Ⅲ
夢小説設定
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大好きなニュートへ
喜んでちょうだい、ニュート!
各国で違法に魔法動物を密輸していたグループをついに逮捕したの!
偽の情報に騙されてほいほいとニューヨーク港に到着したところを一網打尽にしてやったわ!
教授も大手柄だって褒めてくださった!おかげでわたしも研修生の称号から抜け出せそうよ。
それにもっと嬉しいことに、逮捕のニュースを聞きつけてすぐに海外の魔法動物のブリーダーや愛好家たちから連絡が来て、密輸されたほとんどの動物たちは保護されることになったの。
どの子もひどく怯えてて、劣悪な環境で散々な扱いをされていたみたい、逮捕できて本当によかった……
取り調べでぜーんぶ吐かせたから、いつか組織解体の日が訪れるのもそう遠くないでしょう。
その事を一刻も早く伝えたかったの!
リジーより
XOXOXO
――
リジー・ヴァンクスについて、グレイブスは正直なところ当初はあまり期待は抱いていなかった。
まだ闇祓いになって六年目と周りに比べれば日も浅く、アメリカの法律にも慣れていない。
イギリスでは優秀だったかどうか知らないが、英国と米国では勝手が違う。
新セーレム救世軍のビラを大量に持ち帰ってきた時には頭を抱えたものだ。
しかし、珍しくアテが外れたらしい。
ホグワーツ首席の名は伊達ではなかった、思わぬ拾いものをしたようだ。
「……テセウス・スキャマンダーは君を秘書官にしたがっていたそうだが」
不意に声を掛けられ、グレイブス宛の書類を抱えたままリジーは驚いて思わず口をぱくぱくさせて吃った。
「あ、あの、えっと、局長にはすでに優秀な秘書官がいたので、恐らく、ただのジョークだったかと……」
「なるほど……ところで、ミス・ヴァンクス。先日逮捕した密輸団の、動物たちについてだが……」
僅かにリジーの目が泳ぐのをグレイブスは見逃さなかった。
核心をついてこう尋ねる。
「愛護団体に連絡したのは君ではないのかね?」
「まさか、機密漏洩ではありませんか」
リジーは平静を装いつつ肩を竦めて答えた、微かに上擦った声に動揺が滲み出ている。
グレイブスはリジーの目をじっと見つめて、見透かしたようにふっと口角を緩ませた。
「……あれだけの頭数を殺処分するのも多額の税金が掛かる、賢明な判断だった」
リジーは驚いて、思わずほんの少し頬を綻ばせる。
静かに頭を下げ、書類を手渡し踵を返す。
執務室を後にしようとするリジーをグレイブスが呼び止めて言った。
「君が現場に残りたいというなら別だが、もし未練がないようなら、わたしの秘書官にならないか?……事務仕事に嫌気が差したらまた戻ることも出来る」
願ってもみない申し出にリジーは胸を高鳴らせた。
断る理由もなく「喜んで」とすぐに答えるとグレイブスは満足げに微かに微笑んだ。
「……何か、急ぎの用事はありますか?長官」
「今はない、どうもありがとうリジー……しいて言うなら、コーヒーを一杯」
嬉しそうにパタパタと執務室を出ていくリジーの背を見送り、グレイブスはまだマグに半分ほど残っていたコーヒーを飲み干した。
喜んでちょうだい、ニュート!
各国で違法に魔法動物を密輸していたグループをついに逮捕したの!
偽の情報に騙されてほいほいとニューヨーク港に到着したところを一網打尽にしてやったわ!
教授も大手柄だって褒めてくださった!おかげでわたしも研修生の称号から抜け出せそうよ。
それにもっと嬉しいことに、逮捕のニュースを聞きつけてすぐに海外の魔法動物のブリーダーや愛好家たちから連絡が来て、密輸されたほとんどの動物たちは保護されることになったの。
どの子もひどく怯えてて、劣悪な環境で散々な扱いをされていたみたい、逮捕できて本当によかった……
取り調べでぜーんぶ吐かせたから、いつか組織解体の日が訪れるのもそう遠くないでしょう。
その事を一刻も早く伝えたかったの!
リジーより
XOXOXO
――
リジー・ヴァンクスについて、グレイブスは正直なところ当初はあまり期待は抱いていなかった。
まだ闇祓いになって六年目と周りに比べれば日も浅く、アメリカの法律にも慣れていない。
イギリスでは優秀だったかどうか知らないが、英国と米国では勝手が違う。
新セーレム救世軍のビラを大量に持ち帰ってきた時には頭を抱えたものだ。
しかし、珍しくアテが外れたらしい。
ホグワーツ首席の名は伊達ではなかった、思わぬ拾いものをしたようだ。
「……テセウス・スキャマンダーは君を秘書官にしたがっていたそうだが」
不意に声を掛けられ、グレイブス宛の書類を抱えたままリジーは驚いて思わず口をぱくぱくさせて吃った。
「あ、あの、えっと、局長にはすでに優秀な秘書官がいたので、恐らく、ただのジョークだったかと……」
「なるほど……ところで、ミス・ヴァンクス。先日逮捕した密輸団の、動物たちについてだが……」
僅かにリジーの目が泳ぐのをグレイブスは見逃さなかった。
核心をついてこう尋ねる。
「愛護団体に連絡したのは君ではないのかね?」
「まさか、機密漏洩ではありませんか」
リジーは平静を装いつつ肩を竦めて答えた、微かに上擦った声に動揺が滲み出ている。
グレイブスはリジーの目をじっと見つめて、見透かしたようにふっと口角を緩ませた。
「……あれだけの頭数を殺処分するのも多額の税金が掛かる、賢明な判断だった」
リジーは驚いて、思わずほんの少し頬を綻ばせる。
静かに頭を下げ、書類を手渡し踵を返す。
執務室を後にしようとするリジーをグレイブスが呼び止めて言った。
「君が現場に残りたいというなら別だが、もし未練がないようなら、わたしの秘書官にならないか?……事務仕事に嫌気が差したらまた戻ることも出来る」
願ってもみない申し出にリジーは胸を高鳴らせた。
断る理由もなく「喜んで」とすぐに答えるとグレイブスは満足げに微かに微笑んだ。
「……何か、急ぎの用事はありますか?長官」
「今はない、どうもありがとうリジー……しいて言うなら、コーヒーを一杯」
嬉しそうにパタパタと執務室を出ていくリジーの背を見送り、グレイブスはまだマグに半分ほど残っていたコーヒーを飲み干した。