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おともだちから
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自転車にサーフボードをくくりつけて、適当な水着にポロのノースリーブのワンピースをかぶり、海へ向かった。
最近は海水浴に来る観光客も増えたが、早朝の海は人が少なくゆったりとしている。
サーファーにやさしい時間。
何本か波にのったあとは、学校の準備をしに一旦家へ戻る。
信号待ちでは朝早く学校に向かう学生がちらほら。朝早いにもかかわらず照りつける日差しは肌に痛い。
「おはよう、[#dn=1#]」
振り返ると、後ろにいたのは4月からお隣の席になった幸村くんだった。
「おはよう。幸村くん、朝練?早いね」
「そうだよ。[#dn=1#]は、」
幸村くんは自転車の横にくくりつけてあるボードに目を移した
「サーフィン?」
「うん、今日は波もよかったから、ちょっと乗ってから行こうかなって」
「いいね、健康的だ」
幸村くんはいつもの爽やかな笑顔で、それじゃああとでね、と学校のへ向かって行った。
急いで帰宅して制服に着替えて学校へ向かう。
おはよう!とみんなと顔を合わせて教室に入ると朝練終わりの幸村くんと目があった。
「朝練お疲れ様、あんな朝早いのに今日も暑いよね。」
「[#dn=1#]もお疲れ様。そうだね。けど海は気持ちよさそうだな」
「うん、朝は冷たくて気持ちいいよ。」
幸村くんはボードに乗ってるような動きを真似していた。
「あはは、うまいうまい。
この時期は規制が多いから朝と夕方しか乗れないんだー」
幸村くんとは席が隣同士になってよく話すようになった。
中学時代から有名な人では人気のある彼だったけど、高校にはいってからも人気は劣らず。テニス部の練習風景に女子学生のギャラリーはつきものだ。
少し冷たい印象のある幸村くんだったが、話してみればなんてことはない普通の男の子だとわかり、ちょっと安心したのは記憶に新しい。
聞けば家もご近所なんだそう
たしかに校外でも、度々見かけることはあった。
話すようになってからは立ち話をすることもしばしば。
そんなわけで、幸村くんは、私の中では、割とよく喋る男性の部類に入ったのである。
「規制があるんだな…ところで[#dn=1#]、次の日曜日空いてるかい?」
「うん。いつもの通りサーフィンだよ」
「今週、オフなんだ。俺もやってみたくてさ。教えてほしい」
そんなのお安い御用、サーフィンに興味を持ってくれて嬉しい。私はうなずいて、次の授業の教科書を取り出した。
約束の日の早朝、幸村くんとは海岸沿いのマックの前で待ち合わせすることになっていた。
「おはよう」
一旦ビーチにボードを置きに行き、幸村くんを約束の場所までお迎えに行ったら、暑さも吹っ飛ばすとってもさわやかな笑顔で迎えてくれた。
「おはよう、待たせてごめんね」
「大丈夫、ちょうどさっき来たんだ」
休日に付き合ってもらって悪いね、とこれまた爽やかに、ちょっと困ったような顔で謝ってくるからなんだかキュンときて、顔が熱くなる。
邪な感情を追い払うかのように、慌てて首を振って、大丈夫と伝える。
「私のボード、ビーチに置いてきてあるの。こっちだよ」
ちょっと火照った顔を見られないように方向転換して歩き出す。
彼はそんなわたしの歩幅に合わせてゆったりとついてきてくれた。
「幸村くんは運動神経抜群だから、絶対すぐのれるよ!」
「そうかな?少し調べたけど、かなり体幹が必要みたいだね。」
調べてくれたんだ!と嬉しい気持ちが舞い上がる。
正直あまり上手に教えてあげれる自信がないけど、幸村くんなら大丈夫だと思う。
「今日はワックス塗ってきたんだけど、最初にこうやってワックスで表面をぬるの」
ふわりとココナッツテイストの匂いが香って幸せな気分になる。
このにおいが好きと呟くと、幸村くんは
「いつも[#dn=1#]から香ってくるよ、俺もこの匂い好きだな。ワックスの匂いだったんだね」
ドキッと心臓がはねた。
ワックスを持つ手から幸村くんへ視線を移すと、いつも冷静な青い瞳がなんだか熱く見えた。
恥ずかしくなって視線を元に戻す。
「なんだかその、今日は学校と違うね?偶に近所で会うのともまた違う感じ、私だけかな?」
気を紛らわそうと、ちょっとふざけて笑いかけると、幸村くんは、俺も、と微笑んで返してくれた、
「じゃあ、これを右の足首に巻いて…ちょっときつめにまくね?失礼……」
幸村くんの足にリーシュをつけるのに足元にしゃがむ
「こうやって、足首にリーシュを巻いて、ボードが波に攫われないようにするの」
これでオッケー、と呟いて幸村くんを見るが反応がない。
幸村くんは私を見つめてぼーっとしていた
「幸村くん?」
立ち上がり、顔の前で手を振ってみるがパッと顔を逸らされた。
「[#dn=1#]、その服…」
「サンドレス?可愛いよね。お気に入りなの」
「あ、ああ。似合ってる」
幸村くんは私に背をむけて上に羽織っていた水色のシャツを脱いだ。
私も同じように、上に着ていたサンドレスを脱ぐ。
なんだか気になってしまい、ちらり幸村くんのほうに目が行ってしまう。
華奢に見えたのに、中身はしっかりと男の人の身体をしていて、なんだか幸村くんが知らない人にみえた。
「ボードを右脇に抱えて、波に垂直に入っていくの」
ロングボードは1人で持つにはちょっと重い。
幸村くんの後ろにたち、ボードの後部分を自分の右脇に抱えた。
「ねえ[#dn=1#]、初心者は乗れない人の方が多いんだろう?」
「そうだね、私も何回目かで初めて波に乗るって感覚を覚えたの。難しいかもしれないけど、さっきも言った通り、幸村くんならできるかもね…テニス部だし」
「じゃあ、今回俺が一回でものれたら、午後も俺とデートしてくれないかな」
びっくりして立ち尽くす私を尻目に、幸村くんは一人でボードを抱えてさっさと海に入っていった。
結果、彼は私が教えるまでもなかった。
あの後沖まで進んでいった幸村くんは、信じられないくらい優雅にかっこよく波に乗って帰ってきた。
「幸村くん、初めてなんて嘘」
幸村くんは困ったように眉を下げて笑った
「初めてだよ、実はかなり予習してきた。好きな子にカッコ悪いとこ見せたくないだろう?」
「カッコ悪いなんてそんな…。それにさっきからデートとか、好きな子とか…からかわないでよ」
「からかってないよ。今日はデートのつもりできたんだ。さっきの約束は有効だろうね?」
私の気持ちを知ってか知らずか、ちょっと悪戯な笑顔で私の顔を覗き込んできた。
恥ずかしさが限界を迎えたわたしは幸村くんのリーシュを急いで外して、自分に付け替える。
幸村くんは、耳に心地いいアルトの声でハハッと笑ってわたしを見つめている。
そんな熱い瞳で見つめられるのに慣れなくて、羞恥心を隠すためにボードを奪うように右脇に抱え、そのまま海に走り出した。
おまけ
午後、カフェにて
「ねえ[#dn=1#]」
「うん?」
「付き合おうよ」
「…お友達からスタートしたらいいんじゃない?」
「もう十分な期間を設けたつもりだよ。[#dn=1#]も も俺のことが好きになると思う。どうだい?」
「……(ずるい〜!そんな顔して聞いてこないで!)」
すでに何かが芽生え始めていた主人公でした
後書き
好きな気持ちに気づいてない主人公と、主人公が自分のことを好きなのに気付いていて、どうやって気づかせようか考える幸村くんのお話
幸村くんは魔王設定よりも普通のさわやかな男子生徒でいてほしいなあ、なんて…
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