Ⅲ
夢小説設定
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昼休みにコーヒーを飲みに誘おうと屋敷しもべ妖精転勤室に顔を出したらニュートの姿が見当たらなかった。
どこかに出掛けたらしい、少し遅れるかもと言ってたが行先までは知らないと彼の同僚のゴブリンが教えてくれた。
コーヒーはともかく、ついでにアメリカ出向のことも相談したかった、局長は内密にと言っていたが……目的まで話さなければ大丈夫だろう、どうせ分かることなのだから。
仕方ない、どっちみち仕事終わりの方がゆっくり時間もとれるか。
そういえば、この前長官の言ってた話はどうなったんだろう。
お仕事の話だったみたいだけど……まさかまた後回しにしようとしてるんじゃ……
「デスクワークは怖い」とか、「兄さんからの紹介なんて、何考えてるかわからない」とか。
ありえる……
資料を読むどころか、封も開けずに放置してる光景が容易に想像つく。
これは、問いたださなければ……。
仕事が終わったら待っててもらうように、ゴブリンに言付けを頼むと終始しかめっ面で無愛想ながらも丁寧に頷いてくれた。
そして、たとえ恋人であろうとも一闇祓いとしての矜恃にかけて、尋問の手は緩めないと静かに心に誓ったのだった。
――
ニュートはかつてないほどの緊張で、口から心臓が飛び出しそうになっていた。
もうたぶん五、六回は飲み込んでいる。
ポケットに入った小箱を指先で弄びながら、リジーが出てくるのを待つ。
昼休みに急いで受け取りに行ったソレは呆気ないほど軽くて、本当に金かと疑いたくなるほど小さくて、かわりに目玉が飛び出るぐらい高かった。
いっそ箱より0のたくさん並んだペラペラの領収書の方が重く感じる。
店にあった中では比較的安い方で、店員には「正式なものにはちょっと……」と渋い顔をされたが、どうせなら気に入ったものがいい。
護りの魔法を片っぱしから掛けてもらったら思いの外高くついた。
今まで生きてきた中でこんな高い買い物をしたことがなかったから、サインする時には少し手が震えた。
後でよくよく見たら意味のわからないのがいくつかあった、「紛失防止魔法」はともかく、「ボケ防止の魔法」って、何だよいるのかそれは。
「ニュート」
階段の上からリジーが手を振る。
領収書をポケットの中でくしゃりと握りしめて、軽く手を挙げて応えた。
「お疲れさま、夕食でも食べに行く?」
「いいね、僕が運転しよう。何が食べたい?」
「パスタがいいわ、ミートソースの。それとね、後で相談があるの」
リジーはうきうきした様子で車のキーを投げて寄こした。
ニュートは頭の中でミートソース、ミートソースと何度も繰り返しながら店へのルートを思い出していた。
気を抜くと奇行に走ってしまいそうなくらい、緊張で頭がおかしくなっている。
一生に一度のプロポーズ、万が一にも断られることはまずないと思うが、学生時代の散々な告白のリベンジが掛かっていた。
どこかに出掛けたらしい、少し遅れるかもと言ってたが行先までは知らないと彼の同僚のゴブリンが教えてくれた。
コーヒーはともかく、ついでにアメリカ出向のことも相談したかった、局長は内密にと言っていたが……目的まで話さなければ大丈夫だろう、どうせ分かることなのだから。
仕方ない、どっちみち仕事終わりの方がゆっくり時間もとれるか。
そういえば、この前長官の言ってた話はどうなったんだろう。
お仕事の話だったみたいだけど……まさかまた後回しにしようとしてるんじゃ……
「デスクワークは怖い」とか、「兄さんからの紹介なんて、何考えてるかわからない」とか。
ありえる……
資料を読むどころか、封も開けずに放置してる光景が容易に想像つく。
これは、問いたださなければ……。
仕事が終わったら待っててもらうように、ゴブリンに言付けを頼むと終始しかめっ面で無愛想ながらも丁寧に頷いてくれた。
そして、たとえ恋人であろうとも一闇祓いとしての矜恃にかけて、尋問の手は緩めないと静かに心に誓ったのだった。
――
ニュートはかつてないほどの緊張で、口から心臓が飛び出しそうになっていた。
もうたぶん五、六回は飲み込んでいる。
ポケットに入った小箱を指先で弄びながら、リジーが出てくるのを待つ。
昼休みに急いで受け取りに行ったソレは呆気ないほど軽くて、本当に金かと疑いたくなるほど小さくて、かわりに目玉が飛び出るぐらい高かった。
いっそ箱より0のたくさん並んだペラペラの領収書の方が重く感じる。
店にあった中では比較的安い方で、店員には「正式なものにはちょっと……」と渋い顔をされたが、どうせなら気に入ったものがいい。
護りの魔法を片っぱしから掛けてもらったら思いの外高くついた。
今まで生きてきた中でこんな高い買い物をしたことがなかったから、サインする時には少し手が震えた。
後でよくよく見たら意味のわからないのがいくつかあった、「紛失防止魔法」はともかく、「ボケ防止の魔法」って、何だよいるのかそれは。
「ニュート」
階段の上からリジーが手を振る。
領収書をポケットの中でくしゃりと握りしめて、軽く手を挙げて応えた。
「お疲れさま、夕食でも食べに行く?」
「いいね、僕が運転しよう。何が食べたい?」
「パスタがいいわ、ミートソースの。それとね、後で相談があるの」
リジーはうきうきした様子で車のキーを投げて寄こした。
ニュートは頭の中でミートソース、ミートソースと何度も繰り返しながら店へのルートを思い出していた。
気を抜くと奇行に走ってしまいそうなくらい、緊張で頭がおかしくなっている。
一生に一度のプロポーズ、万が一にも断られることはまずないと思うが、学生時代の散々な告白のリベンジが掛かっていた。