世界一大きな額縁
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トランクの中は、まるで別世界だった。
見たこともない大小様々な大きさのたくさんの動物たち、太陽の照りつける果てしないサハラの砂漠や夜空に星が瞬く大草原、一面銀世界の雪国の風景。
現実では決してありえない、魔法。
リジーはまるであべこべな世界に迷い込んでしまったアリスのような気分だった。
「どうだい?素晴らしいだろう」
ニュートが誇らしげに言う、リジーは生まれて初めての感動というものを味わっていた。
「僕は魔法動物の本を書いているんだ、南極の果てやジャングルの奥地や東洋の島国とか、世界中を旅しながら」
カーテンで切り取られた小さなアルプスの草原。
せいぜい家の庭しか知らないリジーにとっては、そこは絵本の挿絵と想像でしか知らない、一生叶わないと諦めていた夢の実現だった。
透き通るような水色の空に、遠くに聳え立つ雄大なアルプス山脈。
柔らかな草の間で白いエーデルワイスが風に揺れる。
大自然の美しさに心を奪われ恍惚としたまま、リジーはいつの間にか涙を流していた。
嬉し涙なのか、感動の涙なのか、自らを憐れんでいるのか自分でもよく分からないまま、たがが外れたみたいに抑え込んでいたものが涙になって溢れてくる。
ニュートは躊躇いがちにその腕に二フラーを抱かせた。
つぶらな黒い瞳が心配そうに揺れる、二フラーはくんくんと鼻を鳴らして慰めるように嘴をリジーの腕に押しつけた。
「この子は二フラー……光りものに目がなくて、すぐどっか行っちゃう横着で、すごく悪い子で、あとは、えっと……お腹にポケットがある」
ほら、と二フラーのお腹から金貨を一枚引っ張り出して見せる。
リジーは彼の意図が分からずに首を傾げた。
「つまりそのう……こいつはキラキラしたものが大好きで、気づくとポケットの中をいつもキラキラしたものでいっぱいにしてる。巣の中はもっとすごい、僕の失くした時計もたぶんあの中にある……」
「…… 」
「だから君も、なんて言うか……好きなものはいっぱいあった方がいいけど、嫌なことは溜め込んじゃダメだ、逃げることも考えないと……ホグワーツに行かなくても魔法は制御できる、僕が教えてあげる。でも、このままだと君は……」
溢れだす感情をぐっと堪えてニュートは唇を噛んだ。
もしかして慰めてるの?リジーが怪訝な表情で尋ねる。
そのつもり……ニュートは自信なさげに弱々しい声で答える。
「……どうしてそこまでしてくれるの?」
「友だちだから……僕は君の、友達第一号だった」
ニュートの言葉にリジーは悲しげな微笑みを浮かべて、二フラーをそっと腕に抱きしめた。
見たこともない大小様々な大きさのたくさんの動物たち、太陽の照りつける果てしないサハラの砂漠や夜空に星が瞬く大草原、一面銀世界の雪国の風景。
現実では決してありえない、魔法。
リジーはまるであべこべな世界に迷い込んでしまったアリスのような気分だった。
「どうだい?素晴らしいだろう」
ニュートが誇らしげに言う、リジーは生まれて初めての感動というものを味わっていた。
「僕は魔法動物の本を書いているんだ、南極の果てやジャングルの奥地や東洋の島国とか、世界中を旅しながら」
カーテンで切り取られた小さなアルプスの草原。
せいぜい家の庭しか知らないリジーにとっては、そこは絵本の挿絵と想像でしか知らない、一生叶わないと諦めていた夢の実現だった。
透き通るような水色の空に、遠くに聳え立つ雄大なアルプス山脈。
柔らかな草の間で白いエーデルワイスが風に揺れる。
大自然の美しさに心を奪われ恍惚としたまま、リジーはいつの間にか涙を流していた。
嬉し涙なのか、感動の涙なのか、自らを憐れんでいるのか自分でもよく分からないまま、たがが外れたみたいに抑え込んでいたものが涙になって溢れてくる。
ニュートは躊躇いがちにその腕に二フラーを抱かせた。
つぶらな黒い瞳が心配そうに揺れる、二フラーはくんくんと鼻を鳴らして慰めるように嘴をリジーの腕に押しつけた。
「この子は二フラー……光りものに目がなくて、すぐどっか行っちゃう横着で、すごく悪い子で、あとは、えっと……お腹にポケットがある」
ほら、と二フラーのお腹から金貨を一枚引っ張り出して見せる。
リジーは彼の意図が分からずに首を傾げた。
「つまりそのう……こいつはキラキラしたものが大好きで、気づくとポケットの中をいつもキラキラしたものでいっぱいにしてる。巣の中はもっとすごい、僕の失くした時計もたぶんあの中にある……」
「…… 」
「だから君も、なんて言うか……好きなものはいっぱいあった方がいいけど、嫌なことは溜め込んじゃダメだ、逃げることも考えないと……ホグワーツに行かなくても魔法は制御できる、僕が教えてあげる。でも、このままだと君は……」
溢れだす感情をぐっと堪えてニュートは唇を噛んだ。
もしかして慰めてるの?リジーが怪訝な表情で尋ねる。
そのつもり……ニュートは自信なさげに弱々しい声で答える。
「……どうしてそこまでしてくれるの?」
「友だちだから……僕は君の、友達第一号だった」
ニュートの言葉にリジーは悲しげな微笑みを浮かべて、二フラーをそっと腕に抱きしめた。