今日の夢見〜獏は密かに夢を見る〜
≪きゅるる〜ん♪ボク、マコト!正真正銘の高校一年生男子!色々あって魔法つかーー≫
「はぁ、しょうもねー。」
…"きゅるんと♪魔法使いマコト"がやってるってことは今日は土曜日の25:30…人はそれを日曜日の01:30という。
「日曜日…はぁ、鬱〜〜〜‼︎」
お…私竜胆遊 はすることもなく、ただひたすらにテレビを見続ける。
「ハッキングでもしてやろうかなー…ん?」ピロン♪着信ダヨ!
"バーチャルエフェクト"、通称VirE 。21世紀には漫画やアニメで電脳世界での通信手段としてよく描かれていたらしい。
それに着信があった。
「なになに…?"求ム!貴方ノ助ケ"…なんだこれ…胡散臭すぎだろ。内容は…」
問題はその内容だ。内容次第によっちゃあ警察行きだ。
「"仕事内容:町ノ様々ナ事件ヲ解決スルダケ"…。警察だな、これ。ってか、なんで私 なんだ!」ピロン♪着信ダヨ!
「また⁈なんなんだよ⁈"貴方ニシカ頼メナイ"…っ⁉︎ど、どどどど、どっから見てんだ⁈」
まぁ、焦るよね、ふつー。だってこの部屋に盗聴器とか、隠しカメラがあるかもしれないんだから。
「も、もしかして、親戚…んなわけないか。そもそもいないし…じゃあ、誰なんだよ…」ピロン♪着信ダヨ!
…またか。私は恐る恐るVirEに手を伸ばした。
「ま、マジか…。」
あの後最後の着信を全文読んだ私は待ち合わせの場所に来た。そしたら大豪邸っていうか、研究所?だった。
「(だから信用ならないって思ったのに──!)」
後悔先に立たず、だ。やってしまった。これが私の悪い所だと思う。
まぁ、そんなことは置いておいて。
「…こ、こんにちわー…。」
「ヤァ!良く来たネ!有難うゴザイマス、ユウチャン!ワタシは君を待ってたヨウ!」
「ファ⁉︎」
ほんとに出るんだな、"ファ⁈"って…
「ワォ!驚いてるネ!…ア!ワタシ、ジコ紹介忘れてタヨ!ワタシは未来から来たんダヨ!そして、君の"ゴエイ"ネ!」
「…は?」
なにを言ってるんだ、こいつ…。未来から来たって…まぁ、タイムトラベルが出来るようになったからな〜…ってか私のゴエイ…あぁ、『護衛』か。
「制覇番号:SCR00 、名を"リリー"デス!れっきとしたニッポンナデシコ、デス!」
「あ〜…、そーゆーね。おk。それで?なんでお…私呼ばれたの?」
「オゥ、それを聞くのネ…それはネ…」
なんでか知らないけど嫌々話してくれた。
内容的には
・未来の私は病気で昏睡状態である
・その原因が26世紀 にある
らしい。マジか、こんなのアニメとかだったら胸熱展開じゃん。
「…だから、お願いしたいノ!ユウサマ を変えられるのは、ユウチャン しかいないノ!」
「…まあ、自分の事だし切っても切れないから。いいよ、リリー。」
「…!ほんとネ⁉︎やったヨ!それじゃ、早速こっちに来るネ!」
「え⁉︎っわ!ちょ、ちょっと、まっ…!」
なんだこれ。リリーに連れてこられた先はかつての映画で見たような司令室だった。大きな画面いっぱいに組織一人ひとりのVirEが表示されていた。
「すげぇ…」
「オゥ!気に入っタ⁈良かったヨ!ワタシ、自信なかったネ!そう、それで…」
あ、声に出てた。改めて見ても、やっぱすごいな…流石設備が未来から来たってだけある。
「…デス!分かりまシタカ?」
「あ、ごめん…聞いてなかった…」
ごめん、リリー。私、自分の世界に入っちゃう系の人間なの。
「それジャ、改めて説明するヨ!ユウチャンにやって欲しいことは二つ!だけダヨ!」
一つめは当たり前だけど、未来の私の昏睡の原因を無くすこと。
二つめは原因に関わった人間を"DELETE "こと。
「デリート…そんな簡単に出来るの?」
「…もちろんデス。この世界はVirtualですカラ、ハッキングしてしまエバこちらの制御になりマス。」
おー…こわー…さすが、そんなことも出来るのか。
「じゃ、ハッキング練習しなきゃね」
「イェス!…そうダ!ユウチャン、どの位ハッキングできますカ?」
「え⁉︎あ、あー…ちょっといじるくらいなら…」
「それでジューブンデス!それジャ行きまショウ!」
「…はーい」
ここで役立つか…取ってつけたようなハッキング技術。余計なことやってて良かった〜…
それから数週間のあいだ、起きてはハッキング技術の座学、実技、実戦。これを1日クールで行なう。なかなかハードだか、リリーも助けてくれるからなんとかなっている。あと、飯が無茶苦茶美味い。一人で暮らしている時はインスタントばっかりだったから初日は泣いた。割とマジで。
「…凄いデス…!この数週間でこんなにジョータツするなんて…!さすがユウチャン!」
「ありがと。記憶力とかはいいからね、私。」
「それジャ、準備をして向かいまショウ!ゲーインキューメーデス!」
「もち。れっつらごー」
出発してから数十分、原因があると思われる町へ到着。
「めっっっっちゃ、人いない⁈こん中から探すの⁈」
「ノン!座学でもやりまシタガ、人とは限りまセンヨ、ユウチャン!」
「そ、そうだった…。確か…あった。」
完全に忘れていた。解決する為に色々情報をVirEに取り込んでおいたんだった。
「…!対象人物発見!正確率は…73.2%デス!」
「うっわ、微妙〜…取り敢えず聴取しよう!」
…結果
・この辺で変な薬を使ってる奴がいるらしい
・そいつは一人ではない
「…だそう。まぁ、信用していいんじゃない?」
「ハイ!わかりマシタ!では、次に行きまショウ!…対象人物発見!正確率は…68.9%デス!」
「おっし、行ってみますか〜」
…結果
・最近、町の人々の様子が変
・変な宗教が流行っている
「…なんか、アレだね…」
「そうデスね…しょうがないデス。それジャ、次行きマス!……対象人物発見!正確率は…50.4%デス!」
「うげ…、半分…。まぁ、物体だし確認するだけだからいっか」
…結果
・立ち入り禁止のテープがあった
・調べてみたら有害物質が検出された
・小さなガラス片が散っていた
「…意外とすぐにあやしいの見つけたな。50.4%の割には大分でかいね」
「そうデス!所詮割合デス!」
「なんて事を…ん?これ、足跡続いてない?」
「ワォ!本当デスネ!辿ってみまショウ!」
「うっわ〜…絶対本拠地〜…」
これ、本物だわ。こんな森の奥に普通なら建てないでしょ。
恐る恐る扉を開けてみた。
「なんだ、この匂い…っ。絶対吸っちゃいけないやつだ。うん。」
「ユウチャン!気を付けてくだサイ!先ほどの有害物質と同じ成分です!」
「りょ。(んー…なんだろう…この感じ。有害物質の効能ってわけではないけど…)」
あたりには五つの扉。出来るだけ首謀者に合わないで原因を潰したい。こういう時に扉の向こうが見える能力があればなー…
ん?あるじゃん。"アレ"が…!
「っしゃ!これで勝てる!」
「どうしたのデスか?ユウチャン…」
「ちょっと集中するわ」
「了解デス!」
◎DOOR One to Five
//1100001000110010111100101100101010100010//
んーやっぱり…閉まってるか…。取り敢えず全部のシステムを開いてハッキングしてみよ。
◎DOOR One to FiveERROR
//11110010000010101010001001110010//
◎DOOR One Empty
◎DOOR Two Not Empty
◎DOOR Three Not Empty
◎DOOR Four Empty
◎DOOR Five Empty
ダメか…もうちょい頑張ってみるか…
◎DOOR Two No Sign
◎DOOR Three No Sign
信号すらなくなった…。防衛機能が作動してないだけマシかな。
┏
┣DOOR One OPEN
┣DOOR Two ERROR
┣DOOR Three ERROR
┣DOOR Four OPEN
┣DOOR Five OPEN
┗
何とかここまで出来た…
「リリー!三つはハッキングできた!」
「流石デス!ユウチャン!それではワタシが接続して、映像化してミマス!接続中…」
リリーを通して扉の向こうを覗いてみた。さてどうなってるかな…?
1つ目は特に何もなさそうだな…
4つ目は…、なんか、それっぽいのあるし。当たりっぽいな…
5つ目は…っ!ビビった…。やばそうな人と目、合った。注意して進も。
「リリー、取り敢えず1つ目から行こう。」
「デモ、何も無さそうデスよ?」
「一応、ね」
「了解デス!」
「お邪魔しまー。…まぁ、物置かな〜…。…!このUSB容量でか!ホスィ…(チラッチラッ)これ貰って行こ。」
「駄目デスよ!ユウチャン、泥棒デス!」
「大丈夫、もう不法侵入してるから」
「そうでシタね!」
「メインに行こー」
「お邪魔ー。うお!何だこれ…流石〜…。」
「サテ!さっさとぶっ壊しまショウ!」
「りょ。だけど外から…」
ドッカーン!って音がしたのは聞き間違いじゃないだろうな。リリー、やってくれたな。流石未来人、やる事が派手すぎる。
「うん、これ、戦闘パート入るよね。」
「ン?何か言いマシタか?ユウチャン。」
うん、もちろん。だってあんな大きな音出したら主犯格にバレるでしょ、普通。
「っ!誰だ!不届きものめ!…ん?あぁ、お前は竜胆遊 の。」
いきなり来て貶された。まぁ、そりゃそうか。貶され耐性はついてるし、全然怯まないけどね。
「アナタ…!ユウサマを…!…リミッター解除。前方:箕影 七司 …破壊対象に相当。戦闘開始命令を、マスター!」
リリーって私のこと本当に慕ってるんだな…なんか申し訳ないな。
「おいおい!勝手に入り込んで置いてなんなんだ?ここは俺のアジトだぜ?クハハハ!サイッコーの歓迎だろ⁉︎アハハハハ!」
「うっわー、引くわ。」
「…っぐ⁉︎う、うるさい!そもそもお前は俺に気付いていたくせに!」
「(あ、こいつ罵倒に弱いのか。…なんでだ?)…ちょっくら過去、覗かせてもらうぜ〜"おっさん"」
「…るせぇ、うるせぇ、うるせぇ!大体俺はまだ23だ!誰だか知らねぇが、お前みたいな軟弱女はさっさと消えやがれ!」
「マスター!早く!命令を!」
「んー、しょうがない、私 の本気、見せてやるよ!SCR00、戦闘を許可する!」
「御意!」
「はは!なんだ、クソ女!いきなりイキりやがってよ!もしかしてお前ってカマ?ハッハッハ!」
「うるせぇ!俺はこっちの方が言いやすいんだよ!元々女っぽいの嫌だったし!」
「…やっぱりマスターは変わりませんね。未来でもそのような性格でしたから。」
ずっと隠してきたけど未来でもこんな感じなんだ、わた…うん。もう俺でいいか。
確かに昔からスカートよりもズボンの方が良かったし、正直少女向けアニメも見てたけど戦隊モノも好きだった。
遊びだっておままごとよりサッカーや鬼ごっこの方が好きだったし。
それが理由で虐められたりとかしたし、だから引きこもってたんだけど。
「ハッ!喋ってる暇があったら俺に攻撃でも当ててみろ!…ッグ⁈」
「貴方こそ避けてみては?私はSCRシリーズの"00 "ですよ?」
んー、こいつの行動パターン単一的だな。まるで組み込まれた…NP…C…だ?
「…あー、なる。そうゆうね。おk。」
こいつ、"きゅるんと♪魔法使いマコト"に出て来るラスボスとほとんど行動パターン、同じじゃん!
「何だ?負けを認めるのか?クハハ!無様だな!」
「お前も少しは考えたら?俺はもうお前のこと把握したけど?リリー、今から転送する!」
「了解しました、マスター!」
いやぁ…夜中まで起きて、余計な事してたのがこんなに役に立つとは…引きこもり最強。
「ふん!お前は指示出しだけか?舐めてんな!」
「ちょっとぐらいさ、黙ろうよ。俺だってこの使ってない脳みそを活性化させんのでいっぱいなの。お前みたいに単一思考じゃないから。」
「あ"?何が言いてぇ?」
「マスター、情報転送完了しました!クールタイムに入ります!終了次第、攻撃体制に移行します!」
「了解!」
よし、クールタイムが勝負のカギだな。あいつは多分攻撃を続けて来るだろうな…その間にどれだけ"弱点"をえぐれるかな…
「…ハッ、何かと思ったら手抜きか?クハハハ!それじゃ、行かせてもらうぜ!」
「こちらも本領発揮と行きますか〜。おっと、攻撃は避けるからな…。お前さ、本当"馬鹿"だよな。」
「…!そ、そんなことはない!お前らにはわからないだけだ!クソ女!」
「あ、それと…俺はお前が知ってる竜胆遊 じゃないから。それこそお前の方が"クソ男"なんじゃないの?」
そういえば、こいつの過去漁ったな…なんだっけ…あ、思い出したわ。
「ねぇ、"お前の母親、この辺りで死んだ"んだってな。」
「‼︎っ…めぇ!ふざけんな!母さんが何したっていうんだ!殺す‼︎お前だけは‼︎このっ…‼︎逃げんな‼︎」
「あ、ヤベェ」
しまった。逆鱗に触れたわ。その事実を変えたいわけか…。敵対してるけどなんか悪いことしたな…
「殺す‼︎殺す‼︎待ちやがれ!」
ん〜…生まれた時から母親と呼べる人なんていなかったしな…こいつが抱いている感情なんて分からない。でも、和解はできるかもしれない。
「なぁ、もうちょっと…ひぁ⁉︎っぐは!へ、変な声出だ…っ」
「は、はは!ふはははは!終わりだ、お前も!こんな村 も!」
「…それは、違う。」
「…あ"?最後の命乞いか?」
「…考えてみてよ。俺を殺して、この街を壊して生き残った子供達はどうなる?もう分かっただろう?…"お前のせいで、母親がいなくなる"んだよ。」
「…っ!それは…っ!」
「俺たちと同じ "独りぼっち"になるんだ。」
「クールタイム終了、これより攻撃体制に移行します!マスター、攻撃開始命令を!」
「あぁ。SCR00、攻撃開始!」
「分かりました!」
「あぁ、それと…あいつ、殺さないでくれ。」
「…?了解しました。」
「終わりマシタ!そして、ユウサマの状態が回復したことが確認されマシタ!ユウチャン、どうしマスか?」
「…ッグゥ…煮るなり焼くなりすきにしろぉ…」
「うわ、"よわ"ぁ…」
「ば、罵倒だけはやめろぉ…ぐす」
「泣いてるの?20過ぎでボコられて泣いてるの?」
「うっせぇ!」
「ユウチャン、何故生かしておいたのデスか?」
「んー…私、こいつと暮らすわ。」
「んに"ゃぁぁ⁈あ、ちが、今のは…!その‼︎」
「23で『んにゃー』って…wwww」
「案外可愛いデスね!よ〜しよしよし♪」
「だああああ!やめろ!…〜っ!分かったよ!お前の子守になれば良いんだろう⁈」
「子守…うん、悪くはない。」
「じゃあさっさと縄を解け!…ったく、面倒な奴だな。」
「よーし、家に〜帰ろう〜♪そうだ〜家に〜帰ろう〜♪」
「やめろ!その変な歌!」
「ワタシは好きデス!家に〜帰ろう〜♪」
「ねぇ〜七司〜、お昼まだ〜?」
「うっせぇ!お前がやらねぇから作ってやってるんだろうが!待ちやがれ!」
「『聞く口を間違えるなよ?我に食事を作れる事、感謝しろ』"魔王のクラスメイツ!"より。っていうか名前で呼んでよ。"竜胆 お前"っていう名前じゃないんだけど」
「…ふざけてんのか?断る。ほら、出来たぞ。」
「えぇ…うわ!サンドウィッチ⁉︎美味しそう…!へへっ、いただきー!…‼︎美味い…!こんなに美味いもん食ったことねぇんだけど!」
「ハッ!当たり前だ、母さんに褒められたんだからな。」
「あんた、本当マザコンだよね。」
「ッグ⁉︎…はぁ。もう飯作ってやらねぇ。」
「えええ!困る!困るんだけど!『ごめんなさい…!僕が悪かったんだ…だから、許して?(上目遣い)』"ゆるふわわんこの園田くん"より!」
「はぁ…もういい。"遊"、行ってくる。」
「…⁉︎おおお!デレか⁈デレなんか⁈ヘッヘッヘ…貰いました─!もっと!もっとデレてぇ!それと─」
俺─もとい私はそんな感じで自分の未来を救って、リリーと別れた。その後ちゃんと箕影七司を家に連れて帰ったんだけど、なんだか腑に落ちない感じがするんだよな〜…だって、未来の話だよ?わかるわけないじゃん。
ま、でも私の未来が変わった感じはなんとなくあるかな、なんてね。
「も、もういいだろ!馬鹿!」
「えへえへ、やり過ぎたわ。それじゃ、いってらっしゃい!」
「はぁ、しょうもねー。」
…"きゅるんと♪魔法使いマコト"がやってるってことは今日は土曜日の25:30…人はそれを日曜日の01:30という。
「日曜日…はぁ、鬱〜〜〜‼︎」
お…私
「ハッキングでもしてやろうかなー…ん?」ピロン♪着信ダヨ!
"バーチャルエフェクト"、通称
それに着信があった。
「なになに…?"求ム!貴方ノ助ケ"…なんだこれ…胡散臭すぎだろ。内容は…」
問題はその内容だ。内容次第によっちゃあ警察行きだ。
「"仕事内容:町ノ様々ナ事件ヲ解決スルダケ"…。警察だな、これ。ってか、なんで
「また⁈なんなんだよ⁈"貴方ニシカ頼メナイ"…っ⁉︎ど、どどどど、どっから見てんだ⁈」
まぁ、焦るよね、ふつー。だってこの部屋に盗聴器とか、隠しカメラがあるかもしれないんだから。
「も、もしかして、親戚…んなわけないか。そもそもいないし…じゃあ、誰なんだよ…」ピロン♪着信ダヨ!
…またか。私は恐る恐るVirEに手を伸ばした。
「ま、マジか…。」
あの後最後の着信を全文読んだ私は待ち合わせの場所に来た。そしたら大豪邸っていうか、研究所?だった。
「(だから信用ならないって思ったのに──!)」
後悔先に立たず、だ。やってしまった。これが私の悪い所だと思う。
まぁ、そんなことは置いておいて。
「…こ、こんにちわー…。」
「ヤァ!良く来たネ!有難うゴザイマス、ユウチャン!ワタシは君を待ってたヨウ!」
「ファ⁉︎」
ほんとに出るんだな、"ファ⁈"って…
「ワォ!驚いてるネ!…ア!ワタシ、ジコ紹介忘れてタヨ!ワタシは未来から来たんダヨ!そして、君の"ゴエイ"ネ!」
「…は?」
なにを言ってるんだ、こいつ…。未来から来たって…まぁ、タイムトラベルが出来るようになったからな〜…ってか私のゴエイ…あぁ、『護衛』か。
「制覇番号:
「あ〜…、そーゆーね。おk。それで?なんでお…私呼ばれたの?」
「オゥ、それを聞くのネ…それはネ…」
なんでか知らないけど嫌々話してくれた。
内容的には
・未来の私は病気で昏睡状態である
・その原因が
らしい。マジか、こんなのアニメとかだったら胸熱展開じゃん。
「…だから、お願いしたいノ!
「…まあ、自分の事だし切っても切れないから。いいよ、リリー。」
「…!ほんとネ⁉︎やったヨ!それじゃ、早速こっちに来るネ!」
「え⁉︎っわ!ちょ、ちょっと、まっ…!」
なんだこれ。リリーに連れてこられた先はかつての映画で見たような司令室だった。大きな画面いっぱいに組織一人ひとりのVirEが表示されていた。
「すげぇ…」
「オゥ!気に入っタ⁈良かったヨ!ワタシ、自信なかったネ!そう、それで…」
あ、声に出てた。改めて見ても、やっぱすごいな…流石設備が未来から来たってだけある。
「…デス!分かりまシタカ?」
「あ、ごめん…聞いてなかった…」
ごめん、リリー。私、自分の世界に入っちゃう系の人間なの。
「それジャ、改めて説明するヨ!ユウチャンにやって欲しいことは二つ!だけダヨ!」
一つめは当たり前だけど、未来の私の昏睡の原因を無くすこと。
二つめは原因に関わった人間を"
「デリート…そんな簡単に出来るの?」
「…もちろんデス。この世界はVirtualですカラ、ハッキングしてしまエバこちらの制御になりマス。」
おー…こわー…さすが、そんなことも出来るのか。
「じゃ、ハッキング練習しなきゃね」
「イェス!…そうダ!ユウチャン、どの位ハッキングできますカ?」
「え⁉︎あ、あー…ちょっといじるくらいなら…」
「それでジューブンデス!それジャ行きまショウ!」
「…はーい」
ここで役立つか…取ってつけたようなハッキング技術。余計なことやってて良かった〜…
それから数週間のあいだ、起きてはハッキング技術の座学、実技、実戦。これを1日クールで行なう。なかなかハードだか、リリーも助けてくれるからなんとかなっている。あと、飯が無茶苦茶美味い。一人で暮らしている時はインスタントばっかりだったから初日は泣いた。割とマジで。
「…凄いデス…!この数週間でこんなにジョータツするなんて…!さすがユウチャン!」
「ありがと。記憶力とかはいいからね、私。」
「それジャ、準備をして向かいまショウ!ゲーインキューメーデス!」
「もち。れっつらごー」
出発してから数十分、原因があると思われる町へ到着。
「めっっっっちゃ、人いない⁈こん中から探すの⁈」
「ノン!座学でもやりまシタガ、人とは限りまセンヨ、ユウチャン!」
「そ、そうだった…。確か…あった。」
完全に忘れていた。解決する為に色々情報をVirEに取り込んでおいたんだった。
「…!対象人物発見!正確率は…73.2%デス!」
「うっわ、微妙〜…取り敢えず聴取しよう!」
…結果
・この辺で変な薬を使ってる奴がいるらしい
・そいつは一人ではない
「…だそう。まぁ、信用していいんじゃない?」
「ハイ!わかりマシタ!では、次に行きまショウ!…対象人物発見!正確率は…68.9%デス!」
「おっし、行ってみますか〜」
…結果
・最近、町の人々の様子が変
・変な宗教が流行っている
「…なんか、アレだね…」
「そうデスね…しょうがないデス。それジャ、次行きマス!……対象人物発見!正確率は…50.4%デス!」
「うげ…、半分…。まぁ、物体だし確認するだけだからいっか」
…結果
・立ち入り禁止のテープがあった
・調べてみたら有害物質が検出された
・小さなガラス片が散っていた
「…意外とすぐにあやしいの見つけたな。50.4%の割には大分でかいね」
「そうデス!所詮割合デス!」
「なんて事を…ん?これ、足跡続いてない?」
「ワォ!本当デスネ!辿ってみまショウ!」
「うっわ〜…絶対本拠地〜…」
これ、本物だわ。こんな森の奥に普通なら建てないでしょ。
恐る恐る扉を開けてみた。
「なんだ、この匂い…っ。絶対吸っちゃいけないやつだ。うん。」
「ユウチャン!気を付けてくだサイ!先ほどの有害物質と同じ成分です!」
「りょ。(んー…なんだろう…この感じ。有害物質の効能ってわけではないけど…)」
あたりには五つの扉。出来るだけ首謀者に合わないで原因を潰したい。こういう時に扉の向こうが見える能力があればなー…
ん?あるじゃん。"アレ"が…!
「っしゃ!これで勝てる!」
「どうしたのデスか?ユウチャン…」
「ちょっと集中するわ」
「了解デス!」
◎DOOR One to Five
//1100001000110010111100101100101010100010//
んーやっぱり…閉まってるか…。取り敢えず全部のシステムを開いてハッキングしてみよ。
◎DOOR One to FiveERROR
//11110010000010101010001001110010//
◎DOOR One Empty
◎DOOR Two Not Empty
◎DOOR Three Not Empty
◎DOOR Four Empty
◎DOOR Five Empty
ダメか…もうちょい頑張ってみるか…
◎DOOR Two No Sign
◎DOOR Three No Sign
信号すらなくなった…。防衛機能が作動してないだけマシかな。
┏
┣DOOR One OPEN
┣DOOR Two ERROR
┣DOOR Three ERROR
┣DOOR Four OPEN
┣DOOR Five OPEN
┗
何とかここまで出来た…
「リリー!三つはハッキングできた!」
「流石デス!ユウチャン!それではワタシが接続して、映像化してミマス!接続中…」
リリーを通して扉の向こうを覗いてみた。さてどうなってるかな…?
1つ目は特に何もなさそうだな…
4つ目は…、なんか、それっぽいのあるし。当たりっぽいな…
5つ目は…っ!ビビった…。やばそうな人と目、合った。注意して進も。
「リリー、取り敢えず1つ目から行こう。」
「デモ、何も無さそうデスよ?」
「一応、ね」
「了解デス!」
「お邪魔しまー。…まぁ、物置かな〜…。…!このUSB容量でか!ホスィ…(チラッチラッ)これ貰って行こ。」
「駄目デスよ!ユウチャン、泥棒デス!」
「大丈夫、もう不法侵入してるから」
「そうでシタね!」
「メインに行こー」
「お邪魔ー。うお!何だこれ…流石〜…。」
「サテ!さっさとぶっ壊しまショウ!」
「りょ。だけど外から…」
ドッカーン!って音がしたのは聞き間違いじゃないだろうな。リリー、やってくれたな。流石未来人、やる事が派手すぎる。
「うん、これ、戦闘パート入るよね。」
「ン?何か言いマシタか?ユウチャン。」
うん、もちろん。だってあんな大きな音出したら主犯格にバレるでしょ、普通。
「っ!誰だ!不届きものめ!…ん?あぁ、お前は
いきなり来て貶された。まぁ、そりゃそうか。貶され耐性はついてるし、全然怯まないけどね。
「アナタ…!ユウサマを…!…リミッター解除。前方:
リリーって私のこと本当に慕ってるんだな…なんか申し訳ないな。
「おいおい!勝手に入り込んで置いてなんなんだ?ここは俺のアジトだぜ?クハハハ!サイッコーの歓迎だろ⁉︎アハハハハ!」
「うっわー、引くわ。」
「…っぐ⁉︎う、うるさい!そもそもお前は俺に気付いていたくせに!」
「(あ、こいつ罵倒に弱いのか。…なんでだ?)…ちょっくら過去、覗かせてもらうぜ〜"おっさん"」
「…るせぇ、うるせぇ、うるせぇ!大体俺はまだ23だ!誰だか知らねぇが、お前みたいな軟弱女はさっさと消えやがれ!」
「マスター!早く!命令を!」
「んー、しょうがない、
「御意!」
「はは!なんだ、クソ女!いきなりイキりやがってよ!もしかしてお前ってカマ?ハッハッハ!」
「うるせぇ!俺はこっちの方が言いやすいんだよ!元々女っぽいの嫌だったし!」
「…やっぱりマスターは変わりませんね。未来でもそのような性格でしたから。」
ずっと隠してきたけど未来でもこんな感じなんだ、わた…うん。もう俺でいいか。
確かに昔からスカートよりもズボンの方が良かったし、正直少女向けアニメも見てたけど戦隊モノも好きだった。
遊びだっておままごとよりサッカーや鬼ごっこの方が好きだったし。
それが理由で虐められたりとかしたし、だから引きこもってたんだけど。
「ハッ!喋ってる暇があったら俺に攻撃でも当ててみろ!…ッグ⁈」
「貴方こそ避けてみては?私はSCRシリーズの"
んー、こいつの行動パターン単一的だな。まるで組み込まれた…NP…C…だ?
「…あー、なる。そうゆうね。おk。」
こいつ、"きゅるんと♪魔法使いマコト"に出て来るラスボスとほとんど行動パターン、同じじゃん!
「何だ?負けを認めるのか?クハハ!無様だな!」
「お前も少しは考えたら?俺はもうお前のこと把握したけど?リリー、今から転送する!」
「了解しました、マスター!」
いやぁ…夜中まで起きて、余計な事してたのがこんなに役に立つとは…引きこもり最強。
「ふん!お前は指示出しだけか?舐めてんな!」
「ちょっとぐらいさ、黙ろうよ。俺だってこの使ってない脳みそを活性化させんのでいっぱいなの。お前みたいに単一思考じゃないから。」
「あ"?何が言いてぇ?」
「マスター、情報転送完了しました!クールタイムに入ります!終了次第、攻撃体制に移行します!」
「了解!」
よし、クールタイムが勝負のカギだな。あいつは多分攻撃を続けて来るだろうな…その間にどれだけ"弱点"をえぐれるかな…
「…ハッ、何かと思ったら手抜きか?クハハハ!それじゃ、行かせてもらうぜ!」
「こちらも本領発揮と行きますか〜。おっと、攻撃は避けるからな…。お前さ、本当"馬鹿"だよな。」
「…!そ、そんなことはない!お前らにはわからないだけだ!クソ女!」
「あ、それと…俺はお前が知ってる
そういえば、こいつの過去漁ったな…なんだっけ…あ、思い出したわ。
「ねぇ、"お前の母親、この辺りで死んだ"んだってな。」
「‼︎っ…めぇ!ふざけんな!母さんが何したっていうんだ!殺す‼︎お前だけは‼︎このっ…‼︎逃げんな‼︎」
「あ、ヤベェ」
しまった。逆鱗に触れたわ。その事実を変えたいわけか…。敵対してるけどなんか悪いことしたな…
「殺す‼︎殺す‼︎待ちやがれ!」
ん〜…生まれた時から母親と呼べる人なんていなかったしな…こいつが抱いている感情なんて分からない。でも、和解はできるかもしれない。
「なぁ、もうちょっと…ひぁ⁉︎っぐは!へ、変な声出だ…っ」
「は、はは!ふはははは!終わりだ、お前も!こんな
「…それは、違う。」
「…あ"?最後の命乞いか?」
「…考えてみてよ。俺を殺して、この街を壊して生き残った子供達はどうなる?もう分かっただろう?…"お前のせいで、母親がいなくなる"んだよ。」
「…っ!それは…っ!」
「
「クールタイム終了、これより攻撃体制に移行します!マスター、攻撃開始命令を!」
「あぁ。SCR00、攻撃開始!」
「分かりました!」
「あぁ、それと…あいつ、殺さないでくれ。」
「…?了解しました。」
「終わりマシタ!そして、ユウサマの状態が回復したことが確認されマシタ!ユウチャン、どうしマスか?」
「…ッグゥ…煮るなり焼くなりすきにしろぉ…」
「うわ、"よわ"ぁ…」
「ば、罵倒だけはやめろぉ…ぐす」
「泣いてるの?20過ぎでボコられて泣いてるの?」
「うっせぇ!」
「ユウチャン、何故生かしておいたのデスか?」
「んー…私、こいつと暮らすわ。」
「んに"ゃぁぁ⁈あ、ちが、今のは…!その‼︎」
「23で『んにゃー』って…wwww」
「案外可愛いデスね!よ〜しよしよし♪」
「だああああ!やめろ!…〜っ!分かったよ!お前の子守になれば良いんだろう⁈」
「子守…うん、悪くはない。」
「じゃあさっさと縄を解け!…ったく、面倒な奴だな。」
「よーし、家に〜帰ろう〜♪そうだ〜家に〜帰ろう〜♪」
「やめろ!その変な歌!」
「ワタシは好きデス!家に〜帰ろう〜♪」
「ねぇ〜七司〜、お昼まだ〜?」
「うっせぇ!お前がやらねぇから作ってやってるんだろうが!待ちやがれ!」
「『聞く口を間違えるなよ?我に食事を作れる事、感謝しろ』"魔王のクラスメイツ!"より。っていうか名前で呼んでよ。"竜胆 お前"っていう名前じゃないんだけど」
「…ふざけてんのか?断る。ほら、出来たぞ。」
「えぇ…うわ!サンドウィッチ⁉︎美味しそう…!へへっ、いただきー!…‼︎美味い…!こんなに美味いもん食ったことねぇんだけど!」
「ハッ!当たり前だ、母さんに褒められたんだからな。」
「あんた、本当マザコンだよね。」
「ッグ⁉︎…はぁ。もう飯作ってやらねぇ。」
「えええ!困る!困るんだけど!『ごめんなさい…!僕が悪かったんだ…だから、許して?(上目遣い)』"ゆるふわわんこの園田くん"より!」
「はぁ…もういい。"遊"、行ってくる。」
「…⁉︎おおお!デレか⁈デレなんか⁈ヘッヘッヘ…貰いました─!もっと!もっとデレてぇ!それと─」
俺─もとい私はそんな感じで自分の未来を救って、リリーと別れた。その後ちゃんと箕影七司を家に連れて帰ったんだけど、なんだか腑に落ちない感じがするんだよな〜…だって、未来の話だよ?わかるわけないじゃん。
ま、でも私の未来が変わった感じはなんとなくあるかな、なんてね。
「も、もういいだろ!馬鹿!」
「えへえへ、やり過ぎたわ。それじゃ、いってらっしゃい!」