Ⅱ
夢小説設定
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「ロンドンへ行くには、どちらへ行けばいい?」
少女はまるで王族のようなもったいぶった話し方で言った。
頭のてっぺんから爪先まで絹ずくめで、しかし高そうな黒皮のブーツは泥だらけで見るも無残な有り様だ。
ブルネットは殆ど崩れ、リボンは解けてあと少しのとこで引っかかっている。
外を出歩くには凡そ不向きな格好であることは違いない。
「ロンドンならもっとずっと向こうだよ」
背後を指差すと少女は疲れた様子でため息をついた。
「じゃあ反対方向に来ちゃったのね、ああもう!」
直そうと整えたはずの髪は余計に悲惨なことになって、憤慨しながらリボンを地面に叩きつけた。
どこかお屋敷の令嬢だろうか、この辺りでは見かけぬ顔だ。
「きみ、どこから来たの?」
「あっちよ」
少女は来た方向を指さした。
「僕たちどこかで会ってる?例えば、学校とか」
「まさか、学校には行ってないわ。家庭教師が家まで来るの、お父様が勝手に雇ったのよ、最低」
「家庭教師かあ、学校に行かなくていいなら僕は羨ましいな」
「私は一度でいいから学校に行ってみたいわ、でもお父様は私がマグルの子と仲良くするのが嫌みたい、ジュンケツシュギなんてもうジダイオクレよ」
少女はどこで覚えたのかやたら難しい言葉を使いたがった、語尾にはてな?が浮かんでる。
その言葉に、ふとニュートは思い当たるふしがあった。
森の向こうにある、大きな屋敷。
古くからある家だが、いつからあるのか、誰が住んでいるのか知らない者の方が多い。
遠くから見るとまるで廃墟のようで、誰も滅多に近づこうとは思わないからである。
“魔法”だ、屋敷と森に魔法が掛けられているせいでよっぽどのことがない限りマグルは辿りつくどころが森に近づくことさえ出来ない。
「……もしかしてきみって、レストレンジ?」
「さあ、忘れたわ」
「……?」
少女は祈るような仕草で胸の位置で両手を組んだ。
「その名は捨てたの、もう過去のことよ」
「きみは、ずいぶん変わってるね……」
「そうかしら」
くるっと踵を返して弾む足取りでたん、たん、と二、三歩踏み出し、振り返る。
「これから私は一人で生きていかなきゃならないんだから、あんたよりずうっと大人なのよ、じゃあね##RUBY#kiddo#坊や##.」
少女は再び背を向けて歩き出す。
時刻は午後四時を過ぎ、太陽は傾いて辺りをオレンジ色に染め上げながら一日の終わりを告げていた。
少女は着のみ着のまま飛び出してきたようで何も持ってない。
徒歩でロンドンまで行くつもりなのか。
だとしたら、あまりに無謀だ。
ニュートは途端に放っておけなくなり、慌てて追いかけた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
少女はまるで王族のようなもったいぶった話し方で言った。
頭のてっぺんから爪先まで絹ずくめで、しかし高そうな黒皮のブーツは泥だらけで見るも無残な有り様だ。
ブルネットは殆ど崩れ、リボンは解けてあと少しのとこで引っかかっている。
外を出歩くには凡そ不向きな格好であることは違いない。
「ロンドンならもっとずっと向こうだよ」
背後を指差すと少女は疲れた様子でため息をついた。
「じゃあ反対方向に来ちゃったのね、ああもう!」
直そうと整えたはずの髪は余計に悲惨なことになって、憤慨しながらリボンを地面に叩きつけた。
どこかお屋敷の令嬢だろうか、この辺りでは見かけぬ顔だ。
「きみ、どこから来たの?」
「あっちよ」
少女は来た方向を指さした。
「僕たちどこかで会ってる?例えば、学校とか」
「まさか、学校には行ってないわ。家庭教師が家まで来るの、お父様が勝手に雇ったのよ、最低」
「家庭教師かあ、学校に行かなくていいなら僕は羨ましいな」
「私は一度でいいから学校に行ってみたいわ、でもお父様は私がマグルの子と仲良くするのが嫌みたい、ジュンケツシュギなんてもうジダイオクレよ」
少女はどこで覚えたのかやたら難しい言葉を使いたがった、語尾にはてな?が浮かんでる。
その言葉に、ふとニュートは思い当たるふしがあった。
森の向こうにある、大きな屋敷。
古くからある家だが、いつからあるのか、誰が住んでいるのか知らない者の方が多い。
遠くから見るとまるで廃墟のようで、誰も滅多に近づこうとは思わないからである。
“魔法”だ、屋敷と森に魔法が掛けられているせいでよっぽどのことがない限りマグルは辿りつくどころが森に近づくことさえ出来ない。
「……もしかしてきみって、レストレンジ?」
「さあ、忘れたわ」
「……?」
少女は祈るような仕草で胸の位置で両手を組んだ。
「その名は捨てたの、もう過去のことよ」
「きみは、ずいぶん変わってるね……」
「そうかしら」
くるっと踵を返して弾む足取りでたん、たん、と二、三歩踏み出し、振り返る。
「これから私は一人で生きていかなきゃならないんだから、あんたよりずうっと大人なのよ、じゃあね##RUBY#kiddo#坊や##.」
少女は再び背を向けて歩き出す。
時刻は午後四時を過ぎ、太陽は傾いて辺りをオレンジ色に染め上げながら一日の終わりを告げていた。
少女は着のみ着のまま飛び出してきたようで何も持ってない。
徒歩でロンドンまで行くつもりなのか。
だとしたら、あまりに無謀だ。
ニュートは途端に放っておけなくなり、慌てて追いかけた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」