世界一大きな額縁
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「リジー、見てごらん!魔法薬学のレポートでAをもらったんだ!こんなの初めてだよ!」
ニュートは興奮しながら羊皮紙をリジーの前に広げた。
もはやしわくちゃになった紙には何度も書き直した痕やインクの潰れた痕が残っており、恐らく寝る間も惜しんで仕上げたであろう努力の痕跡が伺える。
「まあ、よく頑張ったのねニュート!」
「もうちょっと綺麗に書けてたらA+だったって」ニュートははにかみながら言う。
ニュートの秘密基地設立から四年が経ち、兄のテセウスもとっくに卒業して、最近ではホグワーツもだいぶ居心地のいい家と感じられるようになっていた。
それでもニュートは毎週日曜日になると、必ずこの部屋を訪れていた。
リジーに会うために。
「魔法省の動物課に就職するなら今のうちから勉強しないと……」
「ふーん、大変そうね……わたし、てっきり好きな女性でも出来たのかとばっかり」
「僕に?まさか」
ニュートは慌てて否定する、リジーは心の中で少し安堵した。
自分でもどうしようもないことだと分かりつつも、いつしか二人は互いに惹かれ合うようになっていた。
日曜日の朝、彼がやって来てまた夕方帰っていくと、日が昇るのを毎日指折り数える。
毎日会えたらいいのにと願いながらも、わたしとは違って彼には別の居場所があって、別の未来がある。
彼にとってわたしはただの友達でもなんでもない、幼い子供が人形に名前をつけるようなもの。
毎日一緒に遊んで、寝物語を聞かせて同じベッドで寝て、どこへ行くにも懐に抱いて、どれだけ大事にしていてもいつか人形には心がないことに気づく。
……わたしたちもその事に早く、気づかなければいけない。
「レミーお兄さまが四つの時には婚約者がいたわ」
「……君は?」
ニュートは淡い期待を込めて尋ねる。
「いた。けど……七つの時に解消された」
リジーはさばさばと答える。
自分から聞いておきながら、ニュートはなぜか複雑な気持ちになった。
「そっか」
貴族の婚姻に感情は必要ない。
愛してるか、愛されてるかよりも家柄と財産が全て。
愛などはよそでも育めるもの。
事実、自分と同じ六つか七つの子供を愛したことも、夢を見た記憶もない。
もう相手の顔もよく思い出せないけど、今になって思えば女性としての幸せを、「綺麗なお嫁さん」になるという幼いわたしの夢を叶えることができたのは、今目の前にいる初めて好きになった人ではなく、顔も名前もろくに覚えていないどこかの小さな男の子だったのだ。
世の中はなんて皮肉なんだろう。
「……リジー、もう一つ見せたいものがあるんだ」
「なあに?」
リジーはちょこんと首を傾げる。
ニュートはにやりと笑う。
「来て」
ニュートは興奮しながら羊皮紙をリジーの前に広げた。
もはやしわくちゃになった紙には何度も書き直した痕やインクの潰れた痕が残っており、恐らく寝る間も惜しんで仕上げたであろう努力の痕跡が伺える。
「まあ、よく頑張ったのねニュート!」
「もうちょっと綺麗に書けてたらA+だったって」ニュートははにかみながら言う。
ニュートの秘密基地設立から四年が経ち、兄のテセウスもとっくに卒業して、最近ではホグワーツもだいぶ居心地のいい家と感じられるようになっていた。
それでもニュートは毎週日曜日になると、必ずこの部屋を訪れていた。
リジーに会うために。
「魔法省の動物課に就職するなら今のうちから勉強しないと……」
「ふーん、大変そうね……わたし、てっきり好きな女性でも出来たのかとばっかり」
「僕に?まさか」
ニュートは慌てて否定する、リジーは心の中で少し安堵した。
自分でもどうしようもないことだと分かりつつも、いつしか二人は互いに惹かれ合うようになっていた。
日曜日の朝、彼がやって来てまた夕方帰っていくと、日が昇るのを毎日指折り数える。
毎日会えたらいいのにと願いながらも、わたしとは違って彼には別の居場所があって、別の未来がある。
彼にとってわたしはただの友達でもなんでもない、幼い子供が人形に名前をつけるようなもの。
毎日一緒に遊んで、寝物語を聞かせて同じベッドで寝て、どこへ行くにも懐に抱いて、どれだけ大事にしていてもいつか人形には心がないことに気づく。
……わたしたちもその事に早く、気づかなければいけない。
「レミーお兄さまが四つの時には婚約者がいたわ」
「……君は?」
ニュートは淡い期待を込めて尋ねる。
「いた。けど……七つの時に解消された」
リジーはさばさばと答える。
自分から聞いておきながら、ニュートはなぜか複雑な気持ちになった。
「そっか」
貴族の婚姻に感情は必要ない。
愛してるか、愛されてるかよりも家柄と財産が全て。
愛などはよそでも育めるもの。
事実、自分と同じ六つか七つの子供を愛したことも、夢を見た記憶もない。
もう相手の顔もよく思い出せないけど、今になって思えば女性としての幸せを、「綺麗なお嫁さん」になるという幼いわたしの夢を叶えることができたのは、今目の前にいる初めて好きになった人ではなく、顔も名前もろくに覚えていないどこかの小さな男の子だったのだ。
世の中はなんて皮肉なんだろう。
「……リジー、もう一つ見せたいものがあるんだ」
「なあに?」
リジーはちょこんと首を傾げる。
ニュートはにやりと笑う。
「来て」