Ⅱ
夢小説設定
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その日、リジーは朝から浮かれていた。
約束したその日から着てく服や髪型のことで頭の中はいっぱいで、彼に少しでも可愛いと思ってもらいたいと、暇さえあれば雑誌を捲り、研究を重ねていた。
しかし、いざ当日になると急に気後れし始めた。
早起きして髪を編んで、苦労の末なんとか形になり、なのに前日から癖まで付けて結った流行りのヘアスタイルは自分にはあまり似合わなかった。
この日の為に買った白い靴は、前日に降った雨により今朝もまだ道がぬかるんでいたせいで断念した。
結局、無難な白いストライプのピンタックブラウスに無難な紺色のスカートを合わせて上からカーディガンを羽織った。
リジーはせめて髪がシエナ・マルフォイのような見事なブロンドだったらと嘆いたが、シンプルな装いは逆に彼女自身を引き立てていた。
リボンを結んで、準備は万端整った。
なんと言っても、今日は記念すべき初めてのデートなのである。
頭の包帯も取れて傷も無事に完治したニュートの快気祝いに二人はホグズミードの三本の箒で名物バタービールで乾杯した。
カチン、とグラスを交わし、薄いガラスの器に口を付けると、泡立った黄金色の甘い液体が口の中いっぱいに広がっていく。
ヘイミッシュのリボンも調達し、ハニーデュークスでこれでもかと甘いお菓子を買い込んだリジーは上機嫌だった。
少なくともニュートの目にはそう見えていた、生憎彼は恋愛面において勘の鋭い方では無かったので会話の端々からも伺える彼女の本音に気づけなかった。
一方でリジーはなかなか勘も鋭く、頭もよく働いたので探りを掛けるのもうまかった。
ミステリーで養われた知識と脳は彼女をいつの間にか策略家に仕立て上げた。
彼の言動から少しずつ可能性が確信へと変わっていき、若さと自信と喜びを噛み締めていた。
そんな事ニュートは知る由もなく、ただ何故かリジーを見るたびにくすぐったいような気持ちになって終始あちこちに視線を彷徨わせていた。
ーー
その日のホグズミードはいつになく人通りが少なく閑散としていた。
いつも人で賑わい騒々しい三本の箒でさえ今日に限っては客足がかんばしくなく、いつもきびきび働いてる店の女主人マダム・ロスメルタもする事がなくなると常連客の話し相手になっていた。
「今日はやけに静かだねえ」
「ほらこの間泥棒があっただろう?うちのお客さんも何人か被害に遭われて、財布の中身ごっそり持ってかれた人もいたねえ」
「物騒な世の中になっちまったなあ」
「全くこっちはいい迷惑だよ、そういうわけだからお客さん、今日は沢山呑んでってくれるんだろうね」
「マダムにそう言われちゃ敵わんな」
泥棒と言うのは数日前からホグズミードのあちこちで起こっている掏摸の事だ。
気がつくと知らぬ間に財布の中身が抜かれていたり、金貨に懐中時計、指輪と被害は様々。中にはコートの金釦なんてのも。
高価なものからそうでないものまで、いずれにせよ誰も犯人の姿はおろか、被害者は取られたことにすら気づいていなかった。
些細な事のように思われたが、小さな村を震撼させるには充分だった。
そのやりとりを聞いていたニュートとリジーも、その時はさほど気にしてはいなかったが、飲み物を飲んでひとしきり今日の収穫などについて話すと早々に店を後にしていった。
約束したその日から着てく服や髪型のことで頭の中はいっぱいで、彼に少しでも可愛いと思ってもらいたいと、暇さえあれば雑誌を捲り、研究を重ねていた。
しかし、いざ当日になると急に気後れし始めた。
早起きして髪を編んで、苦労の末なんとか形になり、なのに前日から癖まで付けて結った流行りのヘアスタイルは自分にはあまり似合わなかった。
この日の為に買った白い靴は、前日に降った雨により今朝もまだ道がぬかるんでいたせいで断念した。
結局、無難な白いストライプのピンタックブラウスに無難な紺色のスカートを合わせて上からカーディガンを羽織った。
リジーはせめて髪がシエナ・マルフォイのような見事なブロンドだったらと嘆いたが、シンプルな装いは逆に彼女自身を引き立てていた。
リボンを結んで、準備は万端整った。
なんと言っても、今日は記念すべき初めてのデートなのである。
頭の包帯も取れて傷も無事に完治したニュートの快気祝いに二人はホグズミードの三本の箒で名物バタービールで乾杯した。
カチン、とグラスを交わし、薄いガラスの器に口を付けると、泡立った黄金色の甘い液体が口の中いっぱいに広がっていく。
ヘイミッシュのリボンも調達し、ハニーデュークスでこれでもかと甘いお菓子を買い込んだリジーは上機嫌だった。
少なくともニュートの目にはそう見えていた、生憎彼は恋愛面において勘の鋭い方では無かったので会話の端々からも伺える彼女の本音に気づけなかった。
一方でリジーはなかなか勘も鋭く、頭もよく働いたので探りを掛けるのもうまかった。
ミステリーで養われた知識と脳は彼女をいつの間にか策略家に仕立て上げた。
彼の言動から少しずつ可能性が確信へと変わっていき、若さと自信と喜びを噛み締めていた。
そんな事ニュートは知る由もなく、ただ何故かリジーを見るたびにくすぐったいような気持ちになって終始あちこちに視線を彷徨わせていた。
ーー
その日のホグズミードはいつになく人通りが少なく閑散としていた。
いつも人で賑わい騒々しい三本の箒でさえ今日に限っては客足がかんばしくなく、いつもきびきび働いてる店の女主人マダム・ロスメルタもする事がなくなると常連客の話し相手になっていた。
「今日はやけに静かだねえ」
「ほらこの間泥棒があっただろう?うちのお客さんも何人か被害に遭われて、財布の中身ごっそり持ってかれた人もいたねえ」
「物騒な世の中になっちまったなあ」
「全くこっちはいい迷惑だよ、そういうわけだからお客さん、今日は沢山呑んでってくれるんだろうね」
「マダムにそう言われちゃ敵わんな」
泥棒と言うのは数日前からホグズミードのあちこちで起こっている掏摸の事だ。
気がつくと知らぬ間に財布の中身が抜かれていたり、金貨に懐中時計、指輪と被害は様々。中にはコートの金釦なんてのも。
高価なものからそうでないものまで、いずれにせよ誰も犯人の姿はおろか、被害者は取られたことにすら気づいていなかった。
些細な事のように思われたが、小さな村を震撼させるには充分だった。
そのやりとりを聞いていたニュートとリジーも、その時はさほど気にしてはいなかったが、飲み物を飲んでひとしきり今日の収穫などについて話すと早々に店を後にしていった。