていたものの、友人の隣で新クラスの名簿表から自分の名前を見つけ出したとき、私の気分はどん底まで落ちた。
先程名前を呼ばれた幸村。彼は立海テニス部を束ねる部長、幸村精市その人だ。
私は彼が嫌いだった。