サンドイッチ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……」
――食べづらい、とリジーは心の中で呟いた。
リジーはコーヒーカップを傾けながらちらりと視線を上げた。
向かい合って座るニュートと一瞬目が合って、またふいっと逸らされる。
先ほどからずっとその繰り返しだ。
ケーキをカットして口に運び、ゆっくりと咀嚼する。
その間にもじっとこちらを見つめる視線を額のあたりに感じる。
リジーは居心地悪そうに何となく居住まいを正した。
「……なに」
眉をひそめて怪訝な眼差しで尋ねると、ニュートはサンドイッチを口いっぱいに頬張ってもごもごしながらリジーを見つめた。
そっと水の入ったグラスを差し出す、彼は残りのサンドイッチを三口で完食して、冷たいレモン水で喉を潤した。
「ここのサンドイッチはおいしいね」
「……」
「じゃなくて、えっと、僕の勘違いかもしれないんだけど……なんか元気なさそうだから……デート、楽しくないのかなって……」
自信なさげに俯いておどおどと話すニュート。
要らぬ気を使わせてしまったと申し訳なくなったが、なんて言ったらいいのか分からず、リジーは静かに苦いコーヒーを一口啜った。
「……今日、仕事のことで後輩を注意したの」
頭の中で言葉を整理しながらぽつりぽつりと話す。
ニュートは黙って、静かに彼女の言葉に耳を傾けていた。
「別に、誰でも一回はするようなよくあるミスだったし、そんな怒るようなことでもなかったから普通に注意したんだけど……その子泣きだしちゃって」
「ありゃ……」
何がいけなかったのか、自分なりに可愛がっていたつもりの後輩の涙がまぶたの裏に焼きついて離れない。
人より話すのも愛想笑いも下手で、いつも怒ってるみたいに見えるこのつり目のせいか。
「……わたしの顔ってそんなにキツイかしら」
頬をむにむにと手で触れながら独り言のように呟く。
ニュートはひとまず自分とのデートが嫌で様子がおかしかったのではないのだと知り、ほっと胸をなで下ろし安堵した。
「……あの、この後だけど、リジーさえよかったら、動物たちに会いに行かない?元気が出るかも……」
「……そうね、素敵。ありがとう」
「じゃあ、僕の家に……」
だいぶ侵食して残り少なくなったケーキがパタン、と倒れる。
一瞬、リジーの思考が停止した。
告白を受けて、付き合い始めてもう三ヶ月。
最初のデートで手を繋いで、二回目はキスをして、三回目に――などとよく言うが、奥手な彼とはずいぶん時間が掛かった。
そんな初々しい、ゆっくりとした関係もまあいいかと思い始めていた頃だったが、ついにこの日がやって来た。
つまり、当然そういうことだろうとリジーは頭の中で明日のスケジュールを確認する。
明日は休日だ、おまけに丸っと一日予定は空いている。
「楽しみだわ」
そう言うと、ニュートは嬉しそうにぎこちなく微笑んだ。
リジーは表情を変えぬまま、緊張とほんの少しの抑えられない期待を沈めようと残りのケーキをぱくりと一口で完食した。
――食べづらい、とリジーは心の中で呟いた。
リジーはコーヒーカップを傾けながらちらりと視線を上げた。
向かい合って座るニュートと一瞬目が合って、またふいっと逸らされる。
先ほどからずっとその繰り返しだ。
ケーキをカットして口に運び、ゆっくりと咀嚼する。
その間にもじっとこちらを見つめる視線を額のあたりに感じる。
リジーは居心地悪そうに何となく居住まいを正した。
「……なに」
眉をひそめて怪訝な眼差しで尋ねると、ニュートはサンドイッチを口いっぱいに頬張ってもごもごしながらリジーを見つめた。
そっと水の入ったグラスを差し出す、彼は残りのサンドイッチを三口で完食して、冷たいレモン水で喉を潤した。
「ここのサンドイッチはおいしいね」
「……」
「じゃなくて、えっと、僕の勘違いかもしれないんだけど……なんか元気なさそうだから……デート、楽しくないのかなって……」
自信なさげに俯いておどおどと話すニュート。
要らぬ気を使わせてしまったと申し訳なくなったが、なんて言ったらいいのか分からず、リジーは静かに苦いコーヒーを一口啜った。
「……今日、仕事のことで後輩を注意したの」
頭の中で言葉を整理しながらぽつりぽつりと話す。
ニュートは黙って、静かに彼女の言葉に耳を傾けていた。
「別に、誰でも一回はするようなよくあるミスだったし、そんな怒るようなことでもなかったから普通に注意したんだけど……その子泣きだしちゃって」
「ありゃ……」
何がいけなかったのか、自分なりに可愛がっていたつもりの後輩の涙がまぶたの裏に焼きついて離れない。
人より話すのも愛想笑いも下手で、いつも怒ってるみたいに見えるこのつり目のせいか。
「……わたしの顔ってそんなにキツイかしら」
頬をむにむにと手で触れながら独り言のように呟く。
ニュートはひとまず自分とのデートが嫌で様子がおかしかったのではないのだと知り、ほっと胸をなで下ろし安堵した。
「……あの、この後だけど、リジーさえよかったら、動物たちに会いに行かない?元気が出るかも……」
「……そうね、素敵。ありがとう」
「じゃあ、僕の家に……」
だいぶ侵食して残り少なくなったケーキがパタン、と倒れる。
一瞬、リジーの思考が停止した。
告白を受けて、付き合い始めてもう三ヶ月。
最初のデートで手を繋いで、二回目はキスをして、三回目に――などとよく言うが、奥手な彼とはずいぶん時間が掛かった。
そんな初々しい、ゆっくりとした関係もまあいいかと思い始めていた頃だったが、ついにこの日がやって来た。
つまり、当然そういうことだろうとリジーは頭の中で明日のスケジュールを確認する。
明日は休日だ、おまけに丸っと一日予定は空いている。
「楽しみだわ」
そう言うと、ニュートは嬉しそうにぎこちなく微笑んだ。
リジーは表情を変えぬまま、緊張とほんの少しの抑えられない期待を沈めようと残りのケーキをぱくりと一口で完食した。
1/3ページ