「オイ、ハンジ。嫁が可愛すぎて結婚したい件についてなんだが」
「あなたらしくない話の振り方をするね。
ユーリアが何だって?」
「あいつが人との距離が近いのは知っているな」
「スキンシップが多いよね。同性でも照れちゃうよ」
「それには理由がある」
「どんな?」
「実はあいつはお前と同じ特徴を持つ必要がある。俺がそれに気付いたのはあのドブくせぇクソ溜めみてぇなところであいつに会ってすぐだった。年を追うごとに何故かマシになってはいるらしいが状況はクソなままだ。回復する事が難しいのはお前もよく知るところだろ」
「…つまり、
ユーリアは昔からメガネをかける必要があるほど視力が低かったって事でいいね?」
「…そう言っている。寝ぼけ眼で見てやがるあいつに理由を聞けば見えづらいと。テーブルを挟んで向かい側に座っている俺の顔がだ。あれは眠かったんじゃなく俺を俺と認識するのに時間がかかっていやがったんだ」
「その視線に落ちちゃったわけだ。単純だね~」
「あ?それじゃまるであいつの面に惚れたみてぇじゃねぇか。勘違いするな。あいつの褒められるべき長所はまず第一に…」
「いいよいいよ!
ユーリアの好きなところを上げていったらきりがないでしょ?日が暮れるどころじゃないからね」
「チッ…」
「どんだけキレてんの?どんだけ
ユーリアについて語りたいの。大好きか!」
「当然だ」
「もうお腹いっぱいだよ~助けてエルヴィーン!」
「本題に入る」
「まだ始まってなかったの?」
「最初に言った言葉の意味だ」
「あなたが
ユーリアを可愛いと思ってるのはいつもの事じゃない」
「この俺がだ、思わず結婚してぇと考えるくらい衝撃を受けたんだぜ。どんなもんか気になるだろ」
「はっきり言うと別に…」
「そうか。実はな」
「私の意見は?」
「参考にするとでも思ってんのか」
「思ってないよー」
「あいつにメガネを買って与えた。生活に支障がないとも限らねぇ。実際に人との距離を詰めすぎるのは気になってたからな」
「似合うだろうね。ほら…誰でも一回は妄想するイカン女教師的な。彼女その気があるでしょ」
「何故分かる」
「見てれば分かるよ。しかしリヴァイが女教師にいびられたいと思っていたとは想像もつかなかった」
「オイ…俺の趣味じゃねぇ。あいつに必要だから買ったまでだ」
「でも悪くないと思ってるでしょ」
「似合わねぇことはねぇからな」
「うわぁ…ちょっと否定してほしかったよ。というか
ユーリアがメガネかけてるところ見た事ないけど…いつかけてるの?」
「問題はそれだ。あいつは家でもかけてねぇ」
「その理由が、あなたが衝撃を受けた可愛さって事?」
「そうだ…聞きてぇか」
「あなたが話したいのなら」
「いいだろう。話してやる」
「最初から話す気満々だったよね。どんだけ
ユーリアについて語りたいの」
「なぁ分かるか?あいつが何て言ったのか…お前に想像がつくはずがねぇよな」
「早く言ってよ。ぶっちゃけ興味ないからもったいつけられると腹が立つよ」
『せっかくだけどこれは使えないわ…。あなたの顔がよく見えすぎると恥ずかしくて何もできないの』…と。思わず結婚してぇと言っちまった」
「言ったんだ…。…恥ずかしいと言うわりに距離が近いよね。スキンシップも多いし」
「ああ…そうだ。…頭の切れるお前なら、察しがつくんじゃねぇのか」
「………。あなたが喜ぶような事を言って私に何の得があるのか…」
「…生け捕りに加勢しよう」
「私が思うに
ユーリアは!乙女の恥じらいがある!それを理由にしなければあなたのすぐ傍であなたに触れる事が出来ないに違いない!!」
「…そう思うか」
「間違いないよ!
ユーリアもあなたに気があるとしか思えない!」
「…同感だ」
「巨人生け捕りほぼ確定!ひゃっほぉおーいっ!!」
「オイ…俺は一度帰るぞ」
「はいよ!嫁さん大事にしろよッ!!」
「当然だ…」
《嫁が可愛すぎて結婚したい件について》
Ende.