兄貴の行動がおかしい件について
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最近プロシュート兄ィの様子が…少し変だ。
「……………」
「兄貴ィ…どうしたんです?さっきから鏡なんか睨みつけて…」
「………おいペッシ、オメーオレの顔をどう思う?」
「へッ?…か、かっこいいよ?兄貴より男前な人は少なくともこの街にはいませんぜ!」
「そりゃあそうさ。分かってるよ」
「分かってるんだ…」
「それ以外で何か思う事はねぇのかって話だ。些細な事でいいんだ。気付いた事を言ってみろ」
「うーん…。………あ、…眉間にシワが寄ってる………?」
「………、それだ!でかしたぞペッシ!!」
「え?」
「ところでおまえは何か動物を飼った事はあるのか」
「魚なら飼ってましたぜ!」
「そうじゃねぇ。もっとこう…毛が生えた…もふもふしたような奴だ」
「もふもふ…?」
「小動物が怯えずに懐く手っ取り早い方法を探してる」
「へぇ!兄貴ペット飼い始めたんですか!?」
「あ?飼ってねぇよ」
「ええ?じゃあ何でそんな事知りたいんです?」
「必要だからだろうが」
「何で………?」
───別な日、
「……………」
なんか………、
「………う”う”んッ」
顔を押さえたり咳払いしたりしてごまかしてるけど…なんか兄貴、さっきからちょっとニヤけてる…?こんな…あんまりシャキッとしてねぇ兄貴初めて見たなぁ…何か良い事あったのかな?
「オイ…ペッシ~」
「ん?何だぃホルマジオ」
「明らかにおかしいよなァ?兄貴の様子」
「あ、あー…」
そりゃあオイラが気付くんだから気付くよね…。変にからかったりしなきゃいいけど…。
「ありゃあ女だな!より取り見取りのプロシュート兄貴様の事だからな~イイ女ひっかけたんじゃあねぇか?へへっ」
んー…兄貴のそういう事情は知らないけど…なんかちょっと違う気がする。昨日はこんな女と遊んだ、昨日はこうだった、なんてよくホルマジオと喋ってる感じを見てるとあんまり一人に執着してねぇんだと思う。…深入りしてもロクな事ないのはオイラでも分かるもんな…相手が本気になる前に次にいくんだろう。何より遊び相手の女と会ったってこんな風に浮かれてる?みたいになった事は今まで一度もなかった。だから女絡みじゃあないと思うけど…。
「よぉプロシュート!ずいぶん機嫌が良さそうだな!どんなイイ女なんだ?紹介してくれよ~」
「あ?なんの話だ」
「とぼけんなよ~。オメーがそんなんなっちまうなんてかなり上等な女なんだろ?」
「上等な女だァ?はんっ…くだらねぇ。そんな事よりオメー、頼んでた例のもんはどうなってる」
「ああ…、ほらよ」
何だろう?兄貴がホルマジオに本を借りるなんて珍しい。
「しかしまさかオメーが猫を飼い始めるなんてな」
「飼ってねぇよ」
「はあ?…猫飼ってねぇ奴が何で猫の飼い方の本読むんだよ…」
「必要だからだろうが」
「だから何で?」
猫の飼い方の本片手にオイラの前を通ってソファーにどっかり座った兄貴…。その時何かがスーツのポケットから落ちたのが見えた。何だろう?紙切れ?
小さな紙には利き手を骨折している幼稚園児みてぇな汚い字でプロシュート、と書かれていた。…多分プロシュートで合ってると思う。スペル間違ってるけど…。…ゴミ…だよな?…でも兄貴がゴミをわざわざスーツのポッケに入れるかァ?一応確認してから捨てた方がいいか…。
「兄貴、何か落ちましたぜ?汚ぇ字だし…ゴミですよね?捨てときますね」
「オイ!」
「えッ!?」
「何がゴミだって?ええ!?」
「え?え?」
「返せ!」
「あっ…」
乱暴にオレの手から取り上げると丁寧に伸ばした後綺麗に折りたたんでまたポッケにしまった…。そしてオレを睨みつけると一発………、
「っい、いてぇよ兄貴ィ…な、何で殴るんだよぉ………」
「うるせぇ」
やっぱり最近の兄貴はちょっと変だ…。そんな汚ぇ紙切れ大事そうに持って浮かれてニヤけて小動物の飼い方を勉強してる…。
………極めつけは、
Prrrr──......、
「おう、オレだ。どうした?………ああ?………おう、………うん、………分かった分かった。………オレだってそうだぜ。もう少し我慢するんだ。できるな?………ああ。………ああ、……………じゃあな」
う、嬉しそうに…笑いながら電話をしていた…。相手は誰だ?一体…何者が兄貴の怖ぇ顔をここまで緩める事が………?
電話を切った後の緩んだ顔の兄貴と目が合っちまった…!
「ペッシ、ペッシペッシペッシペッシ~!」
なっ、殴られる………っ!?………あれ?ただただ…オイラの頭を撫でている………。き、機嫌良いなぁ………逆にちょっと怖いんだけど………。
兄貴のよく分からねぇ変な行動はその後も数週間続いた。
………そして数週間後、兄貴の家が火災に遭った事をきっかけにその謎が解ける事になった。兄貴がアジトに連れて来たのは、小柄で色白の………小動物みたいな女だった………。
「ミエーレだ。次の家が見つかるまでここに置いておくが文句はねぇよな。なぁ?リーダー?」
やむを得ない事情という事でリーダーがアジトで暮らす事を許可した…。兄貴の一連の変な行動にこの女が絡んでいたってなると…納得、いく。兄貴が自分の家に置いていて、その家がなくなったらアジトにまで連れて来た…つまりは遊び相手じゃあないんだ…。この女が…兄貴の………。
ん…?待てよ………。だけど兄貴、猫の飼い方の本読んでたよな…?でも猫は飼ってないって…。………もしかしてこの女と仲良くなる為に読んでたの…?参考になったのかなぁ…?
に、人間の女と仲良くなるのに対象が小動物の本を読む兄貴って………。…何かを察したらしいホルマジオと目が合ったけど、何も言わずに頷いたから同じように頷き返した。
《兄貴の行動がおかしい件について》
Fine.
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