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今日の夢見〜獏は密かに夢を見る〜

はじめまして。僕はエイン、15歳です。物心ついた頃から一人だったんだ。…なんて、誰も聞いていないだろうけれど。

「ねえ、星様。今日もいるでしょう?」

こうやって僕は毎晩星様に話しかけるんだ。そうしたら星様はいつも答えてくれるんだ。

『また、お主か。』
「!星様…!えへへ…星様はやっぱりすぐ僕のこと気づいてくれますね」
『まあ、そうよのう。お主はいつもここにおるからの。それで、今日は何の用だ?』
「えっと…今日は…」

星様はいつも僕の我が儘を聞いてくれる。どんなにくだらないことでも。僕、星様に出会えなかったらどうなってたんだろう?



『む、そろそろ夜が明けてしまう。いつもいっておるが…エイン、これだけは覚えておくが良い。お主は決して一人ではないと。』
「…はい!だって僕には星様がいますから!」
『…そうか。はっはっはっ!それなら良いがのう。それじゃ、行くとするか。』
「うん!またね!星様!」

今日も楽しかったな。もっとお話ししたいな。でも星様は夜しか居ないから我慢しなきゃ。だって、我慢しないと星様に怒られちゃう。








僕は気が付いたらひとりぼっちで、みんなから避けられてた。なぜ?…そんなのわかんないよ。

"親"なんて言えるような人もいなかった。
"家族"なんて言えるような人もいなかった。
"友達"なんて言えるような人もいなかった。
"好きな人"なんて言えるような人もいなかった。
僕の周りには、誰も、親しいなんて言い表わせるような人なんていなかった。


いつからか、僕は夜空に自分を思い浮かべて「エイン」という星を描いていた。僕の居場所はここなんだって思わせてくれるから。
そうしたら、星様が僕に話しかけてくれたんだ。

またお主か、お主はいつもここに来るよのう。どうしたんだ。

って。そして僕はこう答えた

一人で星を眺めているんだ。こうしている時間が一番楽しくて、でもひとりぼっちなんだって思い出して寂しくなるんだ。

その言葉に、星様は優しい声で

どうせまた、翌晩も来るのだろう?その時は我がお主の話を一晩中聴いてやろうぞ。

嬉しかった。それから僕は一日中同じ場所にいるようになった。
どうせ僕は食べなくても、飲まなくても生きていける。まぁ、それも相まって避けられていたのかもしれないけど。
でもいいんだ。僕には星様がいるし、みんなに何か言われても星様は笑って僕の味方してくれる。

だからまた今日も夜を待つんだ。

清々しい明け方。

息苦しい朝。

煩い昼。

閑静な夕暮れ。

そして、歓喜の夜。



さらに季節は回る。

ほんのり暖めてくれる春が来て。

とても暑くて嫌になりそうな夏が過ぎて。

いろんな虫たちが綺麗な音を奏でる秋が迎えに来て。

全てを覆い尽くす雪を降らせる冬が追い越して。

また春が来る頃に僕はまた、あのひとに。
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