マリーゴールド

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02.22 Twitter魔法夢ワンライ企画作品
「贈り物」

揺れる陽だまりの中で、ニュートが微笑んでいる。
黄色い花畑の間をかき分けて埋もれるように、その花弁を散らして、甲高い笑い声を上げながら子どもたちが自由に駆け回る。
世界中でこれほど幸福に満ち溢れた光景はほかにあるだろうか。

「ママ！ママも早く来て！」

「早く、君もおいでよリジー」

「だめよ、行けないわ」

やわらかな毛布にくるまって車椅子に乗ったままリジーは小さく手を振る。
幼い娘のヴァンクスが走り寄ってきて小さな手がリジーの痩せた手を握り、ニュートが息子の##NAME3##の背中を押して耳打ちした。

「ママを呼んできて、エスコートの仕方は教えただろう？」

ニュートの巻き毛と青い瞳を受け継いだ、まさに幼い頃の彼そのままの##NAME3##がリジーの手を取って甲にキスをする。
息子と娘に手を引かれるままリジーは車椅子から立ち上がり、ゆっくりと一歩一歩確かめるように、ニュートの元へ歩み寄った。
病気で衰弱し、以前よりも随分小さくなってしまった体をニュートは両腕でしっかりと支える。

「やっと来たね、僕の奥さん」

「お待たせ、わたしの旦那さん」

リジーは照れくさそうにふふっと笑う。
ニュートは彼女を軽々と抱き上げて花畑の中をぐるぐる走り回った。
子どものように無邪気に、現実も過去も未来も何もかもを忘れて。
世界中でわたし以上に恵まれ、幸運で幸せな女性はほかにいないだろう。
優しく微笑みを浮かべながらニュートが口を開く。

「愛してるよ、リジー」

――傍でニュートが彼女の手を握りながら囁いた。
その手は徐々に温もりが失われていき、顔は白く青ざめ、その瞳はもう二度と開かれることはない。
言い残したことはもうないかと自問する、まだかろうじて時間が残されている間に。
ニュートは懸命に話しかけ続ける。

「愛してる、誰よりも、心の底から。ありがとうリジー、生まれてきてくれて、僕なんかを好きになってくれて、ヴァンクスと##NAME3##を産んでくれて、ありがとう……っ」

とめどなく溢れるニュートの涙がリジーの頬を濡らす。
##NAME3##が狂ったように泣いていることに初めて気づく、ヴァンクスはまだ幼くて理解できないらしい。
握りしめた細く冷たい手はまだ僅かながらに脈を打っている。

「##NAME3##、ヴァンクス、ママに大好きって伝えるんだ、いいね」

脈拍がまた低く、呼吸が静かになる。
今にも消えようとしている弱々しい命の灯火を前に、ニュートはその額に口付けを落とした。

「みんなで、花畑に行ったのを覚えてる？すごくすごく綺麗だったよね……また、みんなで行きたかったな……っ」

家族の懐かしい幸せな思い出。
もう二度と、戻ることのない時間。
すうっと呼吸が静まり、心臓が音もなく眠りにつく。
握った手が温もりと力を失っていくのをはっきりと感じた。
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