常識とは…、
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「おかえりなさい、プロシュート…!」
「おう………、………あ?」
「え?」
「オメー…この国じゃあおかえりなさいの後にハグとキスをするのが普通だぜ!」
「えっ!そう、なんですか…?すみません………えっと、ではハグから…」
「ん」
「………、」
「……………」
「………あ、あの…次にキスに移りたいのですが…届かないので屈んでいただいてもいいですか………?」
「………ほらよ、」
「ありがとうございます………、」
「………、………チュッ、」
「っ………リ…リップ音を立てるのも普通ですか…?」
「…当然だろ。常識だぜ、覚えときな」
「は………はい………」
「…で?何か言う事あんだろ」
「言う事ですか…?え…えっと…?」
「好きって言えなきゃあ飯作らねぇ」
「えっ………。………き、嫌いなわけないじゃあないですか………」
「作らねぇ」
「………す、…好きですよ…もちろん、…大好きです」
「よし。そうして言葉にする事はここじゃあ常識だ。慣れていくんだな」
「………プロシュートは…?って、言ったら生意気だと思いますか…?」
「思わねぇよ。…Ich liebe dich.」
「…え?今何て…?イタリア語じゃありませんでしたよね?英語でもなかった…」
「飯にすんぞ」
「ず…ずるい…!…ギアッチョがいたらイタリア語で言えイタリア語でーーーっ!って言ってくれるのになぁ…」
「ああ?何だって?」
「え………な、何怒ってんです…?」
「今ここにいねぇ奴の名前なんか出すんじゃあねぇ!特に野郎の名前はな!」
「どうしてですか?」
「常識だからだぜ。オレといる時にオレ以外の野郎の名前を呼ぶことはありえねぇんだ」
「常識………分かりました、すみません…。…ご飯、何作ってくれるのか聞いてもいいですか?」
「シチューだ」
「わぁ~」
「嬉しいか」
「嬉しいです!あったかくて美味しいから…」
「オレが冷めきった不味い飯を食わせるわけがねぇだろ」
「はい。プロシュートは優しいから……だから、好きなんです。あの…今日ね、ドラマで見たんです。女の人が男の人に、はい あーんって、ご飯食べさせてあげてました!私もやってみたいです…」
「しょうがねぇなぁマンモーナが。食わしてやるから出来るまで大人しく待ってろ!」
「ん…?私が食べさせてもらう方ですか?」
「それがやりてぇんだろうが」
「…あの、えっと……」
「こら、スーツの端を掴むんじゃあねぇ。後で構ってやるから大人しくしてろって言ってんだ」
「私が、食べさせてあげたいです!プロシュート、あーんするの嫌ですか?」
「当たりめぇだ!オレがそんな事すると思うのか!」
「………すみません…。今度ホルマジオにでも付き合ってもらいます…」
「オイ!同じ事を二度言わせるんじゃあねぇぞ!」
「あ…ホルマジオもプロシュート以外の野郎だった…ごめんなさい」
「もう一つ謝って訂正する事があるよなァええ?ミエーレよォ!」
「え?」
「え?じゃあねぇだろうが!介護が必要なわけでもねぇ野郎にオメーが飯を食わせてやる理由がどこにあるって言うんだ!ああ!?」
「え………ドラマで、仲が良さそうだったのが羨ましくて…真似してみたくなりました。でもプロシュートはあーんするの嫌だって言うから…やってくれそうなのホルマ…、…リトルフィートくらいだし………」
「チッ!」
「お…怒らないでください…」
「付き合いたての男女がやるような甘ったるいそんな事をオレ以外の野郎としていいわけがねぇよなァ!?したいとも思わねぇはずだぜ本心ではよォ違うかミエーレ!今は断ってもそのうち気が変わるかもしれねぇだろうが!一度で折れるんじゃあねぇ!あと、スタンド名ならセーフじゃあねぇからな!」
「ご…ごめんなさい…」
「常識だぜミエーレ。一つ一つ覚えていくんだ。オメーは頭の出来がいいんだからよォ…覚えられるよなァ?オレの言ってる事も理解できるだろ?」
「………常識って、いっぱいあるんですね………」
「…………………………あのな?ミエーレ」
「え?あ…プロシュート!今ここにいる野郎の名前だったら言ってもいいですか?」
「あ?誰がいるって?」
「メロ…、ベイビィ………、………変態です」
「名前もスタンド名も言っちゃあいけないって制限をかけられてるからってそれはあんまりじゃあないか?」
「何だメローネ…いたのか」
「最初からいたぜ。最初から聞いていたからこそ思ったんだが………ミエーレ、プロシュートの言う常識は常識じゃあない時があるから気を付けな」
「え………」
「何言ってんだオメー」
「プロシュート………直触りで枯らしてください!」
「何で?忠告してやったオレに対してそれはどういう事なんだミエーレおい?」
「プロシュートが嘘を教えるわけがないんです!なのにメローネ、プロシュートが言う事が正しいとは限らないって言ったんですよね?私の正義に対する侮辱です!」
「信者かよ…もはや洗脳の域だぜプロシュート…」
「こいつの言う通りだろうが。メローネよォ、オレのミエーレにいらねぇ事吹き込むようなら容赦しねぇからそのつもりでいろよ」
「いや………あんたもっと素直になった方がいいぜ。ペックでリップ音を立てるだとか、自分以外の野郎の名前を呼ぶ事がありえねぇだとか…どこの常識なんだ」
「決まってんだろ、オレの常識だ」
「横暴…。ミエーレの無知を利用して洗脳するのはやめた方がいい。教育ってのは持って生まれたものを伸ばす事が大切なんだからな。常識だと大げさに言うんじゃあなく素直に ”こうしてくれた方が嬉しい” ”こうされるのは嫌なんだ” って言った方が分かりやすいぜ。素直に言えば素直なミエーレはすぐに理解するさ」
「オレの常識をこいつに教えて共有する事の何が悪い」
「いや、だから…」
「あの…メローネ?」
「ん?」
「プロシュートが正義です。プロシュートの常識がメローネの知っている常識とちょっぴり違くても、私はプロシュートの常識に倣いたいのでそれでいいんです。プロシュートとおんなじがいいんです」
「だそうだ。余計な口挟むんじゃあねぇぜ」
「あ、あー…首を突っ込んだオレが間違いだった。勝手にやってくれ」
「言われなくても勝手にやってる。…こらミエーレ、スーツを掴むなって言ったよなァ?掴むんなら腕にしな」
「腕を掴んでたらご飯作れなくないですか?」
「ナメるんじゃあねぇぞ。マンモーナの相手しながら飯作るくらいどうって事ねぇ。何も難しい事はねぇんだぜ」
「さっき大人しくしてろって言ったのは…私が居たら邪魔だという意味では…?」
「おいおいミエーレ、ミエーレよォ。このオレがオメーを邪魔だと思う事が一瞬でもあると思うのか?ええ?」
「一瞬たりともない…ですか?」
「当然だろ。常識だぜ。分かり切った事言ってんじゃあねぇぞ。当然の事をわざわざ言葉にして確認したりしねぇのも常識だ」
「それは…、プロシュートが私を邪魔だと思わない事は…嬉しい常識です」
「おう、良かったな。言っておくがさっきのはなァ、オレが飯作ってるところを見てるだけじゃあつまらねぇだろうと思ったから大人しく遊んで待ってろって意味で言ったんだぜ」
「つまんなくないです…。プロシュートの事は…ずっと見ていたいです」
「…どこで覚えたのか知らねぇが、そんな殺し文句オレ以外の野郎に言うんじゃあねぇぜ」
「プロシュートにしか思わない事です…常識です」
「ははっ、そうかよ。オレもお前の常識を覚えていかなきゃあな」
「そういえば…あの、さっきメローネが言っていたぺっくって何ですか?」
「そりゃあお前………」
「ん………、」
「…今のがペックだ」
「…二回続けてキスをする事ですか?」
「いや、短ぇキスの事だ。挨拶のついでなんかにするんだぜ」
「それが常識…ですか?」
「…そうさ」
「分かりました…!これからいっぱいしますね。挨拶と一緒に」
「おう」
《常識とは…、》
誰が見ても当然だと思う共通認識の事じゃあないのか?あいつらとは感覚が違うから常識って言葉を使わないでほしい。
…そんな独り言と漏らしたメローネを見て、”意外と常識あるんだな” と実はずっと同じ空間にいたリゾットは思った───。
Fine.
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