モンペがディ・モールトめんどくさダルい件
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ミエーレを観察していてある事に気が付いた。座る距離が人によって大幅に異なるという事だ。何も考えていない無意識の内なのか、理由があって距離を取る者とそうでない者を分けているのか…。ちなみにソルベとジェラート相手には何か気を使っているように少し距離を置いて座っていた。ホルマジオとイルーゾォの場合座る距離は普通。他人とベンチに座るような距離感といったところか。ペッシ、ギアッチョ相手だとわりと親しい友人と並ぶ程度の距離に見えた。問題はプロシュートだ。奴の距離の詰め方に慣れないのか、肩が触れ合うくらいの距離に座られると委縮したような態度を見せる。プロシュートが拾って来たんだから一番懐いているはずだがな。潜在的な苦手意識のようなものがあるように感じる。
………納得いかないのがオレとの距離だ。そういやこの女、見た目以上に歳を食っているんだったな。顔色から察するに健康状態は良好。キメ細やかな白い肌に健康的な唇の色。オレの質問に対する恥じらいや戸惑いの無さから性的な経験も十分だ。良い。ベリッシモ…最高に良いぞ…ッ!
「……………、」
ん……見過ぎたか。一瞬こちらをちらりと見て困ったように眉を寄せた。…その表情も…ディ・モールト…良いじゃあないか!
「ミエーレ」
「は…はい………?」
「そんな端っこに座っている事もないだろう。こっちへおいで」
「………」
これ以上ないくらいに優しく話しかけたつもりだが…何を警戒しているのか一向に距離を詰めて座ろうとしない。…そうだ、オレはそれが気に食わなかったんだ。偉そうなイルーゾォやあのギアッチョ相手にすら傍に座って雑談をするというのに…何だこのオレとの距離は。明らかに意図的に距離を置いているじゃあないか。何も嫌われるような事はしていないぞ。傍に寄るどころか目を合わせようともしない。仕方ないからオレから近寄り、ソファーの角に追いやるように寄りかかれば戸惑ったような声を零した。
「………メ…メローネ………」
「そのどうしたらいいのか分からないような顔…最高に良いね!」
「メローネは…変態です。気持ち悪いです」
「唐突な悪口!」
「事実です」
「ディ・モールト辛辣!だがそれが逆に良い!」
「でもね、私は別に平気なんです。メローネは悪い人ではありませんから」
「悪い人じゃあない……ふーん?」
「ただあんまり近くに座ると孕むからダメってプロシュートに言われているんです」
「はははっ確かに!間違いじゃあないな!」
「離れてもらえません…?」
「ん~…断る」
「メローネは…人肌が恋しい人ですか?」
「何だその質問は………まぁ、そうかな」
「私と一緒…ですね。ん…今は二人きりですし…じゃあ、プロシュートには内緒ですよ?」
少し考える素振りを見せてから寄り添うように身じろいだ。…そうか、オレがイヤってわけじゃあなかったんだな。…しかし何だ、この感じは…。…これが…まさかこれが……父性本能?ベイビィを育てている時ですら一回も感じた事のない感覚だ…。
「内緒にしないとメローネが怒られてしまいますから…」
「………」
何となく頭を撫でてやると目を細めたのが分かった。表情筋は死んでいるらしいが嬉しがっているというのは分かるな。可愛いじゃあないか。犬猫の感覚だが。プロシュートが手も出さずにモンペやってるのも納得がいく。
「…ミエーレ。これをやろう」
「お菓子…?いいんですか?」
「ああ。夕飯食べられなくなるとモンペがうるさいから程ほどにな」
「ありがとうございます…!」
何をするでもなくただ密着してソファーに座っていた。本当に…ただそれだけだったのに……、
───ガチャ、
「…!」
「あ、リーダーおかえ…」
「メタリカァアッ!!」
「ゴブァッ!!」
帰って来たリーダーに問答無用でメタリカされた…あまりにもひどいんじゃあないか…いきなり剃刀を吐かせるなんてディ・モールト納得いかないんだが。オレが何したってんだ…ッ?
「ひッ………メ…メローネが死んだ………」
「無事かミエーレ」
「あ…はい………あっ、でもプロシュートにいただいた服にメローネの血が付着してしまいました…!どうしてくれるんですメローネっ」
オレを責めるの?この状況で?
「こっちに来なさい。着替えを用意する」
女用の服なんて持ってるのかリーダー…。前にホルマジオが服をやろうとしたがモンペがそれを許さなかったのを見ていたから買わないと思っていたのに…。服を買い与えると着せ替え人形じゃあねぇんだよ!なんて言って怒るのは自分が与えるもの以外着せたくないという独占欲の表れだろうな面倒くさい。
「サイズぴったりです…!お借りしてもいいんですか?」
「おまえ用だ。くれてやる」
「でも…こんな高そうなお洋服いただけません…」
「オレが持っていても仕方ないだろうが。いらねぇなら捨てろ」
「そ、そんな………」
さすが…リーダーチョイスだとシックだね。いつもと違う感じがベネ!
「あの…ネエロ、」
「何だ」
「隣に座っても…良いですか?」
「………ああ」
そういえば…オレが観察していた限りだと、ミエーレの方から距離を詰めるのはリーダーしかいねぇんだった。プロシュート相手には距離がゼロだが来いと言われない限り動かなかったからな。…何でリーダーだけ?全然納得いかないんだが?
つーか隣に座っていいかって?リーダー一人掛けのソファーに座ってるじゃあねぇか。一人掛けのソファーにどうやって二人で座るっていうんだ。いくらミエーレがガキ並みに小柄だからってさすがに狭くないか。
「………、」
…本当に座ってるぜ…ぎゅうぎゅうに詰めて座る必要なんてねぇのに何やってんだ?そうなるのが分かってて何でリーダーは隣に座る事を許可したんだ。それならもう膝に抱えた方がいいんじゃあないだろうか。まぁそれを見たモンペが何するか分かったもんじゃないが………。
「ネエロ…」
ところで何でリーダーだけ名字呼びなんだディ・モールト気になるんだけど。
「ありがとうございます…」
「…何が?」
「お洋服…」
「………ああ」
「あと、隣に座る事を許してくれています…」
「………」
「ネエロは…温かいですね…」
人肌恋しい系女子かこいつ。プロシュートの奴は何やってんだ?育て方が悪いからこんな寂しがりやの寒がりになったんじゃあないのか。見ろ、あんなリーダーの顔初めて見たぞ。捨て猫が不憫で仕方ねぇみたいな顔してるぜ。気持ちは分かるがそんな顔で見てやるなよ…。
………さっきのオレの時と同じ反応だ。頭を撫でられて嬉しそうにしている。笑ってるわけじゃあないのに嬉しそうだと分かるのも不思議なもんだな。何となくだがリーダーに対しては安心感や信頼のようなものがあるように思える。自分から近寄るというのも警戒心を解いている証拠なんだろう。人柄の問題か?見た目だけならリーダーなんて一番近寄りがたいもんな。野生本能で人間の本質を見抜いているのかも知れねぇ。納得はいかないが仕方がないな。
「帰ったぜ」
あぁ…モンペのご帰宅か。面倒だからもう少し死んだふりしてよう。
「わ…メローネがこんなところで寝てるよ…邪魔だなぁ…床も汚してるし…」
言うじゃあないかペッシ。床も汚してるしじゃあない。仲間が流血して倒れているんだ、もっと他に言う事があるだろう。
「首尾は?」
「問題ないですぜ!」
「問題があるわけがねぇだろうが。…そんな事より問題はおめーらだ」
任務をそんな事呼ばわりか…。
「ミエーレミエーレミエーレよォ、ええ?ミエーレ~?何か言う事があるんじゃあねぇのか?」
「え…お、おかえりなさい…?」
「おう。それで?ずいぶんと仲良くなったじゃあねぇかリゾットとよォ………ところでその服は何だ。オレがくれてやった服はどうしたよミエーレ」
「汚れてしまったので着替えを…ネエロにいただきました」
「へぇ…リゾットが女の服をねぇ………オレの、”オレの”マンモーナが世話掛けたなリゾットォ………」
「気にするな。おまえのマンモーナが変態に狙われていたから保護しておいてやったぞ。ほら、マードレのもとへ帰りなさい」
誤解だぜリーダー!?何も変な事をしちゃあいない!!ミエーレ!擁護を頼むぞ!?おい!ぼーっとしてるんじゃあないぞミエーレ!!
「ペッシ…その手に持っている袋…もしかしてドルチェでは?」
「え?あ、ああ…そうだよ。兄貴がミエーレのお土産にって…」
「わぁ……プロシュート…今いただいてもいいですか?」
「ああ、手ェ洗ってきな」
「はいっ」
「ペッシもだ。手洗いうがいは徹底してやれ」
「分かったよ、兄貴!」
マンモーニは甘やかされていて良いな。…何か嫌な予感がするぜ…。
「ザ・グレイトフル・デッド…ッ!!」
「お、おいプロシュート!直触り!?何考えて…ッ」
「いっぺん枯れとけメローネェ…」
「何で!?ミエーレには何もしちゃあいない!本人に聞けば分かる事だ!なのに勘違いしたリーダーにメタリカされたんだぜ!?オレは被害者以外の何者でもないッ!!」
「よく喋るじゃあねーか…うるさいから枯れとけ」
「理不尽ッッ!!」
これ完全に八つ当たりじゃあないか…?ミエーレがリーダーと仲良くしていた事に腹を立てているんだろ…大人気ねぇって言うか、やっぱり面倒くさいんだが。もう………距離を置こう。タチが悪い。
《モンペがディ・モールトめんどくさダルい件》
Fine.
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