Ⅱ
夢小説設定
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火災の騒動のどさくさに紛れニュートは一人、魔法化学実験室に戻った。
火の手は予想以上に早く、木製の机や椅子を焼き尽くし、実験用の硝子製の器具が熱に耐え切れず割れて、硝子片が床に散乱している。
炎が深紅のカーテンを伝い、壁や天井にまで燃え広がり始めていた。
咄嗟に杖を取り出し、魔法で窓を開け放つ。
しかし、教室中を白煙が満たし、酸素は殆ど残っていなかった。
煙を吸い込まないように、口元を抑え、姿勢を低くして腹這いになって進む。
目を開けば、瞼の奥に煙が染みる。
眉間にぐっと力を込め目を凝らしたその先に、ちょうどイタチほどの大きさの、黒いゴワゴワとした毛皮に、背中に燃える棘を持つ火ねずみが煤で汚れ、ぐったりとうずくまっていた。
すぐさま首すじに指を当てて脈を確認する。
その指先に微かな鼓動を感じとり、ローブを脱ぐとジャービーを包んで腕に抱きかかえた。
安堵の息をつく間も残されておらず、急いで避難しようと、去り際にふと教室を振り返る。
その時、机の影に倒れている人影が視界の端にちらつく。
「リタ……っ!」
何をもってそう判断したのか、自分でも分からないまま名前を口走る。
炎の中を駆け寄り、ぐったりと力の抜けた彼女を抱き起こす。
「リタ、しっかりして、リタ!」
ピクリとも動かない彼女に声を掛け続けた。
その拍子に煙を吸い込んでしまい、喉が焼け爛れるような息苦しさに激しく咳き込む。
一刻も早く脱出しないと、東階段を駆け下りれば近くにいる教師たちと合流出来るはず。
早くしないと、煙を吸い込んで死ぬ。
鈍く痛むこめかみと耳鳴りを堪えながら、意識の無いリタの体を背負って立ち上がった。
火の手は予想以上に早く、木製の机や椅子を焼き尽くし、実験用の硝子製の器具が熱に耐え切れず割れて、硝子片が床に散乱している。
炎が深紅のカーテンを伝い、壁や天井にまで燃え広がり始めていた。
咄嗟に杖を取り出し、魔法で窓を開け放つ。
しかし、教室中を白煙が満たし、酸素は殆ど残っていなかった。
煙を吸い込まないように、口元を抑え、姿勢を低くして腹這いになって進む。
目を開けば、瞼の奥に煙が染みる。
眉間にぐっと力を込め目を凝らしたその先に、ちょうどイタチほどの大きさの、黒いゴワゴワとした毛皮に、背中に燃える棘を持つ火ねずみが煤で汚れ、ぐったりとうずくまっていた。
すぐさま首すじに指を当てて脈を確認する。
その指先に微かな鼓動を感じとり、ローブを脱ぐとジャービーを包んで腕に抱きかかえた。
安堵の息をつく間も残されておらず、急いで避難しようと、去り際にふと教室を振り返る。
その時、机の影に倒れている人影が視界の端にちらつく。
「リタ……っ!」
何をもってそう判断したのか、自分でも分からないまま名前を口走る。
炎の中を駆け寄り、ぐったりと力の抜けた彼女を抱き起こす。
「リタ、しっかりして、リタ!」
ピクリとも動かない彼女に声を掛け続けた。
その拍子に煙を吸い込んでしまい、喉が焼け爛れるような息苦しさに激しく咳き込む。
一刻も早く脱出しないと、東階段を駆け下りれば近くにいる教師たちと合流出来るはず。
早くしないと、煙を吸い込んで死ぬ。
鈍く痛むこめかみと耳鳴りを堪えながら、意識の無いリタの体を背負って立ち上がった。