───誰かに背中を押された、…そう思った時にはもう遅かった。不思議なものでこういう時ってスローモーションになっているように感じる。…そんなのんきな事を思っている場合じゃないか。次の瞬間には階段の上から真っ逆さまに転げ落ちる…打ち所が悪ければ死ぬ高さだわ…ああ…、部外者が調査兵団の本部で死亡?どういう状況なのそれは…。ダメ…みんなに……リヴァイに、迷惑が──……、
─────
「っ……
ユーリア」
最初に目に入ったのは…リヴァイの、今までに見た事がないような表情。焦りとも怒りとも安堵とも取れるような…何て言ったらいいのか分からない難しい顔。
…天国なら彼がいるはずだし、地獄ならリヴァイはいない。…つまりは死んでないのね。ここは多分、兵舎でのリヴァイのお部屋だわ。…ベッドからリヴァイの香りがする…。九死に一生を得たみたいね。あの高さから落ちて無傷とは…相変わらず運だけはいい!
「…起きるな、首の神経をやってる。…絶対安静だ」
首…?…そっか、命拾いはしたけど打ち所は悪かったのね。…リヴァイに心配を掛けてしまった…。…それに本部に遊びに来ていて騒ぎを起こすなんて、…みんなにも迷惑が…。
「ごめんなさい…」
「お前が謝る事はない」
「…でも、」
「お前は何も悪くない」
…どうしてそんなにはっきりと言えるのかしら?って考えた時に頭を過る事がある。…誰かに背中を押された感じがしたけど…リヴァイはそれを分かっている?…誰かに突き落とされたと、…思っているのかな…。実際はどうなんだろう。私の勘違い…ただ足を踏み外してしまっただけとか、いつものドジの可能性も否定は出来ないわ。
「…呼吸が止まっていたらしい。…エルヴィンの判断は正しかった。おかげで…」
…どうしてエルヴィンが出て来るのかよりも、リヴァイの表情が気になる…。さっきまでとはまた違う、…何て言うのかしら…。まるで大切な何かを失ったような…辛そうな顔だわ…。………死んでないのに…。
「…リヴァイ」
「…何だ」
「私、生きてるわよ」
「………ああ」
頭を撫でてあげたいけど手が届かない。体を起こすのは許してもらえないのよね……どうしよう。不安な子を安心させてあげるにはやっぱり温もりを感じさせてあげるのが一番だと思うんだけどなぁ。…って、子供じゃないしそれを求めているなら自分から手を伸ばしてくるか。…という事なので、寝よう。
「
ユーリア?」
目を閉じた瞬間に名前を呼ばれた…。もしかして今寝たらもうそのまま目を覚まさない、とか思ってたりするのかしら。…表情を確認すると眉を顰めて目を細めた。…そんな顔されても…どうしたらいいか分かんないわ…。でも…リヴァイもどうしたらいいか分からないみたい。…手を伸ばしてはみたものの触るのを躊躇っているようだわ。普段からあまり触れて来ないけど…今は体に障ると思ってる…?首を痛めたようだからその付近である顔や頭に触る事を避けているのかも…。
「…大丈夫よ。…あなたの温もりを…肌で感じたい」
あ…ちょっと嬉しそう?さっきよりもほんの僅かにまぶたが上がっただけの微妙な変化だけど何となく分かる。これは嬉しがっている…。この言葉を待っていたのね。…気付くのが遅くてごめんね。
優しく頬に手を添えたかと思ったら…指で唇を撫でられた。…くすぐったい…。こんなところを触るなんて……どうしちゃったのかしら…。
「リヴァイ…」
私の声とほぼ同時に聞こえたノックの音に、顔を顰めたリヴァイが振り向いた。
「入れ」と言った彼の低い声に若い男性の返事が聞こえた。…中に入って来たのは今返事をしたであろう男性兵士と、腕を後ろで拘束されている小柄な女性兵士だった。
「こいつに間違いないです。階段の上で
ユーリアさんに手を伸ばしたところを見ました。走り去るこいつを目撃した兵士も何人かいました。この髪色にこの髪留め…特徴が一致しています」
あ…、あの髪留め…。私が失くしたブローチと同じデザインだわ…リヴァイからの贈り物だった…大切なブローチ…。リヴァイのお手製だからこの世に一つしかない…間違いなく、私の…。
「…分かった。お前は持ち場に戻れ」
「はい」
残された女の子にゆっくりと近付いて行ったリヴァイは凄むような低い声で語りかけた。
「聞きたい事が二つある」
彼女の表情から察するに…相当怖い顔で見下ろされているんでしょうね。可哀想に…。腕を拘束されて跪いて…まるで犯罪者のような扱いだわ…。
「まず一つ目だ。…そいつはどこで手に入れた?」
リヴァイは特徴的な髪留めを指差してそう言った。…気付いていたのね…。それもそうか…自分が作ったんだもんね。…リヴァイが私の為に…、…なのに私…失くしちゃって………、
「あ…あの人がくれました!こんな髪留めいらないからって!」
「”こんな髪留めいらない”…確かにそう言ったんだな?」
「………、」
「俺がやったのはブローチだ。…だがお前のそれは金具の部分が髪留め用に変わっている」
「あの人が…髪留めにしたんですよ、自分で…」
「いらねぇはずの髪留めにわざわざ自分で手を加えて変え、そしてそれを人にくれてやる…そんな意味のねぇ事をお前ならするのか?」
「………まともじゃない人ならすると思いますよ」
まともじゃないと言われてしまった…。
…自分で言うのも何だけど、私は昔からけっこう人に好かれる。…だからこそ、嫌われているのがすぐに分かる。相手の目を見ればすぐに…。この子に何かした覚えはないけれど、一目惚れというものがあるくらいだからその逆もあるでしょう。つまり、何もしなくても嫌われる時は嫌われるという事ね。
「痛…っ!」
お…女の子の髪の毛を掴んで引きずっている…っ
「リヴァイっ何を考えているの…!離してあげて!」
私が寝ているベッドのすぐ傍まで来ると叩き付ける勢いで手を離した。床に顔をぶつけたんじゃないかしら…。
「大丈夫…?」
声を掛けるとすごい形相で睨み付けられてしまった。…こうなっているのは私のせいだと思っているのかしら…。嫌われている、から憎まれている、にランクアップしそうね…。
「盗ったならそうと正直に言って謝るのが筋だ。だがこのガキはこの期に及んで嘘を付きごまかそうとしてやがる…」
盗んだと決まったわけではないけど、私はあげてないから多分そうなのよね…。私に貰ったなんて言わずに拾ったと言えば良かったのに…。
「二つ目の質問だ」
今度は首を締め上げるように胸倉を掴んでいる…どうしてそんな乱暴な事が出来るの…?苦しそうに顔を顰めて…可哀想に…。
「お前は階段の上でこいつに触れたか?…こいつを突き落としたか?」
「………、…や…やってないっ!」
「………そうか。分かった」
また床に叩き付けたかと思ったら背中を踏み付けている……女の子に何て事を…。もう…気を失いそうだわ…。
「リヴァイ…お願いだからやめてちょうだい…」
「こいつは人間の面を被った悪魔だ。こいつからは悪意しか感じられない」
「人を悪魔呼ばわりして暴力を正当化しないで。今この子はやっていないと言ったわ。信じてあげましょう?」
「無実の人間であればそもそも階段の上にはいない。ならそれを言うはずだろ。その場にいた事を認めたのは自分がやったと認めたも同然だ」
「………でも…」
「わ…わざとじゃ…ない…!」
「それは重要じゃない。間違いだろうが人に怪我を負わせれば罪だ。こいつは…一歩間違えれば死んでいた。人ひとり殺して間違いました、わざとじゃありませんでした、…そんなのが通じると思うか?」
「………、」
「謝って済む問題じゃねぇが俺の気が治まらねぇ。…床に頭を付けてしっかりと詫びろ、クソガキが」
床に頭はさっきからずっと付いてるのよ…あなたが押し付けているのだから…。…リヴァイが怒っている理由は分かるわ。もしも逆だったら…もしもリヴァイにわざと大怪我を負わせる人が居たならば…私だったらその人に、…生きる事をやめたくなるくらいの苦痛を与えて後悔させてやる。…自分と比べたらリヴァイは優しいのかも知れないけど…でもやっぱり女の子に暴力を振るうようなところは見たくないわ…。
「ねぇ…本当にもういいから…」
「こんな状況でもまだ謝罪の一つもしやがらねぇ…強情な奴だ…」
「リヴァイ…傍に来て?その子の躾はまたにして、今は…私に構ってちょうだい」
「………」
小さく舌打ちをしたリヴァイはその子を縛っている縄の一部を固定家具に引っ掛けた。逃げないようにしたんだろうけど…その子がいたんじゃ満足に甘えられないわ…。
ベッドに腰掛けたリヴァイに頭を撫でられる。…心地が良い。…仕方ないわね。あの子はいないものと思いましょう。
「ん…、」
また…唇を触られた…。親指で何度も優しくなぞられる…。
「くすぐったいわ…」
今度は…ちょっと強めに撫でられた。何か付いてるのかしら?拭って取ってる…?
「リヴァイ…?私の唇に何か付いてるの…?」
「………」
「…無視だ…無視はイジメよ?」
「何だ…俺は普段からもっと酷いイジメを受けているんだが?」
「そんなっ誰に!?私が然るべき報いを…」
「お前だよ」
「………、………今までたくさんからかったりしてきたけど…、何か…本当に嫌だった事があったの…?」
「馬鹿、冗談だ。…ねぇよ。お前の戯れ事に付き合うのは趣味の一環だ」
「なら良かった…」
目を細めて私を見るその表情は穏やかで、さっきまで女の子に乱暴を働いていた人と同一人物とはとても思えないわ。
「
ユーリア…」
「ん…?」
頬に手を添えて輪郭を指でなぞりながら私の唇を見てる…。…唇の何がそんなに気になるのかしら…。
今度は真っ直ぐ目を見つめたまま、少しずつ距離を詰めて来た。えっと…、…え?…キス…されそう…。
ぎゅっと目を瞑って身構えるけど、当然唇に熱を感じる事はなかった。…代わりに重なったのは額で、多分…熱を測っている…のよね。びっくりした…。…でもリヴァイの息が顔にかかる…。…キスされるよりも恥ずかしいかも…。
少し離れたリヴァイと目が合う。…なんか…ファーストキスの後みたいな感覚だわ…。
「…私のファーストキス…上書きしないで…?」
すっごいびっくりした顔してる…。私も自分でびっくりよ…何言ってるのかしら。意味分かんない事言っちゃったわ…恥ずかしい…。
「っ…何も、してねぇだろうが…」
「そうだけど……私の気分の問題」
「それは知るか…」
きっとリヴァイも恥ずかしいのね。気恥ずかしさを隠すように二人で小さく笑い合った。
…ふと視線を横に流して思い出したけど …そう言えば今、二人きりじゃなかったんだ…。視界に入った彼女はとても辛そうな…悲しそうな顔で目を伏せている。なんか…何だろう、何となく…、………私のブローチはリヴァイのお手製だと知ったから欲しくなったのよね。私の事が嫌いなのも、リヴァイの一番近くにいるからなのかも…。…好きな人が目の前で別な女の人と笑い合っていたらそういう顔にもなるわよね…。あの子…リヴァイの事が好きなのかも…。もしそうだとしたら…それに気付いてしまった私は、もう何も言わない方がいいわね。何を言っても偽善者のようだわ…。
私の視線の先に気付いたリヴァイが小さく溜息を吐いて立ち上がった。
「お前の処罰は上に委ねる。…本部内で殺人未遂を犯した重罪だ。団長が許可を下し出入りしていた兵士長夫人相手に馬鹿な真似をしたな。…今の内に覚悟を決めておけ」
兵士長夫人…って…私そんな肩書きだったんだ…。まぁ…そっか。夫婦という事にしているもんね…でもなんか恥ずかしい…。
あの子はとても気の毒だけど…私がどうこうするのはおかしな話だわ。そもそもそんな権限ないし…。
「…
ユーリア」
「は…はい?」
「こいつを引き渡してくる。お前は絶対安静だ。…いいな?」
「…はい」
「…すぐに戻る」
…あの子に話し掛けた人とは別人かと思うくらい優しい声色で私の名前を呼んだリヴァイにちょっとだけドキッとした。…優しいのはいつもの事だけど…改めて思ったわ。…私って、特別なんだ…。
最後にまた睨まれてしまったけど…そんなに憎しみを込めなくても多分もう会う事はないでしょうから安心して…お嬢さん。あとね、あなたまだまだ若いんだから…あんなふうに乱暴するおじさんよりもっともっといい人が現れるわ。その髪留めは…今日のこの嫌な思い出を閉じ込めて捨ててしまいなさい。大丈夫よ。あなたは幸せになれる。この不幸が倍以上の幸福になって返って来るわ。だからいつか…私が手に入れられない物を全て手に入れて、幸せだと言って笑ってね。
「
ユーリア~…?大丈夫?」
部屋に一人残されてぼーっとすること数分。控えめに扉を開けながら顔を覗かせたのはハンジだった。もしリヴァイが居たならノックくらいしろクソメガネと言われるところだったわね。
「ハンジ…迷惑かけてごめんなさい」
「起きていたんだね。体の具合はどう?」
「絶対安静だ…とリヴァイに言われてしまって起き上がれないけど、多分平気よ」
「え?医者は別にそんな事言ってなかったよ?まぁ安静にしてるに越した事はないけど、上体を起こすくらい大丈夫だよ」
そうなの…?なんだ、お医者さんに診てもらっていたんだ。起き上がるなってリヴァイが心配して勝手に言っていただけか…。
「いやぁ~しかしエルヴィンのおかげで命拾いしたね」
「え?どうしてエルヴィンが出てくるの?」
「…え?リヴァイから聞いてないの?」
「何を?」
「あー…まぁリヴァイから言うわけないか…」
「…だから何を?」
「階段の下に丁度エルヴィンがいてね。あなたを介抱したんだよ。呼吸が止まっていたあなたを見て口移し式の応急処置をした彼の判断は正しかったと医者も言っていた」
「……………え?」
「私とリヴァイが駆け付けてからすぐに息を吹き返したから良かったけど、一時はどうなる事かと思ったよ…」
エルヴィンが…人工呼吸を…。
『…エルヴィンの判断は正しかった。おかげで…』
リヴァイが言ったのはこの事だったのね…。おかげで助かったと…。
…それじゃあ、なんか唇を気にしていると思ったのは…それを見ていたから…?まるで何かを拭うように何度も触っていたけど…、…そういう事…?
「どうしたの
ユーリア。顔が赤いけど…熱が出て来たのかな?あ…もしかしてエルヴィンと唇を重ねたと思って照れてるの?救命の為の人工呼吸はキスじゃないから気にする事ないよ!ってリヴァイにも同じ事を言ったなぁ…あ、いや、今のは独り言だから聞かなかった事に…!…あれ?
ユーリア?」
嫌…だったのかな?私が…その…、…。…そう言えばすごく辛そうな顔をしていたような気がする。…でもどうして?…どうしてあんな顔をしたのかしら…どうして嫌だと思ったのかしら…、…どうして、…あんなに何度も唇を………。
「…うわぁ…
ユーリア、ちょっと…自分の唇触るのやめなよ!エロいよ!誘ってるみたいだよ!?」
「え…?」
「しかも上目遣い!?あざといな!そんな顔で男を見ちゃダメだからね!?いくらリヴァイのリヴァイがちょー強いからってさすがにそんな顔で見たら理性が吹っ飛ぶよ!」
「…ハンジ…なんか、さっきからうるさい」
「チッ…そうだクソメガネ…体に障るだろうが。邪魔だから出ていけ」
あ…リヴァイ………。戻って来たんだ…。
ハンジを追い出したリヴァイは私の目の前に椅子を持ってきて座った。
「本当にすぐだったね…おかえり」
「…安静にしていろと言ったはずだ。何故起きている?寝てろ」
「………」
リヴァイの手をそっと握ると、戸惑ったように一瞬ぴくりと指が動いた。…ゆっくりと顔に近付けて…目を見つめながら彼の指に唇を撫でさせる。
「っ…オイ、
ユーリア…」
「リヴァイ…」
ちょっと照れてる…?さっき何度も自分でやってたくせに…。ああ…ダメだな、私………、
「…あなたじゃなくてエルヴィンだったのは…良かったかも…」
「………、………聞いたのか」
「…うん」
「………そうか。まぁ、…そうだな。…エルヴィンには礼を言った。もうお前から話を振る必要はない」
「そうはいかないわ。ちゃんとお礼を言わなくちゃ…」
「言ったと言ってる」
なんか…不機嫌になっちゃった…?…今の発言が気に食わなかったのかな。エルヴィンで良かったって言ったのは…そういう意味じゃないんだけど…。
手を握り直してリヴァイの顔を見た。…今度は目じゃなくて…口元を。
「…あなたと、そういう形で触れ合いたくはないから…」
逆にそういう事でもなければ触れ合えないんだけどね…。それが許される関係をお互いに望んでいないから…望んではいけないから…。
あ…手を握り返された…。今度はリヴァイの番みたい…。さっき私がやったように自分の唇を撫でさせている。…ちょっとだけ…乾燥しててカサカサだ。
「ふふっ…あなたは何を拭ってほしかったの?」
「………さぁな」
「…私の唇はあなたの計画通り…上書きされたわ。あなたの指の感触と温もりに…」
意識を失っていたから元々エルヴィンの温もりは知らないんだけどね。拭い去りたいというのなら気が済むまで…。私はあなたのやりたい事に付き合いますよ。…その代わり私にも付き合ってもらうわ。
横になっていた時にリヴァイにされた…もしかしたらキスをするよりも恥ずかしいかも知れない事…。…リヴァイの頬を両手で包んで顔を近付けた。…さっきの私と違ってリヴァイは目を見開いたままなのね。…ちょっと閉じてほしいかも。
額を重ねると鼻先が触れ合って…やっぱり顔に、…口元にリヴァイの息がかかる…。
「ねぇ、今…どんな気持ち?」
「っ、喋るな…」
「唇を重ねるより…ドキドキしない?」
「………」
…しないか。私とリヴァイ…というか、男女の感覚は違うもんね…。
離れようと思ったら頭の後ろに手を添えられた。…リヴァイの手に押さえられてる…。まだ離れちゃダメだったのかしら…。
「…熱いな、お前…熱があるんじゃねぇのか」
「………あなたもね」
「………やはり安静にしている必要がある。…このまま、…少しじっとしていろ…」
「ん…あなたの気が済むまで…」
………どれくらいそうしていたのか分からないけど…やっぱり、少し離れて見つめ合った時は、キスをした後みたいでとっても恥ずかしくなった。…ファーストキスの後みたいだって思ったのはそれくらいドキドキしたという事よね。先にしたのよりも今の方がその気持ちが大きい。額を重ねている時間が長かったからかしら…?
「また…ファーストキスを上書きされた気分」
そう言ったら、リヴァイは恥ずかしそうに顔を顰めて目を逸らした。それがすごく可愛くて…抱き締めたい衝動を抑えるのに必死になった───。
《ファーストキスは何度でも》
何度でも上書きされてしまう…そんな気分になってしまう。額を重ねるだけの事がキスよりドキドキするなんて不思議だわ……。
Ende.