365日中1位の日
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「プ…プロシュ………」
「オイオイオイオイ何だその顔は…ええ?ミエーレよォ。食おうと思ったドルチェを落としちまったのか?些細な事で落ち込むもんじゃあねぇぜ」
「………」
「で、どうした」
「………なんだか今日はいい事が一つもないんです…というか嫌な事ばかりが連続して起こっています。365日中365位のゴミな日。クソな日…こんな不幸な日も珍しいです…」
「一体何があったってんだ。オレは今お前の目の前にいるんだぜ」
「…はい?」
「それが何だって顔してんじゃあねぇぞ。このオレがこうして目の前にいて頭を撫で、腰を抱いている。女としてこれ以上喜ばしい事はねぇんだよ」
「……………」
「いいか?生きてりゃ悪い事の一つや二つあって当然だ。不幸だと決めつける事によってそれに囚われ周りが見えなくなる。つまり普段は気付ける小さな幸福も見逃がしてる可能性があるって事だ。思い返してみな。ちゃんと悪くねぇ事もあったはずだぜ」
「悪くなかった事………」
「思い出せねぇか?なら今この瞬間はどうだよ。まさか不幸なわけねぇよなぁ?このオレを独占しているんだからよォ」
「………だけど、では今のこの幸せの分またいつか不幸が訪れるに違いないです………」
「ああ?なんだそりゃあ…。逆に考えるんだ。不幸があったからこその幸福だと。今この瞬間の幸福は今日の不幸に見合ったもんじゃあねぇはずだ。なら明日以降、その不幸が倍の幸福となって返ってくる。…そう思ってろ」
「プロシュート………ちょっと元気出ました」
「おう、そうか。…そもそもの話だが、お前はどうやったら素直に幸福を感じるんだ?」
「プロシュートと顔を見合わせている今は…幸せです、たぶん…」
「多分だと?チッ……そうじゃねぇ。オレといる今が幸せだって事にオレが言わなきゃあ気が付けなかっただろうが。そうじゃなくお前が自ら幸福を感じるのはどういう時か聞いてんだぜ」
「考えた事もないです」
「考えろ」
「………。………ホットケーキ………」
「あ?」
「プロシュートがホットケーキを作ってくれた時は、とっても嬉しかったです。心があたたかくなるような味がしました…」
「……………ミエーレミエーレミエーレミエーレッ!」
「は…禿げる………っ」
「そんなものはいつだってくれてやる!お前が望むならいつだっていくらだって!例え腕や脚の一本や二本失おうともなァ!」
「…どこかで聞いたのですが…じゃっぽーねには”オレのために毎朝味噌スープを作ってくれ!”ってプロポーズの言葉があるそうです。プロシュートはわたしの為に毎日ホットケーキを作ってくれますか?」
「ふざけてんじゃあねぇぞ!答えはNoに決まってる!」
「…や、やっぱり今日は…ゴミクソのような日です…プロシュートに拒絶されて生きていけるわけがない…わたしの死体はリトルフィートでミジンコにしてメダカにでも食わせてくださいアリーヴェデルチ…」
「何ごちゃごちゃ言ってんだ?毎日毎日ホットケーキばっか食ってたら飽きるだろうが。それにな、食事は栄養バランスってもんを考えなきゃあいけねぇんだぜ。つまりこの場合は”毎日わたしの為に栄養バランスの取れた食事を用意してください”ってのが正しい。それなら問題ねぇからな。Ovviamente!(もちろん!)と言う以外に答えはねぇ」
「あ…兄貴…っ!!抱きついてもいいですか…?」
「お前は何も分かってねぇな。何でオレの許可が必要だと思った?抱きつきたいと心の中で思ったならその時すでに行動は…っ」
「終わっていていいんですね!」
「………終わっていていいんじゃあねぇ。終わらせていなきゃならねぇんだ。この違いは分かるよなァマンモーナのミエーレ」
「はい…っ。………プロシュートの心臓が…動いている音が聞こえます…!」
「そりゃあそうさ。耳当ててんだからよォ」
「すー、はー…」
「…人の胸元で深呼吸するんじゃあねぇよ」
「したいと心の中で思ったので…」
「…じゃあしょうがねぇな」
「プロシュートの匂いがします…。同じ香水を自分に付けてもプロシュートの匂いにはならないんです…どうしてでしょうか」
「さぁな」
「シャンプーもボディソープも同じものなのに…」
「ただの体臭だろ。お前からだってシャンプーともボディソープとも違う匂いがするぜ」
「っ…、…首元で深呼吸しないでください…くすぐったいです」
「すると心の中で思った」
「………じゃあ、しょうがないですね…」
「どうだよ、なァ?ミエーレよォ」
「え?」
「オレにとっちゃあ今日も365日中1位だぜ」
「…今日も、っておかしくないですか?」
「おかしくねぇだろうが。ちょっと考えれば分かる事だぜ。なぜそう言えるのか」
「………?」
「分からねぇかシェモッタ?」
「分かんないです…」
「いつか分かるといいなァ…ミエーレ」
「………わたしの今日は、………1位になりました。プロシュートが傍にいてくれるので、その瞳にわたしを映してくれるので…、プロシュートがいれば365日…毎日が1位です。ちょっと嫌な事があっても、プロシュートのおかげでいつも幸せです」
「よく言った!」
「わっ!ほ、ほんとに禿げちゃうので撫でまわすのはほっぺにしてください…っ」
《365日中1位の日》
Fine.
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