彼らの為にも…
夢小説設定
この小説の夢小説設定12/25生まれのファーランの恋人。
王都の地下街で暮らしていたリヴァイの馴染み。リヴァイが調査兵団に入団した事を機に地上へ移住し一人暮らし(実際にはリヴァイと同棲)をしている。
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これは一体…どういう状況なんだ………。
リヴァイ兵長監視のもと、旧調査兵団本部の古城で生活するようになってからある程度の時間が経った。
今目の前にいるこの人……ユーリアさんに会ったのは、ここへ来てすぐくらいだったと思う。
団長と面識があるらしく、兵団の人間ではないにもかかわらずこの古城への出入りを自由に許されている特別な人。何より、あのリヴァイ兵長の奥さ…いや、恋人だ。本人達は否定しているが間違いない。
そんな人とオレが…何故か二人で密室のソファに腰かけ、見つめ合っている…。…こんなに近くに人の顔があるって事も中々ないぞ…。目が…星空みたいですごく綺麗だ…。
…事の発端は数分前、オレが一人で馬小屋の掃除をしていた時だった――、
「エレーン!」
手を振りながら近づいて来た一人の女性。
「ユーリアさん…!?お、お疲れ様です!」
「私は兵団の人間ではないから、心臓は捧げなくていいわよ」
思わず敬礼したオレにそう言って優しく微笑んだユーリアさんは、そっとオレの腕を降ろさせた。
「今日はどうされたんですか?兵長なら部屋で書類を睨み付けてる頃だと思いますけど…」
「貴方に会いに来たのよ」
「オレに…ですか?」
「ええ。少しお話がしたいわ。休憩してお部屋に入らない?」
「は、はぁ…」
ユーリアさんはオレの手にあった箒を壁に立て掛けた。
「行きましょう」
隣に立ち、オレの背に手を添える。
…前から思ってたけど、けっこう距離が近かったり…接触の多い人だ。不快感は全くないが…兵長に見られたら、睨まれるのはオレなんだよな…。
そうして二人で部屋に入る。
古城というだけあって部屋の数は多い。
ここは兵長が勝手に決めた、ユーリアさんの部屋。いつも兵長の仕事が終わるまでの間に使っているらしい。入ったのは初めてだ…。
さすが兵長、掃除が行き届いている…。ユーリアさんの為に念入りに掃除してるのが目に浮かぶな…。
「掛けて」
「はい…」
―――そして今に至る。
ユーリアさんは真っ直ぐにオレの目を見据えて逸らさない。さすがに照れくさくなってオレの方が視線を外す。
「エレン…」
「え…」
ユーリアさんはオレの頬に両手を添えると、また自分の方に向かせた。
「ちょ…ユーリアさん…っ」
「私を見て…」
「は………、」
「目を逸らさないで…」
「…ユーリア…さん…」
なん…なんだ、これ…。
何も言わずに、ただ見つめ合っている状況って…。
…顔だけじゃなく、体全体が熱くなっていくのが分かる。鼓動もどんどん早くなる。…何だこれ、病気か?
「綺麗な瞳だわ…」
「…あ、貴女の方が…」
「え?」
「い、いえ!何でも!」
ユーリアさんは穏やかな表情で、オレの顔に触れる。目元や頬に優しく手を滑らせた後、頭を撫でてきた。
「………」
穏やかな表情…それに違いはない…。でもどこか…悲しそうな顔で笑った…。