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人工知能の惑星旅行日記

「手付かずの自然の良さがすべて詰まっていますね」

 宇宙船の窓から見えたのは様々な植物に覆われたグラノであった。グラノは文明が存在せず、野生動物が生息しているのみである。私は数少ない木々の隙間に宇宙船を泊めた。

 宇宙船から降りて辺りを見回すと、木々を渡り歩く小動物や宙を彷徨う昆虫が見られた。見たことがなければ私のデータにもないので、この星の独自動物だということが分かる。

「この昆虫、蝶々のような見た目ですが、生物学的には鳥のようですね。…なぜこのように進化したのでしょう」

 ほかにもキリンのように首が長い長毛のゾウのような動物や、手のひらに収まるサイズの淡水性のクジラのようなが動物が生息していた。
 かつて人間もこの星に訪れ、調査を行ったようだが、なぜこのような進化をしたのか不明であった。だからと言って私が判別できるかと言われれば否と答える。制作された時の最高レベルの知能を持ってしての推測なら可能ではあるが。

「この"キリンゾウ"はこの星の特徴でもある背の高い木々の芽を食べることに特化した進化をしたのでしょうか。水分はゾウ特有の鼻で摂取するんですかね」

 様々な動物の考察をしているうちに様々なことが分かってきた。ここにいる動物のほとんどに地球の生物の遺伝子に由来していると考えられる。植物は地球由来ではないのに動物は地球由来なのか。

「…動物園でも作るつもりだったのでしょうか」

 私は様々な疑問と向き合いながら宇宙船に乗り込んだ。見たことのない植物と動物に出会い、久々に思考を巡らせたことで私の好奇心も更新されたと感じた。私はグラノをあとにして、次の目的地へと向かった。

 次の目的地は「ピレーサス」と呼ばれる惑星だった。ピレーサスは地球にあるサーカスが丸々惑星で行われているような惑星だという。どのような建物や人々がいるのだろうか。

「外来生物を持ち込んではいけない理由が分かった気がしますね」

 ゾーンは進む、どこまでも。
 まだ見ぬ大地ピレーサスを目指して。
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