Ⅲ
夢小説設定
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ポーペンティナ・ゴールドスタインは闇祓いとして最後の仕事、自身のデスクを片付け、今までに関わった事件の全ての資料を返し終えたところだった。
ほんの短い間ではあったが、居場所となってくれた自分の席に別れを告げる。
念願だった闇祓いの仕事、恐らく当分の間は復帰は難しいだろう。
もしかしたらこの先一生、この建物の地下にある魔法の杖認可局の一番隅で日陰を歩む人生かもしれない。
なんてバカな真似をしてしまったのだろう。
セーレムの少年を助けたことじゃない、周りを見ずに後先もよく考えずに飛び出して行ったこと。
経験不足以前に、慎重さに欠けた行いだった、闇祓いとしてあるまじき事だ。
まいた種は刈り取る、やってしまったことを無かったことにはできない。
ちらちらとオフィスの隅から刺さる視線に、同情の色が無いことも知っている。
ここはもう、私の席ではなくなった。
明日には別の誰かがここに座るのだろう。
ティナは私物の入ったダンボール箱の蓋を閉じ、勢いよくテープを切った。
会議室からグレイブスとともに見慣れない若い女性が出てくるのが視界の端に映った。
彼女がきっと、私の後を埋めるのだとすぐに分かった。
彼女を見送ったあとグレイブスがちらりとこちらを一瞥したのに気づかぬ振りをして、ティナはダンボールを抱え、さっさと踵を返し歩いて行った。
姉が来るのを、クイニーは昇降機の前でずっと待っていた。
彼女がどんなに辛い思いをしてるか、誰よりもよく理解していたから。
妹の顔を見て、ティナは泣きそうになるのを唇をぎゅっと噛みしめて堪える。
クイニーは姉を抱きしめようと両手を広げた。
「……ごめん、クイニー」
一人にして。
心の声が聞こえてきて、彼女は広げた腕を力なく下げるしかなかった。
拒絶するようにぴしゃんと扉が閉まり、急降下する狭い箱の中でティナは一人泣き崩れた。
ほんの短い間ではあったが、居場所となってくれた自分の席に別れを告げる。
念願だった闇祓いの仕事、恐らく当分の間は復帰は難しいだろう。
もしかしたらこの先一生、この建物の地下にある魔法の杖認可局の一番隅で日陰を歩む人生かもしれない。
なんてバカな真似をしてしまったのだろう。
セーレムの少年を助けたことじゃない、周りを見ずに後先もよく考えずに飛び出して行ったこと。
経験不足以前に、慎重さに欠けた行いだった、闇祓いとしてあるまじき事だ。
まいた種は刈り取る、やってしまったことを無かったことにはできない。
ちらちらとオフィスの隅から刺さる視線に、同情の色が無いことも知っている。
ここはもう、私の席ではなくなった。
明日には別の誰かがここに座るのだろう。
ティナは私物の入ったダンボール箱の蓋を閉じ、勢いよくテープを切った。
会議室からグレイブスとともに見慣れない若い女性が出てくるのが視界の端に映った。
彼女がきっと、私の後を埋めるのだとすぐに分かった。
彼女を見送ったあとグレイブスがちらりとこちらを一瞥したのに気づかぬ振りをして、ティナはダンボールを抱え、さっさと踵を返し歩いて行った。
姉が来るのを、クイニーは昇降機の前でずっと待っていた。
彼女がどんなに辛い思いをしてるか、誰よりもよく理解していたから。
妹の顔を見て、ティナは泣きそうになるのを唇をぎゅっと噛みしめて堪える。
クイニーは姉を抱きしめようと両手を広げた。
「……ごめん、クイニー」
一人にして。
心の声が聞こえてきて、彼女は広げた腕を力なく下げるしかなかった。
拒絶するようにぴしゃんと扉が閉まり、急降下する狭い箱の中でティナは一人泣き崩れた。