ふたり仲良く懺悔でも
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03.08 Twitter魔法夢ワンライ企画作品
「貴方と私の罪」
「やあ……久しぶり、リジー」
ホグワーツの卒業式以来、十数年ぶりの再会。
黒いタイを締めて喪服に身を包み、ある日突然ニュート・スキャマンダーはリジーの家を訪ねてきた。
うっすら泣き腫らしたまぶたと、あいかわらず鳥の巣みたいにぐしゃぐしゃの頭を通りに面した玄関先でいきなり下げるニュート。
「ごめん、杖も財布も何もかも忘れてきちゃって……電車賃、貸してください」
突然の訪問に困惑しながらもリジーはとりあえず来客を家に招き入れた。
拾ってきた猫みたいに、居心地悪そうにソファの隅っこで座るニュートの前に暖かいココアを差し出す。
ニュートはそれを物思いにふけった様子でじっと覗き込んだ。
「ココアでよかった?」
「……あ、うん、ありがとう」
湯気の立つココアに恐る恐る口をつけるニュート。
リジーはその様子をじっと観察しながら「ネクタイ外したら?」と喉元を指さしてジェスチャーする。
ニュートはふと息苦しさを思い出し、ネクタイに指をかけ、しゅるりと襟から引き抜いた。
「……今日だったのね、お葬式」
「うん……」
憔悴して肩を落とすニュートはどこか小さく子どものように見える。
いつも一緒に居るはずの小枝のお友達も、今日は姿が見えない。
慰めの言葉を掛けるべきかとリジーは頭の中で思い巡らしたが、決まりきった文句はどれも陳腐で薄っぺらく思えて結局口を噤んでいることにした。
「……あの時、リタが囮になろうとして、僕たちを逃がしてくれたんだ」
ぽつり、ぽつりと話し始めたニュートに、リジーは黙って耳を傾けながら熱いココアを一口すする。
「……彼女の目を見て、何を考えてるのかすぐに分かった。テセウスはすぐに飛び出していって、でも僕は……僕は……っ」
「……」
「何もできなかった、死ぬのが怖くて……リタを、見捨てたんだ」
そう、と一言リジーは呟く。
ふといつかのゴシップ雑誌で目にした、安い見出しで飾られた彼とアメリカの闇祓いの写真が目の前にちらつく。
彼には、慰めてくれる恋人がいるはずだ。
学生時代は散々恋心を弄ばれて、勇気を出して告白したのに「リジーとはいい友達でいたい」なんて自分勝手なことを抜かしておいて、なのに今さらどの面下げて会いに来たというのだろうか。
「……彼女とは最近どうなの?アメリカの……」
「ティナとは……今それどころじゃなくて、上手くいってないんだ……彼女も妹を失くしたから」
ニュートはぽつりとそう零す、その一言でリジーはすべてを察した。
「慰めてほしくてきたわけ……」
「……財布を忘れたのは本当だよ」
「杖があれば帰れるじゃない」
「……ごめん」
今さらすぎる、しかもわたしは所詮三番手。なんてひどい男なんだろう。
……いや、わたしも同罪か。
ニュートが訪ねてきた時、久しぶりに彼の顔を見て、心のどこかで期待した。
恋人がいると知っていたはずなのに、家に招き入れた。
リジーは身を乗り出して、ニュートの乾いた唇に自身の唇を重ね合わせる。
ニュートは目を閉じて、ソファについたリジーの手をそっと大きな手のひらでつつみこんだ。
「ごめん……許して、リジー」
そんな言葉一つで一々狼狽して、結局絆されてしまう自分が一番腹ただしい。
それでも、手から伝わってくる彼の暖かな温もりが、何よりも愛おしく感じた。
「貴方と私の罪」
「やあ……久しぶり、リジー」
ホグワーツの卒業式以来、十数年ぶりの再会。
黒いタイを締めて喪服に身を包み、ある日突然ニュート・スキャマンダーはリジーの家を訪ねてきた。
うっすら泣き腫らしたまぶたと、あいかわらず鳥の巣みたいにぐしゃぐしゃの頭を通りに面した玄関先でいきなり下げるニュート。
「ごめん、杖も財布も何もかも忘れてきちゃって……電車賃、貸してください」
突然の訪問に困惑しながらもリジーはとりあえず来客を家に招き入れた。
拾ってきた猫みたいに、居心地悪そうにソファの隅っこで座るニュートの前に暖かいココアを差し出す。
ニュートはそれを物思いにふけった様子でじっと覗き込んだ。
「ココアでよかった?」
「……あ、うん、ありがとう」
湯気の立つココアに恐る恐る口をつけるニュート。
リジーはその様子をじっと観察しながら「ネクタイ外したら?」と喉元を指さしてジェスチャーする。
ニュートはふと息苦しさを思い出し、ネクタイに指をかけ、しゅるりと襟から引き抜いた。
「……今日だったのね、お葬式」
「うん……」
憔悴して肩を落とすニュートはどこか小さく子どものように見える。
いつも一緒に居るはずの小枝のお友達も、今日は姿が見えない。
慰めの言葉を掛けるべきかとリジーは頭の中で思い巡らしたが、決まりきった文句はどれも陳腐で薄っぺらく思えて結局口を噤んでいることにした。
「……あの時、リタが囮になろうとして、僕たちを逃がしてくれたんだ」
ぽつり、ぽつりと話し始めたニュートに、リジーは黙って耳を傾けながら熱いココアを一口すする。
「……彼女の目を見て、何を考えてるのかすぐに分かった。テセウスはすぐに飛び出していって、でも僕は……僕は……っ」
「……」
「何もできなかった、死ぬのが怖くて……リタを、見捨てたんだ」
そう、と一言リジーは呟く。
ふといつかのゴシップ雑誌で目にした、安い見出しで飾られた彼とアメリカの闇祓いの写真が目の前にちらつく。
彼には、慰めてくれる恋人がいるはずだ。
学生時代は散々恋心を弄ばれて、勇気を出して告白したのに「リジーとはいい友達でいたい」なんて自分勝手なことを抜かしておいて、なのに今さらどの面下げて会いに来たというのだろうか。
「……彼女とは最近どうなの?アメリカの……」
「ティナとは……今それどころじゃなくて、上手くいってないんだ……彼女も妹を失くしたから」
ニュートはぽつりとそう零す、その一言でリジーはすべてを察した。
「慰めてほしくてきたわけ……」
「……財布を忘れたのは本当だよ」
「杖があれば帰れるじゃない」
「……ごめん」
今さらすぎる、しかもわたしは所詮三番手。なんてひどい男なんだろう。
……いや、わたしも同罪か。
ニュートが訪ねてきた時、久しぶりに彼の顔を見て、心のどこかで期待した。
恋人がいると知っていたはずなのに、家に招き入れた。
リジーは身を乗り出して、ニュートの乾いた唇に自身の唇を重ね合わせる。
ニュートは目を閉じて、ソファについたリジーの手をそっと大きな手のひらでつつみこんだ。
「ごめん……許して、リジー」
そんな言葉一つで一々狼狽して、結局絆されてしまう自分が一番腹ただしい。
それでも、手から伝わってくる彼の暖かな温もりが、何よりも愛おしく感じた。
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