Ⅱ
夢小説設定
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緩く髪を引っ張られるような感覚に、浅い微睡みから意識を浮上させる。
薄く目を開けると、つぶらな瞳がこちらを覗き込んでいた。
心配そうに「きゅう」と一声なき、鋭い爪の生えた小さな手が、顔中あちこちをぺたぺたと触れる。
勘弁してくれ、と掴んで引き剥がせば、文句ありげに鼻先を頬に押し付けてきた。
「二フラー……?」
そこで、ここが寮の寝室でないことに気がつく。
「おはよ」
「?!」
驚いて飛び起きた先には、珍しく刺々しさを顕にしたリジーの姿があった。
「気分はどう?」
「おかげさまで……」
「なら良かった」
「……どこでこれを?」
「グリフィンドールの、談話室で。カーテンの裾の金糸を嬉しそうに解いているところを捕獲した」
「ああ……」
思わず呆れてため息をもらす。
「ごめん」と謝れば、「いいの」と快く受け入れた。
「……やっぱり、怒ってる?」
「怒ってる」
「リジー、本当にごめんよ、でもあれはその、何ていうか、誤解なんだ、」
ニュートは無意識に口元に手をやり、早口で言った。
唐突に、ふと思い出したようにリジーが「あっ」と声を上げ「薬、ちゃんと飲みなさいってマダムが」机の上の水と薬瓶を指差す。
一口水を含み、如何にも体に悪そうな不穏な色合いをしたカプセルを、思い切って飲み込む。
興味深そうに薬瓶の掠れかけたラベルを解読していたリジーは、完全に嚥下し、錠剤が喉元を通り抜けていったのを見届けると肩をすくめて苦笑いを浮かべた。
「……何が書いてあるの?」気になって思わず尋ねると「知りたい?」といたずらっぽく笑う。
「いや、止めとくよ」
「その方がいい」
所在なく瓶をころころと弄んでいたリジーは、覚悟を決めてすぅと息を吸い込むと、椅子に座り直して真っ直ぐ向き合った。
「彼女と話した」
ニュートは何かを言おうとして、口を開いたが声にならなかった。
「ごめんね、勝手なことして。でももう大丈夫だから」
「どうして?」
「謝ってくれた、ニュートと、私に。だからもういいの」
「本当に?君を傷つけたのは僕も一緒じゃ、」
「もう、もういいの。何もかも、無かったことに、それが一番よ」
俯いた拍子に頬に掛かった彼女の髪を遠慮がちに払うと、頬を涙が伝った。
「ごめん、ごめんよ、リジー」
涙の跡を指先で拭う、リジーはその手に手を重ねて、猫みたいに頬をすり寄せた。
「もう一回、最初からやり直せるよ、二人でならきっと」
「うん、そうだね、そうしよう」
空いた時間を埋め合わせるかのように、どちらからともなく指と指を絡め合い、もう片方の手も同じようにする。
「好き、大好きだよニュート」
「僕も大好きだよ」
繋いでいる手がきゅっと僅かに強張る。
キスされる、そう思って目を瞑った。
「思ってたより大したことなかった」なんて誰かの言葉と一緒に、昔読んだ靴を落とした女の子の話を思い出す。
ふわりと息がかかる、柔らかな熱同士がおずおずと触れ合う。
そんな所に体温があるなんて知らなかったが、触れ合った箇所がやけに熱を持って温かく感じた。
ほんの一瞬、3秒も経たないうちの出来事。
薄く目を開けると、つぶらな瞳がこちらを覗き込んでいた。
心配そうに「きゅう」と一声なき、鋭い爪の生えた小さな手が、顔中あちこちをぺたぺたと触れる。
勘弁してくれ、と掴んで引き剥がせば、文句ありげに鼻先を頬に押し付けてきた。
「二フラー……?」
そこで、ここが寮の寝室でないことに気がつく。
「おはよ」
「?!」
驚いて飛び起きた先には、珍しく刺々しさを顕にしたリジーの姿があった。
「気分はどう?」
「おかげさまで……」
「なら良かった」
「……どこでこれを?」
「グリフィンドールの、談話室で。カーテンの裾の金糸を嬉しそうに解いているところを捕獲した」
「ああ……」
思わず呆れてため息をもらす。
「ごめん」と謝れば、「いいの」と快く受け入れた。
「……やっぱり、怒ってる?」
「怒ってる」
「リジー、本当にごめんよ、でもあれはその、何ていうか、誤解なんだ、」
ニュートは無意識に口元に手をやり、早口で言った。
唐突に、ふと思い出したようにリジーが「あっ」と声を上げ「薬、ちゃんと飲みなさいってマダムが」机の上の水と薬瓶を指差す。
一口水を含み、如何にも体に悪そうな不穏な色合いをしたカプセルを、思い切って飲み込む。
興味深そうに薬瓶の掠れかけたラベルを解読していたリジーは、完全に嚥下し、錠剤が喉元を通り抜けていったのを見届けると肩をすくめて苦笑いを浮かべた。
「……何が書いてあるの?」気になって思わず尋ねると「知りたい?」といたずらっぽく笑う。
「いや、止めとくよ」
「その方がいい」
所在なく瓶をころころと弄んでいたリジーは、覚悟を決めてすぅと息を吸い込むと、椅子に座り直して真っ直ぐ向き合った。
「彼女と話した」
ニュートは何かを言おうとして、口を開いたが声にならなかった。
「ごめんね、勝手なことして。でももう大丈夫だから」
「どうして?」
「謝ってくれた、ニュートと、私に。だからもういいの」
「本当に?君を傷つけたのは僕も一緒じゃ、」
「もう、もういいの。何もかも、無かったことに、それが一番よ」
俯いた拍子に頬に掛かった彼女の髪を遠慮がちに払うと、頬を涙が伝った。
「ごめん、ごめんよ、リジー」
涙の跡を指先で拭う、リジーはその手に手を重ねて、猫みたいに頬をすり寄せた。
「もう一回、最初からやり直せるよ、二人でならきっと」
「うん、そうだね、そうしよう」
空いた時間を埋め合わせるかのように、どちらからともなく指と指を絡め合い、もう片方の手も同じようにする。
「好き、大好きだよニュート」
「僕も大好きだよ」
繋いでいる手がきゅっと僅かに強張る。
キスされる、そう思って目を瞑った。
「思ってたより大したことなかった」なんて誰かの言葉と一緒に、昔読んだ靴を落とした女の子の話を思い出す。
ふわりと息がかかる、柔らかな熱同士がおずおずと触れ合う。
そんな所に体温があるなんて知らなかったが、触れ合った箇所がやけに熱を持って温かく感じた。
ほんの一瞬、3秒も経たないうちの出来事。