Ⅲ
夢小説設定
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セーレムのビラを抱えてオフィスに戻ったリジーは、ぎょっとした様子の先輩オーラーに、訳が分からないままグレイブス長官の元へ連れて行かれた。
見覚えのあるビラを、そしてあまり目にしたくない不快なビラをどっさり抱えたリジーに、グレイブスは渋い顔をして問い掛ける。
「……どこでそれを？」
「そこの通りで、小さい女の子が――」
「なぜそんなものを！」と責めるような口調で傍にいた闇祓いがたたみかける。
「お腹を空かして震えていて、マフィンと交換したんです」
何人かの口からため息が漏れ、グレイブスは眉間に皺を寄せたまま唇をへの字に曲げて小さく首を横に振る。
何がいけないのか、リジーは分からないままそれぞれの顔を見回す。
「魔法は使ってません」
「その場にいたのはその小さい女の子一人だけか？」
「後から背の高い男の子がその子を迎えに来て――」
とうとうグレイブスが小さくため息をつく、頭痛を堪えるように眉間を指で揉む。
「彼だ……クリーデンスだ」
「ええ、そうです。ご存知でしたの？」
闇祓いたちは呆れ顔でリジーの言葉にもう一つため息をつく。
グレイブスは沈黙したままビラのおぞましい挿絵をじっと睨みつけていた。
「ああ、ヴァンクス……頼むからゴールドスタインの二の舞だけはやめてくれ」
「……ゴールドスタイン？」
思いもかけず見知った名前が出てきて、リジーは驚いた。
その場にいた者たちにとってはまだ記憶に新しい、勢いあまって失敗した元新人オーラーの名前を口にするのも辟易として、誰も彼女の問いに答えるものはいなかった。
見覚えのあるビラを、そしてあまり目にしたくない不快なビラをどっさり抱えたリジーに、グレイブスは渋い顔をして問い掛ける。
「……どこでそれを？」
「そこの通りで、小さい女の子が――」
「なぜそんなものを！」と責めるような口調で傍にいた闇祓いがたたみかける。
「お腹を空かして震えていて、マフィンと交換したんです」
何人かの口からため息が漏れ、グレイブスは眉間に皺を寄せたまま唇をへの字に曲げて小さく首を横に振る。
何がいけないのか、リジーは分からないままそれぞれの顔を見回す。
「魔法は使ってません」
「その場にいたのはその小さい女の子一人だけか？」
「後から背の高い男の子がその子を迎えに来て――」
とうとうグレイブスが小さくため息をつく、頭痛を堪えるように眉間を指で揉む。
「彼だ……クリーデンスだ」
「ええ、そうです。ご存知でしたの？」
闇祓いたちは呆れ顔でリジーの言葉にもう一つため息をつく。
グレイブスは沈黙したままビラのおぞましい挿絵をじっと睨みつけていた。
「ああ、ヴァンクス……頼むからゴールドスタインの二の舞だけはやめてくれ」
「……ゴールドスタイン？」
思いもかけず見知った名前が出てきて、リジーは驚いた。
その場にいた者たちにとってはまだ記憶に新しい、勢いあまって失敗した元新人オーラーの名前を口にするのも辟易として、誰も彼女の問いに答えるものはいなかった。
