Ⅱ
夢小説設定
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「ほらニュート、ケイリーにお別れの挨拶をしましょうね」
優しそうな青い瞳をした母親が、泣きじゃくる幼い息子の柔らかな髪を撫でながらそっと宥める。
それでもその子は桐の柩を抱えたまま頑として動こうとしない。
「いやだ!やだやだ埋めたくない!僕も一緒にお墓に入る!」
柩の中には、その名の通り白鳥のように清らかで白く美しい翼の鷲頭馬が安らかな表情で眠っていた。
蓋には“Kaylee・Scamander”と名前が刻まれ、彼女を悼み、讃える一節が添えられた。
柩に覆いかぶさるように小さな腕にしっかりと抱きかかえ、ぽつりぽつりとその上に何度も涙を落とす。
「それは出来ないわ、ケイリーとはもう……一緒には居られないの」
「嘘だ!そんなの嘘だ!パパもママも兄さんも嘘ばっかり!まだ、まだ生きてるかもしれないのに……っ!ケイリーが可哀想……」
「そうやっていつまでも狭い箱の中に閉じ込められてる方が可哀想だ、いい加減離してやれアルテミス」
「やだあ!離して!テセウス兄さんやめて!ケイリーを返して!返して!」
地元の小学校の制服を身に纏った少年が弟の手を柩から引き剥がすと、泣き声は一層高くなり、母親は悲痛な面持ちで泣き叫ぶ息子を力いっぱい胸に抱きしめた。
「何があっても今日のことを忘れてはだめよ、今までもこれからもケイリーは私たち家族に変わりはないんだから」
―――
ロンドンから少し離れた、森に程近い田舎町。
コッツウォルズというその町に、スキャマンダー一家が暮らしている。
スキャマンダー夫妻は魔法動物という珍しい生きものを育てては繁殖させ、主にヒッポグリフを取り扱うブリーダーを営んでいた。
趣味と実益を兼ねた仕事と、二人の息子に恵まれ、自然の美しい静かなこの町で慎ましく幸せな生活を送っていた。
優しそうな青い瞳をした母親が、泣きじゃくる幼い息子の柔らかな髪を撫でながらそっと宥める。
それでもその子は桐の柩を抱えたまま頑として動こうとしない。
「いやだ!やだやだ埋めたくない!僕も一緒にお墓に入る!」
柩の中には、その名の通り白鳥のように清らかで白く美しい翼の鷲頭馬が安らかな表情で眠っていた。
蓋には“Kaylee・Scamander”と名前が刻まれ、彼女を悼み、讃える一節が添えられた。
柩に覆いかぶさるように小さな腕にしっかりと抱きかかえ、ぽつりぽつりとその上に何度も涙を落とす。
「それは出来ないわ、ケイリーとはもう……一緒には居られないの」
「嘘だ!そんなの嘘だ!パパもママも兄さんも嘘ばっかり!まだ、まだ生きてるかもしれないのに……っ!ケイリーが可哀想……」
「そうやっていつまでも狭い箱の中に閉じ込められてる方が可哀想だ、いい加減離してやれアルテミス」
「やだあ!離して!テセウス兄さんやめて!ケイリーを返して!返して!」
地元の小学校の制服を身に纏った少年が弟の手を柩から引き剥がすと、泣き声は一層高くなり、母親は悲痛な面持ちで泣き叫ぶ息子を力いっぱい胸に抱きしめた。
「何があっても今日のことを忘れてはだめよ、今までもこれからもケイリーは私たち家族に変わりはないんだから」
―――
ロンドンから少し離れた、森に程近い田舎町。
コッツウォルズというその町に、スキャマンダー一家が暮らしている。
スキャマンダー夫妻は魔法動物という珍しい生きものを育てては繁殖させ、主にヒッポグリフを取り扱うブリーダーを営んでいた。
趣味と実益を兼ねた仕事と、二人の息子に恵まれ、自然の美しい静かなこの町で慎ましく幸せな生活を送っていた。