ダイエットしようとした結果
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……………な…なんだか…太ったような気が………。………そ、そういえば最近………、
─────
「ほらよ、ミエーレ」
「わぁ…今日のドルチェはパンナコッタですね…!いただきます!」
「………うめーか」
「はい!ぶおにっしもです!」
「そうか。これも食いな」
「でもそれはプロシュートの分…」
「こんな甘ったるいもん食えるか。おめーが食わねぇなら捨てるだけだぜ」
「そんな…ダメです!…いただきます。今食べているこれとはまた違った味のようですし…そっちも美味しそうです!」
「おう。残さず食えよマンモーナ」
───
「おい…そこのマンモーナ」
「わ…私…ですか?」
「鏡の中に入る事を許可してやろう」
「え…?あ…はい、お邪魔します…」
「マン・イン・ザ・ミラー!ミエーレが鏡の中に入る事を許可しろォォ!!」
「………?………あ、イルーゾォ…こんにちは。イルーゾォがいるという事はここはもう鏡の中の世界なんですね。…やっぱり不思議な感じです」
「ふんっ。普通に生きてりゃあできねぇ経験だぜ。感謝するんだな!」
「はい、ありがとうございます」
「ところで…どうせ貴様のようなマンモーナはこんなものが好きだろう?」
「あ…ビニェ…ですか?美味しそうです…っ」
「勘違いするんじゃあないぜ。誰もやるなんて言ってねぇんだからな。…だが、たまたま何かの手違いで予定より多く買っちまったのも事実……ちゃーんとお願いできるならひとつくらい分けてやってもいいぜ」
「そんな…鏡の中に入れてもらったのに、そのうえドルチェまでねだるなんて厚かましい事はできません…」
「………その程度、厚かましいとは言わねぇと思うんだが…。………おれはいらねぇからやるよ」
「え…でも…」
「ほらよ」
「あ…ありがとう…ございます。いただきます…っ」
「………どうだ、美味いか?」
「はいっとても美味しいです!」
「当然だな。何を隠そうこのイルーゾォが選んだんだからな!」
「美味しいものを選ぶのが得意なんてすごいです!羨ましいです!」
「そうだろうマンモーナ!全部食っていいんだぜ!」
「イルーゾォは優しいですね。ありがとうございます」
「はあ?優しいだって?…それは違うな。礼はいらねぇんだよ。ただの餌付けだからな」
「えづけ…?…でも、嬉しいのでお礼は言いたいです。ありがとうございます」
「………ふんっ」
───
「ミエーレ~帰ったぜー」
「あ…ペッシ…おかえりなさい」
「兄貴は用事済ませてから来るってよ。ちょっと遅くなるだろうから、一緒にこれ食って待ってようぜ」
「それは…あの美味しいお店のブディーノです!」
「兄貴に聞いたんだ。好物なんだろ?」
「はい…っ。ありがとうございます…!」
「よ~~ペッシ、オレのは?」
「居たのかぃホルマジオ……ごめんよ、二つしか買ってないんだ…」
「しょうがねーなぁ~~…」
「あ…では…半分こ、します?ホルマジオ…」
「お?…おお、ははっ仲間なら時には分け合う事も大切だよなぁ…ミエーレはよーく分かってるみてぇだぜマンモーネのペッシ!」
「わ…分かったよ…オレのも分けるよ…。…どんだけ食いてーんだよ…オレ達は半分になったのにホルマジオは一個分だし………」
「何か言ったかマンモーネ」
「何でもないよ…」
「よぉーし!いい子なマンモーニにはご褒美をやらなきゃあいけねーな?ほらよ!」
「え?これってトルタチョコラータ?どうしたんだぃ?」
「どうもこうもねぇだろうが」
「美味しそうです…!いただいても?」
「おうよ」
「でもミエーレ…こんなに食べられるのかぃ?兄貴が見たら…夕飯が食えなくなるって怒られるんじゃあ…」
「食いてぇ時が食い時だぜペッシィ…ほらミエーレ、モンペ来る前に全部食っちまいな」
「はい………!」
───
「やぁミエーレ。健康状態は良好かぃ?」
「良好…だと思います」
「良いね。これでも食べなよ。話をしようじゃあないか」
「これは…」
「スフォッリャテッラ。焼き菓子だ」
「い、いただきます………。………美味しいです…!」
「そりゃあ良かった。ナポリ地方の名物でな、"ひだを何枚も重ねた"という意味を持つんだぜ」
「へぇ~…メローネは物知りですね!」
「ところで今日の"仕方”の気分は?」
「仕方?」
「この間見せただろう?48以上もの仕方があってそれによって…」
「メタリカァアッ!!」
「ぐぼぁああっ!!」
「ひッ………メ…メローネが死んだ………」
「ミエーレ。変態と話すんじゃあないと、プロシュートに言われなかったか」
「い…言われました………すみません………」
「おいおいリゾット…あまり叱るもんじゃあないぜ………こういうタイプは褒めて伸ばさなきゃあ…」
「こっちに来るんだ」
「はい…」
「無視?」
「そこに座れ」
「はい………」
「ん…?その手に持っているのは………」
「え…?」
「それは……まさかそれは………!スフォッリャテッラ…」
「はい…そう言っていました…」
「なるほど…ならやり方は出来ている…」
「やり方…?」
「貸しなさい」
「はい………」
「これでも食って待っていろ」
「これは…カンノーロ!シチリア伝統のドルチェですね?いただいてもいいんですか?」
「ああ」
「ありがとうございます!」
「───カンノーロ、ぶおーのです。大好きです!」
「手を加えたスフォッリャテッラの方はどうだ」
「ん………ベリッシモ………幸せです………。いくらでも食べられそうです…!」
「………そうか」
─────
「ミエーレよォ………ソルベとジェラートから預かったソルベとジェラートがあんだけどよ、食うかァ~?」
「あ…はい!いただきます…!」
「ほらよ」
「ありがとうございます…!二人はどちらに?お礼を言いたいです」
「オレが知るかよ」
「す、すみません…」
「おい、うめーか?ソルベとジェラートはよォ~」
「はいっ」
「そうかよ。………ソルベとジェラートがよ~…ソルベとジェラートを買ったのは分かる。自分の名前と同じ菓子なら何となく買いたくなるからな。何より美味い。…だが…ッ!それをこいつにやるのはどういう事だァ~~?冷てぇもんばっかじゃあ腹壊しちまうだろうがァア!!それになァ!被ってんだよオレのグラニータとよォ~!!クソッ!クソッ!ふざけやがって野郎共!わざとか?わざとだよなァ!?偶然なんってあり得ねぇぞオイ!全然納得いかねぇからなァ~ッ!!」
「………、」
「おめーはどう思うミエーレ~…わざとだよな?だってあいつらオレがグラニータ持ってる事知ってたんだぜ~ナメやがってチクショー!イラつくぜェ~~~!!」
「わぁ…とても綺麗で美味しそうなグラニータですね」
「………食うか?」
「えっ…いいんですか?」
「………おう」
「では私のソルジェラもどうぞ!分け合いっこしましょう?」
「………」
「冷たいお菓子って美味しいですね」
「だな」
─────
甘い彼らと甘いお菓子に甘えていれば甘ったれた体型になっても仕方がないという事………、与えられるまま好きな物を好きなだけ食べていてはダメです………制限しなければ………っ!
「おらミエーレ、菓子だ。食いな」
「プロシュート…ありがとうございます………でも、今日は…大丈夫です」
「ああ?大丈夫って何がだ」
「私は食べられないので、ペッシにあげてください…」
「あ"あ"ッ!?おいおいミエーレ!ミエーレよォ!どうしたってんだ!ええ?具合が悪いのか?どこがどう悪いのか具体的に言え!場合によっちゃあ医者に掛からなきゃならねぇぜ!?」
「え……え?」
「兄貴どうしたんです!?大声出して…」
「ミエーレが菓子を断りやがった…」
「ええ!?」
「何だ何だァ?」
「何かあったのか?」
「ミエーレが具合悪いんだって…」
「何?健康状態が良好じゃあない…だと?…ミエーレの健康状態…不調…と」
「冷てぇもんばっか与えすぎたか…チッ…」
「しょうがねーなぁ~…とりあえず横になりな」
「鏡の中で静かに休む事を許可してやるぞ」
「体を温めた方がいい。ペッシ、ブランケットを持って来てやれ」
「はいッリーダー!」
「で、どうなんだ。頭が痛ぇとか腹が痛ぇとか寒気がするとかなァ…何かあるんだろう言ってみな」
「な…何もないです…。ただ最近少し太ったような気がするので、甘い物を控えようと思ったのです…。…ダイエットしようと心の中で思った時にはすでに行動は………ッ」
「チッ!ミエーレ!!」
「ひッ……どうして怒っているんです…?」
「ミエーレミエーレミエーレよォ…!マンモーナのミエーレ~!!しょうもねぇ事を考えるんじゃあねぇぜ!心配させやがってチクショー!」
「ふざけるんじゃあねぇぞミエーレ~ッ!!おめーが食わねぇなら誰が食うんだァ甘いもんなんかよォ~~!!」
「無理な食事制限は健康状態に影響を及ぼすだけでなく精神的苦痛も伴うからおススメしないぜ」
「ミエーレは太ってなんかないよ。気にしなくていいんじゃないかな…」
「相談もなしに勝手に決めて実行する事は許可しなーいッ!」
「しょうがねーなァ~~…バラバラにしねぇと棺桶にも入らねーくらいの強烈な奴知ってるぜ。紹介してやろうかァ?自分にはダイエットなんざ必要ねぇなって分からせてもらえるぜ」
「必要のない事をするな。おまえの体にはむしろまだ足りない。好物を制限する前にまずはホウレンソウやレバー肉などから必要な栄養分を補給し体を出来上がらせろ。その上で付いた余分な脂肪なら無理なく落とす方法を考えてやる。だがまだ”その時”じゃあない。言っている事…分かるな?」
「……………はい…」
《ダイエットしようとした結果》
なんか怒られた…。
Fine.
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