小さな愛
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
6.14 Twitter魔法夢ワンライ企画作品
「重ねた手」
「なあに?」
なんの脈絡もなく不意に問いかけられて、ニュートは首を傾げる。
頬をくすぐる青い視線に、リジーは照れくさそうにくすくす笑う。
「可愛すぎて見とれてる?」
「ああ、そうだね」
リジーは訝しげに眉をひそめて「もっと心を込めて」と冗談っぽく首を振る。
心を込めて、と言われても。ニュートは学者ではなく役者か詩人であればと生まれて初めて心から願う。
遠くの方で放課の終わりを告げる鐘が荘厳に鳴り響く。
静かな二人っきりの時間にまだ後ろ髪を引かれてしまうのは彼女も同じようで、「どうしよっか」と二人で顔を見合わせ、声をひそめて笑い合った。
気持ちのいい晴れの日の午後、ごつごつした木の幹にもたれかかってぼんやりと目を閉じる。
周囲からの好奇の眼差しも、甘ったるいケーキも、気取った会話もない。
こんなに穏やかなデートは初めてで、二人の間をゆったりと流れる沈黙さえも心地よい。
ねえ、とニュートは徐ろに口を開く。
リジーはなあに?と尋ねるかわりに「んー?」と気だるげに唸る。
「アウトドアかインドア、どっち?」
「……家に閉じこもってるよりはアウトドア」
「いいね、じゃあ……朝方か夜型か」
「夜型、知ってるでしょ?これなんの質問?」
「確認、大事なことだろ」
「なんの確認?」
ニュートは黙ってリジーの手に手を重ねる。
ほんの少し距離を詰めると、吸い寄せられるようにどちらからともなく互いの唇が触れた。
すぐ目の前に彼女を感じる、空気に溶ける間も1ミリの隙もないほどに呼吸が触れ合う。
重ねた手と手に指を絡め合い、悪戯に手のひらを爪でなぞると彼女も同じように真似をした。
ねえ、とニュートはかすれた声でそっと囁きかける。
重ねた手に熱がこもる、次の一言で全てが一変しかねない緊張感に息を詰める。
「結婚しようか、リジー」
16歳の春、恋とも愛ともつかない柔くて脆い二人。
彼女の隣に座れる満足感と、沈黙の心地よさこそ、本当の愛だと思えた。
「重ねた手」
「なあに?」
なんの脈絡もなく不意に問いかけられて、ニュートは首を傾げる。
頬をくすぐる青い視線に、リジーは照れくさそうにくすくす笑う。
「可愛すぎて見とれてる?」
「ああ、そうだね」
リジーは訝しげに眉をひそめて「もっと心を込めて」と冗談っぽく首を振る。
心を込めて、と言われても。ニュートは学者ではなく役者か詩人であればと生まれて初めて心から願う。
遠くの方で放課の終わりを告げる鐘が荘厳に鳴り響く。
静かな二人っきりの時間にまだ後ろ髪を引かれてしまうのは彼女も同じようで、「どうしよっか」と二人で顔を見合わせ、声をひそめて笑い合った。
気持ちのいい晴れの日の午後、ごつごつした木の幹にもたれかかってぼんやりと目を閉じる。
周囲からの好奇の眼差しも、甘ったるいケーキも、気取った会話もない。
こんなに穏やかなデートは初めてで、二人の間をゆったりと流れる沈黙さえも心地よい。
ねえ、とニュートは徐ろに口を開く。
リジーはなあに?と尋ねるかわりに「んー?」と気だるげに唸る。
「アウトドアかインドア、どっち?」
「……家に閉じこもってるよりはアウトドア」
「いいね、じゃあ……朝方か夜型か」
「夜型、知ってるでしょ?これなんの質問?」
「確認、大事なことだろ」
「なんの確認?」
ニュートは黙ってリジーの手に手を重ねる。
ほんの少し距離を詰めると、吸い寄せられるようにどちらからともなく互いの唇が触れた。
すぐ目の前に彼女を感じる、空気に溶ける間も1ミリの隙もないほどに呼吸が触れ合う。
重ねた手と手に指を絡め合い、悪戯に手のひらを爪でなぞると彼女も同じように真似をした。
ねえ、とニュートはかすれた声でそっと囁きかける。
重ねた手に熱がこもる、次の一言で全てが一変しかねない緊張感に息を詰める。
「結婚しようか、リジー」
16歳の春、恋とも愛ともつかない柔くて脆い二人。
彼女の隣に座れる満足感と、沈黙の心地よさこそ、本当の愛だと思えた。
1/1ページ