人工知能の惑星旅行日記
「まるで陽炎のように揺らいで見えますね」
宇宙船の窓から見えたのは様々な大きさで並ぶ沢山の時計台だった。クロンズは惑星内の時間感覚が一定ではなく、一日が24時間の土地もあれば60時間の土地もある。私は適当な空き地に宇宙船を泊めた。
「おや、旅行客かね?ここはだいぶ時間の流れが激しいぞ。これを持っておくといい」
いくつもの時計をベストからぶら下げた中年の男性が時計を一つ渡してくれた。
「いいんですか?」
「ああ、こりゃ役所に行きゃ貰えるモンだ。ほら、見てみりゃ分かんだろ?こんな早く動くもんだからすぐ壊れちまうのさ」
確かにもらった時計は私が知っているよりずいぶん早く針を進めていた。
「ありがとうございます」
「行くところが思いつかないならいいところがあるぞ。この惑星の時間のゆがみが体験できる施設がある。観光客なら楽しめるんじゃねえか?」
「そのような施設があるのですね。行ってみます」
その施設はここから距離があるそうなので、宇宙船で向かうことにした。男性は手を振りながら、近くの建物のほうへ向かっていった。
私の体感時間で10数分の地点にその施設はあった。先ほど男性に貰ったあんなに早く進んでいた時計はピクリとも動かなくなっていた。
職員に施設の前の開いている場所へ誘導されながら宇宙船を泊めた。
「見慣れない乗り物だと思ったら、異星人さんでしたか。ようこそおいでくださいました」
「急な来訪に対応していただきありがとうございます。ここでは面白いものが見れる、と住民の方に聞いたもので」
「なるほど。ここではこの惑星すべての時間軸を観察することができますから、それでお勧めされたのでしょう」
職員の女性はにこりと笑い、施設の中へ案内してくれた。
施設の中心部には大小さまざまな沢山の時計がぶら下げられていた。丸い形のよく見知った時計からトゲトゲとしていて、トゲに沿って0~36まで数字が並べられたアナログ時計まである。
「ここはクロンズの時空間管理局兼博物館になっているんです。管制室では体内時計が極めて正確な人員がクロンズの時間間隔を守ってくれています」
「私のようなアンドロイドではなく、人間が管理しているのですね。しかし、なぜこのような環境に?」
「私たちクロンズ人は純粋なホモサピエンスではないんです。惑星間移住計画以降、人間と混ざってしまってほとんど人間の見た目ですが。それ以前では各地域で文明が違ったのです。ある地域では地球のように天の動きを、またある地域では作物の育ち方を。そうしてそれぞれの時間を数えるようになったのです」
そう言って、壁に年表が展示されている部屋を案内してくれた。そのほかにも、この惑星で出土したかつてのクロンズ人の化石や土地ごとにどのような時間が計測されているのかが展示されている部屋を紹介してもらった。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ、ぜひ地球にクロンズのことを広めてくださいね」
私はいくつかの時計をお土産として頂いた。そのほかにもクロンズのお土産を売店で買い、宇宙船に乗り込んだ。管制室から手を振ってくれている。私は手を振り返し、クロンズをあとにして、次の目的地へと向かった。
次の目的地は「ザラシア」と呼ばれる惑星だった。ザラシアでは、魔法と呼ばれる技術が発達しているらしい。人類が夢見た魔法がそこにはあるのか。どのような進歩をたどっているのか。
「時計が沢山増えてしまいましたね。あの時計台のようでなかなか格好いいです」
ゾーンは進む、どこまでも。
まだ見ぬ大地 を目指して。
宇宙船の窓から見えたのは様々な大きさで並ぶ沢山の時計台だった。クロンズは惑星内の時間感覚が一定ではなく、一日が24時間の土地もあれば60時間の土地もある。私は適当な空き地に宇宙船を泊めた。
「おや、旅行客かね?ここはだいぶ時間の流れが激しいぞ。これを持っておくといい」
いくつもの時計をベストからぶら下げた中年の男性が時計を一つ渡してくれた。
「いいんですか?」
「ああ、こりゃ役所に行きゃ貰えるモンだ。ほら、見てみりゃ分かんだろ?こんな早く動くもんだからすぐ壊れちまうのさ」
確かにもらった時計は私が知っているよりずいぶん早く針を進めていた。
「ありがとうございます」
「行くところが思いつかないならいいところがあるぞ。この惑星の時間のゆがみが体験できる施設がある。観光客なら楽しめるんじゃねえか?」
「そのような施設があるのですね。行ってみます」
その施設はここから距離があるそうなので、宇宙船で向かうことにした。男性は手を振りながら、近くの建物のほうへ向かっていった。
私の体感時間で10数分の地点にその施設はあった。先ほど男性に貰ったあんなに早く進んでいた時計はピクリとも動かなくなっていた。
職員に施設の前の開いている場所へ誘導されながら宇宙船を泊めた。
「見慣れない乗り物だと思ったら、異星人さんでしたか。ようこそおいでくださいました」
「急な来訪に対応していただきありがとうございます。ここでは面白いものが見れる、と住民の方に聞いたもので」
「なるほど。ここではこの惑星すべての時間軸を観察することができますから、それでお勧めされたのでしょう」
職員の女性はにこりと笑い、施設の中へ案内してくれた。
施設の中心部には大小さまざまな沢山の時計がぶら下げられていた。丸い形のよく見知った時計からトゲトゲとしていて、トゲに沿って0~36まで数字が並べられたアナログ時計まである。
「ここはクロンズの時空間管理局兼博物館になっているんです。管制室では体内時計が極めて正確な人員がクロンズの時間間隔を守ってくれています」
「私のようなアンドロイドではなく、人間が管理しているのですね。しかし、なぜこのような環境に?」
「私たちクロンズ人は純粋なホモサピエンスではないんです。惑星間移住計画以降、人間と混ざってしまってほとんど人間の見た目ですが。それ以前では各地域で文明が違ったのです。ある地域では地球のように天の動きを、またある地域では作物の育ち方を。そうしてそれぞれの時間を数えるようになったのです」
そう言って、壁に年表が展示されている部屋を案内してくれた。そのほかにも、この惑星で出土したかつてのクロンズ人の化石や土地ごとにどのような時間が計測されているのかが展示されている部屋を紹介してもらった。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ、ぜひ地球にクロンズのことを広めてくださいね」
私はいくつかの時計をお土産として頂いた。そのほかにもクロンズのお土産を売店で買い、宇宙船に乗り込んだ。管制室から手を振ってくれている。私は手を振り返し、クロンズをあとにして、次の目的地へと向かった。
次の目的地は「ザラシア」と呼ばれる惑星だった。ザラシアでは、魔法と呼ばれる技術が発達しているらしい。人類が夢見た魔法がそこにはあるのか。どのような進歩をたどっているのか。
「時計が沢山増えてしまいましたね。あの時計台のようでなかなか格好いいです」
ゾーンは進む、どこまでも。
まだ見ぬ