Ⅱ
夢小説設定
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そんな二人の胸中を知ってか知らずか、コンパートメントに一匹の猫がのっそりのっそりと入室した。
クリーム色の地に、コーヒーに浸したような焦げ茶。
首に鈴付きの赤いリボンを付けた、利口そうな青い目のポインテッド猫は、ふわふわの長い尻尾をぴんと立ててリジーの足に擦り寄った。
「ヘイミッシュ、どこに行ってたの?」
「君の猫?」
「うん、いとこの飼ってる猫が子猫を産んだから一匹譲ってもらったの」
ふわふわのクリーム色の毛玉を膝に抱き上げてリジーが答えた。
ヘイミッシュという名がホームズの助手でジョン・H・ワトスンのミドルネームである事にニュートはすぐに気がついた。
「男の子?」
「ううん、女の子よ」
「ええ?ならアイリーンか、イレーヌの方が良かったんじゃないの?」
アイリーンとはシャーロック・ホームズの中に登場する美しく聡明な女性の名だ。
アイリーンはフランス語でイレーヌとも言う。
「最初はイレーヌにしようと思ったの、でもアイリーン・アドラーとは似ても似つかない、どうしようもない甘えん坊で」
リジーは、よく知ってるのねとちょっと笑った。
ヘイミッシュは彼女の膝に抱きかかえられたまま喉を鳴らして、安心しきったように目を細めている。
ホームズのように、天才と称される人物は人には理解しがたい一面も持っているのだろう。
そんなホームズをも受け入れたワトスンはきっと懐の深い人好きする人物に違いない。
なるほど、確かに彼女はいかにもヘイミッシュという感じだ。
まん丸の目をした愛嬌のある猫は、飼い主の膝からひょいっと飛び出すと、ニュートの足元に纏わりつくように体を擦りつけた。
撫でてみると思ったより小さく、ふわふわした毛が体を大きく見せている事が分かる。
人懐っこく顎を擦り寄せてくる子猫に、動物好きのニュートは自然と頬が綻んだ。
ヘイミッシュはニュートの革靴の靴紐に興味津々に飛びついたかと思うと、しばらくすると飽きて、ふいっと尻尾を揺らしてコンパートメントを出て行った。
「好きに歩き回らせて大丈夫なの?」
「平気よ、首輪に呪文を掛けてあるから」
リジーが杖を振ると、ヘイミッシュは床に前足を踏ん張ったままずるずると魔法で引きずられて戻された。
引き戸をカリカリ引っ掻き、どうやら開きそうにないと悟るとニュートの傍に行って恨めしそうにうにゃーんと鳴いた。
クリーム色の地に、コーヒーに浸したような焦げ茶。
首に鈴付きの赤いリボンを付けた、利口そうな青い目のポインテッド猫は、ふわふわの長い尻尾をぴんと立ててリジーの足に擦り寄った。
「ヘイミッシュ、どこに行ってたの?」
「君の猫?」
「うん、いとこの飼ってる猫が子猫を産んだから一匹譲ってもらったの」
ふわふわのクリーム色の毛玉を膝に抱き上げてリジーが答えた。
ヘイミッシュという名がホームズの助手でジョン・H・ワトスンのミドルネームである事にニュートはすぐに気がついた。
「男の子?」
「ううん、女の子よ」
「ええ?ならアイリーンか、イレーヌの方が良かったんじゃないの?」
アイリーンとはシャーロック・ホームズの中に登場する美しく聡明な女性の名だ。
アイリーンはフランス語でイレーヌとも言う。
「最初はイレーヌにしようと思ったの、でもアイリーン・アドラーとは似ても似つかない、どうしようもない甘えん坊で」
リジーは、よく知ってるのねとちょっと笑った。
ヘイミッシュは彼女の膝に抱きかかえられたまま喉を鳴らして、安心しきったように目を細めている。
ホームズのように、天才と称される人物は人には理解しがたい一面も持っているのだろう。
そんなホームズをも受け入れたワトスンはきっと懐の深い人好きする人物に違いない。
なるほど、確かに彼女はいかにもヘイミッシュという感じだ。
まん丸の目をした愛嬌のある猫は、飼い主の膝からひょいっと飛び出すと、ニュートの足元に纏わりつくように体を擦りつけた。
撫でてみると思ったより小さく、ふわふわした毛が体を大きく見せている事が分かる。
人懐っこく顎を擦り寄せてくる子猫に、動物好きのニュートは自然と頬が綻んだ。
ヘイミッシュはニュートの革靴の靴紐に興味津々に飛びついたかと思うと、しばらくすると飽きて、ふいっと尻尾を揺らしてコンパートメントを出て行った。
「好きに歩き回らせて大丈夫なの?」
「平気よ、首輪に呪文を掛けてあるから」
リジーが杖を振ると、ヘイミッシュは床に前足を踏ん張ったままずるずると魔法で引きずられて戻された。
引き戸をカリカリ引っ掻き、どうやら開きそうにないと悟るとニュートの傍に行って恨めしそうにうにゃーんと鳴いた。