オレのAngeloがクソ尊い
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「いいお天気ですね」
はあ?…な、ミエーレ…?何でこんなところにいんだ…。敵情視察の詳細をこいつに話す馬鹿はいねぇ…ここに来たのは偶然か?…昼間の公園なら女子供がいても何ら不思議じゃあねぇがよォ………。それにしたってこいつ………、
「お散歩ですか?おじいさん」
………確かにジジイになってはいる。能力を使っているからな。その方が仕事がしやすい。だからオレだと分からねぇのは分かる。勘づけって方が無理な話だ……だが、なんか妙に腹が立つな…。
大体なんだ、まさか一人で出歩いてんじゃあねぇだろうな。右も左も分からねぇバンビーナがよォ…。
「………一人でいては危ないよお嬢さん。車を拾ってあげるから家に帰りなさい」
アジトが目と鼻の先にある場所まで行きゃあさすがのこいつも帰れるだろ。
「ギアッチョも一緒です!」
ギアッチョ…?どこにいやがる。こいつから目を離してんなら一緒にいるとは言えねぇよなァ?
「今ジェラート屋さんの列に並んでいるんです。私も一緒に並びたかったんですけど…日陰に座って休んでいろと大きな声で怒鳴るように言うものですから…」
ほう……ギアッチョがシニョリーナの扱いを分かってるとは意外だったぜ。気遣いの気の字もあいつの辞書には載ってねぇと思っていたが失礼な思い違いだったらしいな。訂正するよ。
「おじいさんのヘアスタイルとっても素敵ですね」
ああ?
「よくお似合いです。…私の………、憧れの人も同じような髪型をしているんですよ」
「……………」
「今日はお仕事で一緒にお出かけできないんです…。でも毎日一緒にいてくれます。私の目を見てお話をしてくれるんです。名前をたくさん呼んでくれるんです。…私はそれがとっても嬉しいんです」
「………、………そうかい」
「あ、ごめんなさい…一人でたくさんお喋りしてしまって…」
「構わねぇよ。…そいつはどんな奴なんだ?」
「んー…きっとどこかの美術館に飾られていたんだと思います」
「は?」
「でもじっとしていられなくて抜け出して来てしまったんです。作品のタイトルは…”美しい人”。…絵画や彫刻のように綺麗な人なんですよ。…おじいさんもハンサムですね。おじいさんの若い時に似ているかもしれないです」
………見ず知らずのジジイ相手なら…よく喋りやがる。チームの連中やオレにだってこんなに言葉を並べた事はねぇ。この調子でいりゃあいいのによォ…普段は気ィ使ってんのか?…悪くねぇな。もう少し………、
「ん?ミエーレじゃあないか」
「チッ…」
もう少し話に付き合ってやってもいいと思った途端…一旦別行動したメローネが戻って来ちまった。間の悪ぃ野郎だぜ。
「何でここに居るんだ?」
「ど………、どちら様ですか………?」
「え?」
「どうして私の名前を知っているんです…?」
楽しそうに喋ってたさっきまでとは明らかに態度が違う。俯いて声を震わせている。…ヨボヨボのジジイは平気なところを見ると、こいつは若い男全般に苦手意識が働くんだろうな。
怖がらせてんじゃあねぇぞ…ってメローネに言おうと思ったが…そもそも何でこの男がメローネだって事が分からねぇんだ。初対面の野郎を警戒するのは分かる。だがチームの連中は違うはずだろ。ある程度慣れてきていた。アジトではメローネと雑談をする事も珍しくねぇ。…メローネの奴も戸惑ってるな。
「いや…見りゃあ分かんだろ?」
「………、は…初めて…お会いすると思いますけど………」
「何で分からないんだ?メローネだ」
「メローネ………私の知り合いにも、メローネって人がいます」
「いやだからそれがオレだぜ」
「私の知ってるメローネは…変な人です」
「失礼だな」
「変態ですよ」
「………ぷっ」
「…オイ、何笑ってんだゾンビジジイ」
メローネの格好を見てミエーレが認識できねぇ理由が何となく分かった。思わず吹き出しちまったぜ。
「オメーよォ………今きっちりスーツ着てんだろ。変なマスクもしてねぇ。変態みてぇな格好じゃねぇから分からねぇんだぜ」
「まさか…そんなわけないだろ」
「実際名前聞いてもお前があのメローネだって信じてねぇみたいだぜ」
「………わりと普通にショックなんだが」
「ざまあねぇな」
「…。なら他人のふりして口説くとするか」
「あ…?」
「変態じゃあないメローネはどうだい?ミエーレ。今夜食事でも行かないか?面白い話を聞かせてあげるよ」
「…あ…あそこにいる…お姉さん…。お綺麗ですよ。あなたのようなハンサムな人は、私なんかではなくあんな感じの綺麗な人と一緒に居た方が絵になると思います…」
「確かにいい母体にはなりそうだが…香水がキツそうだ。一緒に飯なんか食えたもんじゃあないよ。オレはお前を誘っているんだぜ、ミエーレ。私なんか…と卑下するもんじゃあない。君は自分が思っているよりもずっと魅力的だ」
ちょっと手ェ伸ばせばよォ…直触りで枯らす事ができるんだぜメローネ…。何か考えがあるって可能性を期待して待ってやってるんだ。ただオレを挑発してるだけだとしたら…どうなってもいいって覚悟があると見なす。
「ありがとうございます…。気を使わせてしまってすみません…」
…ハンッ。オメーの薄っぺらい言葉はこいつの心には届いてねぇみたいだぜメローネ。大体今日は…いや今日も、こいつはオレと約束があるんだ。こいつがオレとの約束を破って他の野郎と飯なんか食うわけがねぇんだぜ。何故ならこいつはオレと居たいと、オレと飯を食うとすでに心の中で思っているからだ!
「あの…私プロシュートと………あ、プロシュートって言うのはえっと、男の人…なんですけど、彼と一緒にご飯を食べるので…お食事は別な人を誘ってください…ごめんなさい…」
よく言った!…だが言い方が弱ぇ。こういう口説き方してくる変態みてぇな野郎にはこっ酷い振り方がお似合いだぜ。もっと強くはっきり分かりやすく言ってやんな!
「残念だな…そのプロシュートって男とは恋人同士なのかい?」
オイ、何聞いてんだメローネ…、
「いいえ」
「………」
「え、違うのか?…彼は…そう思ってるんじゃあないかな?」
「思っていないと思います。ただの私の…一方的な片想い…です」
………オレは自分が思っている以上に分かりづらい奴だったらしいな。反省するよ…。
「あー…そう。…だったら別にその男を優先する必要はないじゃあないか」
「好きだからこそ優先するんですよ。例え気持ちに応えてもらえなくても、一緒にいられるだけで幸せですから」
「……………」
「………。これはあくまで予想、想像、憶測なんだが、その男はえらい強引で君の意見を聞かずに勝手に予定なんかを詰め込む奴じゃあないか?言葉や行動で君の自由を奪い自分のいいように教育して縛り付けている。それが君の最善だと思い込んでいるところがタチが悪い。君の為を装いつつ、結局それはエゴなんだ。君に対してもそれが幸福だと思い込ませている…一種の洗脳だよ。君がどうしたいかという意見は聞かない…そうじゃあないか?」
何…分かったような事言ってやがんだ…こいつ………。……………、
「…すみません、よく聞き取れませんでした」
「え、何で?」
「プロシュートに言われた事があります。変態のメローネとお話した事をあんまり覚えていない…と言ったら、そりゃあお前があいつに興味がねぇからだぜ。って。興味がない人の話は聞いているようで聞いていないのだと思います」
「…冗談だろ?」
「私、冗談ってあまり得意じゃなくて…。いつか面白い冗談を言ってプロシュートを笑わせてあげる事が夢なんです」
…安心しろよミエーレ。今みたいな本音の方が面白ぇ。冗談じゃあなくたってオレを笑わせてくれている。
「………プロシュートといる事が…苦痛じゃあないのか?」
「え………プロシュートがいない方が苦痛です………。本当は昼間もずっと一緒にいたいんですけど、お仕事の日は仕方がないですから我慢しないと…。こんな重い事考えてるって……面倒くさいと思われたくないので言えませんけど…。困らせたくないですし、嫌われたくない………」
「……………」
「わっ…お、おじいさん?どうしたんですか?」
「抱き締めると心の中で思った」
「え?…心の中で思った時には…すでに行動していた…という事ですか?」
「ああ」
「オイ、ジジイ。鏡見てこい。今の姿でそれはまずいぜ」
「善良な市民がジジイの介護してるようにしか見えねぇだろ」
「あんたはそれでいいのかよ…」
「なんだかおじいさん…プロシュートとおんなじ香りがします………不思議だなぁ…」
「オレはお前の方が不思議だぜ、ミエーレ…。あと君ってけっこうひどいんだな」
「さっさと仕事終わらせて帰るとするか」
「おじいさんにも待っている人がいるんですか?」
「いるぜ。そりゃあもう可愛いAngelo(天使)だ。
………あ?あの店の前で手ぇ振ってんのは連れじゃあねぇのか」
「え?あ…ギアッチョ!」
「来いって言ってるみてぇだぜ」
「行かなきゃ。プロシュートが帰る前にお土産買って待っていないと…」
「予定より早く帰れるだろうよ」
「早ければ早いほど嬉しいです。…じゃあ行きますね。お話相手になってくれてありがとうございました、おじいさん!ハンサムなメローネも…夕ご飯一緒に食べてくれる人が見つかるといいですね!Ciao!」
「Ciao…」
「はぁ~~~………」
「………何だよ…」
《オレのAngeloがクソ尊い》
「…うざ」
Fine.
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