雨の雫か、彼の涙か
夢小説設定
この小説の夢小説設定12/25生まれのファーランの恋人。
王都の地下街で暮らしていたリヴァイの馴染み。リヴァイが調査兵団に入団した事を機に地上へ移住し一人暮らし(実際にはリヴァイと同棲)をしている。
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【もう一つのエンディング】
いつだって、傍にいてくれたのは彼ではない。…リヴァイだった。
「………。貴方ならよかったのに………」
思わず発してしまったこの言葉。
本心だから出てしまったのか…。
リヴァイの顔を見る事ができない。
「………」
彼は何も言わない。
どんな顔をしているのか、確かめる勇気は私にはないわ。
彼の気持ちに気付いていたのに、頑なに"友達"で居続けた。ファーランを裏切るわけにはいかなかったから…。リヴァイを傷付けるわけにはいかなかったから…。でも結局また傷付けるような事を言ってしまった…。
この世に生まれてくる前から一緒にいてくれた、一番の理解者…。
ファーランを想うと溢れてくる涙を、彼はいつだって拭ってくれた。とても優しい人…。
急だったにもかかわらず会いに来てくれた。
そして、何も言わずに家まで送ってくれる…。
―――立ち止まった彼は、夕立に降られるのもお構いなしに言葉を紡ぎ続けた。
前世から一緒にいたのに、こんなに必死に気持ちを伝えようとする彼は初めてで少し戸惑った。
…彼らしい告白だと思ったわ。
「………伝わらねぇか。俺の言葉は…。………届かねぇか。ファーランだけを想うお前には………」
昔と変わらずファーランを愛しているわ。幸せになってもらいたいのも本当の気持ち…。
…でも、やっぱり心のどこかで裏切られたような虚しさを感じている。…彼が別の女性を一番に愛してしまった事が…、とても悲しい。
だからといって自分も裏切っていいとは思えない。それは、私を愛してくれた彼も、彼を愛し続けた自分の気持ちも否定してしまうような気がするから…。
…だけど、私を愛してくれた彼はもういない。…なら私は、誰の帰りを待っているの…?
待つ相手がいないなら、ずっと近くで見守ってくれていた…リヴァイの気持ちに応えてあげるべきじゃないかしら…。………いえ、応えたいわ。…だってリヴァイも、ずっと待っててくれたんですもの………。
「………悪い。…お前を悩ませたくはない。…忘れてくれ」
「…違うわ」
「…」
「貴方は…いつも言葉少ないのに、大事な事はまとまらないのね。………一番聞きたい、単純で大切な言葉を聞かせて?」
「………お前が欲しい。…前世から変わらねぇ…大切に思っている。友人とも部下とも違ぇ。…お前だけは………特別だ」
「………ふふ…っ。貴方らしいわね」
「…笑うな…。何か…期待はずれだったか…」
「いいえ…。…私にはもう、待つ相手がいないわ…。…だから貴方も待つ必要がなくなったの。遅くなってごめんなさい。…ずっと、想っていてくれて…ありがとう」
「………ユーリア」
「………帰りましょう、リヴァイ。…前世でも一緒にいたけれど、今度はまた別な形で………傍にいて?」
「………当然だ」
「まぁ…リヴァイ、」
男の頬を濡らす雫を、彼女はそっと手で拭った。
その雫は―、
《雨の雫か、彼の涙か》